みさっちゃん30周年、あの名盤がCD+LPで復刻!
10代で口ずさんだ歌を、人は一生、口ずさむ。――何年か前、ソニー・ウォークマンのCMのコピーとなったこの言葉にハッとしたものですが、年を重ねるごとにそれはまさしく真理であると実感しています。
むろん人それぞれ、10代で口ずさみ、一生口ずさんでいく歌は無数にあると思いますが、我々世代にとって、渡辺みさっちゃんのデビューアルバムはそういう要素が強いのではないでしょうか。
なんたって時代がバブルへと激動していく80年代半ば、10代後半の心境にぴったりフィットするメッセージとサウンドが過不足なく詰まったアルバムだったのですから。
みさっちゃんから18才の自分が受け取った「大切な夢や/大切な言葉や/大切な人を/ずっとみつめていたい/大切な人へ/会えてよかった/美里」というメッセージを抱きしめながら、胸を熱くして聴いていたことを今もハッキリと思い出します。
ということで、85年10月の発売からちょうど30年。そのデビューアルバムが30周年記念盤として、CD+LPの2枚組限定盤「 eyes -30th Anniversary Edition-(完全生産限定盤) 」、CDのみの通常盤「 eyes -30th Anniversary Edition- 」としてお目見えすることになりました!
思えば松本典子&網浜直子をはじめ、国生さゆり、工藤静香らを輩出した第3回ミス・セブンティーンコンテストで最優秀歌唱賞を受賞。1985年5月にデビューしてから、今年でちょうど30周年を迎えたみさっちゃん。
個人的には85年初夏、受験を控えつつ、まさに18才のライブに突入しようとしていた時。EPIC・ソニーのアーティスト応援プロジェクト「Bee」で初めて知って以来、自らの胸に吹き荒れる疾風怒濤の青春をみさっちゃんのボーカルや歌詞に重ね合わせ、それこそ噛みしめるように聴いていましたから、やっぱりこのアルバムは別格なのですね。
小室さんを筆頭にしたTMネットワークをはじめ、兄貴分の千里クンにデビュー前の岡村ちゃんエトセトラ、若きEPICの仲間たちを中心に、みさっちゃんの声のもとにあつまった驚くほど良質な楽曲たち。 オープニング「SOMEWHERE」の多重アカペラから「GROWIN' UP」へと続く疾走感のもと、「18才のライブ」「悲しいボーイフレンド」「死んでるみたいに生きたくない」「きみに会えて」などなど、どの曲も10代の心境を代弁してくれるメッセージソングに思えたものでした。
若さを持て余し、ホンネでぶつかって、カッコよく一歩抜け出して軽やかに生きていかれたら…まさに80年代半ばのティーンエイジ・ウォークそのもの。小坂洋二プロデューサーの手腕は言わずもがなですが、当時のターゲット層の1人としては、あれは青春が数々の悩みと引き換えにくれた奇跡の贈り物だったのではないかと信じています。
このアルバムを出した後「My Revolution」でみさっちゃんは大ブレイクし、相乗効果でアルバムもバカ売れしていくワケですが、そういう上り調子の予感といいますか、EPICのアーティストに多いブレイク前夜のムードもパッケージされているように思います。
それこそLPがすり切れるほど聴き、CDに買い換えてからもいったい何度リピートしたか分からないほどですから、限定盤のLPとCDの2枚組というスタイルは、アナログレコードからCD移行期の名盤という時代背景も復刻されるようで余計に感慨深かったりします。
今回はもちろん最新リマスタリング、限定盤はLPサイズWジャケット仕様で、ジャケ写はあの前髪をカットする写真の未公開アザーカットになるのだとか!
さらにデビューシングル「I’m Free /タフな気持で(Don’t Cry) 」と、先行シングル「GROWIN’ UP」のカップリング「ルージュの色よりもっと」というアルバム未収録3曲をCDのボーナストラックとして収録するというオマケ付きです。
限定盤の方は店頭には置かれにくい体裁ですので、確実に入手されたい方はご予約をオススメします。
なお、みさっちゃんはあくまで現役。千里クン提供作を含む記念のオリジナルアルバム「 オーディナリー・ライフ 」や、歴史も分かるムック本「 渡辺美里ぴあ (ぴあMOOK) 」などもリリース済みですので、そちらの方も要チェックです。
(2015.10.12)