今度こそ! 筒美系ファーストがふたたび候補に!
1973年2月、CBS・ソニーの先輩であるKとブルンネンのカバーシングル「あの場所から」でデビュー。透明感あふれる美声で、静かな人気を博した朝倉理恵さん。
70年代には歌謡フォークというスタンスで活躍したものの花開かず。82年に柏原よしえによるリメイク「あの場所から」がトップ10ヒットを記録してからは、南沙織とともに「あの場所から」を歌っていた一人として再注目されてきましたが、一般にはテレビまんがの主題歌を歌った桜井妙子という別名の方が有名だったりします。
オーダーメイドファクトリーでは、お蔵入り音源を含むシングル全集「 GOLDEN☆BEST limited 朝倉理恵 」が2010年に商品化。昨年には、坂田晃一作品集といえるセカンド「 誰のために愛するか 」(こちらで紹介)が日の目を見ましたが、ここに来て2007年にエントリーされるも不成立に終わったファーストアルバムが、ボートラを加えて再度候補に挙がりました!
それが73年7月リリース、“透明に、そしてさわやかにひろがる朝倉理恵ファースト・アルバム”「 あの場所から +2 」です。
前回はまだOMFが今のようには浸透していませんでしたし、メジャーどころの再発もそこまで進んでいませんでしたから、いくら筒美作品がいっぱいとはいえマイナーな朝倉理恵の、しかもアルバムには手を出せない…という人が多かったような気がします。
しかし、今回は満を持したタイミング。ボートラが追加収録される上、ブルスペ2に格上げとなったのに、お値段据え置き。これなら、らくらくリベンジを果たせそうな感じもしますが、油断は禁物。もう最後のチャンスと思いますので、ファンの皆さんはもとより気になる方はご予約のほど、どうかよろしくお願いします。
LPはデビューシングル「あの場所から/ひとりの部屋」を中心に全曲楽譜付きで、朝倉理恵の方向性が親しみやすい弾き語りフォークだったことを物語っていると思いますが、収録曲はデビュー曲の作曲者である筒美京平先生の作品がメイン。
後にセカンド&サードシングルのB面としてリカットされた「眠れない夜」「港の詩」や、「おとうと」といった書き下ろしのほか、バーバラ・ホール「絵はがき」、岡崎友紀の「私は忘れない」といった筒美系フォークが収録されています。
アルバム自体は今回初CD化となりますが、筒美作品は「おとうと」とカバー2曲の3曲のみが初CD化ですので、旧譜を持っている筒美フリークなら3曲のために購入するか悩ましいところでしょうが、その価値は多分にあると思います。
ほかには、ガロ「学生街の喫茶店」「君の誕生日」「たんぽぽ」、チェリッシュの「若草の髪かざり」「避暑地の恋」という歌謡曲の匂いのするフォーク系カバー、すなわち朝倉さんのカラーに合ったナンバーがチョイスされています。
なお、ボーナストラックはアグネス・チャンの「草原の輝き」とチェリッシュの「白いギター」のカバー2曲。
これは、当時、自作自演用アクセサリー(自家製カラオケが作れるというシロモノ)として話題を集めたソニーのボイスフェーダーに付いてきたデモ用のレコードの音源だそうです。
ちなみに、75年発表のサードにしてベスト的な「ひとさし指」(太田裕美「雨だれ」のカバーも収録)は94年にCD選書でリリースされておりますので、今回のファーストの復刻が実現すれば、朝倉理恵の音源は全曲CD化となるようです。
商品化が決定するまでに予約すると、直筆サイン入りのスペシャルポストカードがもらえますので、どうせ予約するならお早めに!
(2015.6.5)