おじさんキラー(?!)の桜たまこ、初CDにしてコンプ!
もはや二巡三巡以上となっている復刻市場。出尽くしたといえる状況のゆえ、最近は数字の読めないC級の発掘より、手堅い再々発やアンコールプレスが圧倒的に多く、ネタ切れの感も漂っておりますが、ここに来て気炎を吐いているのが復刻の神様・高護さん率いるHotwaxシリーズ。
今年に入ってからも歌謡曲名曲名盤シリーズを中心に、数多くのシリーズでレアなタイトルの復刻をゾクゾクと実現してくれています。
以前はやさぐれ系が主流でしたが、今やアイドル系も全開。正統派からキワモノまで、毎月のようにリリースが続いていますが、個人的に大願成就といえるのが桜たまこの「 ファースト・アルバム 東京娘+8 コンプリート・コレクション 」!
76年6月、「夜の訪問者」でおなじみ、徳間音工・遠藤ミノルフォンレコードの1年先輩にしてレコ大新人賞にも輝いた小川順子に続けとばかりにデビュー。
作家陣も同じですし、パンチあふれるミノルフォンのヤング演歌の定石といいますか、大人の鑑賞にも堪えうる10代歌手というイメージでの登場でした。
ただ、デビュー曲「美しき独占」がパッとしなかったためか、年末に出た第2弾「東京娘」ではキッチュなドドンパ歌謡に挑戦。ドドンパのリズムに乗せて「おじさん」を連呼する歌詞のユニークさが受けて見事スマッシュヒットを記録。大きなインパクトを残したのです。
これに続くおじさんキラー(?!)路線で、日本テレビ音楽祭・金の鳩賞にもノミネートされた「おじさんルンバ」では、さらにエスカレート。ピンク・レディーブームの中、テレビでの歌唱を意識したパフォーマンスはさらに強いインパクトがありましたよね。
内藤やす子もやってた流行のパンチパーマの印象もありますが、あどけない顔でコブシを回しきわどいお色気ポップス歌謡を歌う姿は、子どもたちにも一定の人気を博していたように思います。
これまでにも「東京娘」やカバー曲の「ビューティフル・サンデー」なんかが徳間系のコンピでCD化されたことはありましたが、今回は桜たまこ初のCD。
唯一のLP「桜たまこファースト・アルバム 東京娘」に、アルバム未収録のシングル曲「若葉のふたり」「さよなら健ちゃん」「おじさんルンバ/明日山脈」「江の島海岸/あなたの腕の中」の6曲を加えたコンプリートコレクションとなっています。
ちなみにファーストアルバムは、オリジナルはデビュー曲の「美しき独占」と第2弾「東京娘」というシングル曲に「泣き虫天使」「恋人岬」の4曲で、残りは当時のヒット曲のカバー。
都はるみの「北の宿から」、内藤やす子の「想い出ぼろぼろ」、山口百恵の「横須賀ストーリー」、岩崎宏美の「想い出の樹の下で」に加え、ファミリーソングなのにヒットチャートのトップを獲った「ビューティフルサンデー」と「およげ!たいやきくん」と、演歌・歌謡曲、実力派のアイドルまで、歌唱力が堪能できる76年から77年当初の最新ヒットをメインにした選曲です。
テレサ・テンの「空港」、西川峰子の「あなたにあげる」という当時からするとちょっと古めのナンバーも入っていますが、これは彼女がアマチュア時代から得意としコンテストで披露した曲ではないでしょうか。
Hotwaxのミノルフォンといえば、天馬ルミ子・中野知子・山川ユキによる「 歌謡曲番外地~ルミ子・知子・ユキ ミノルフォン三人娘シングル・コレクション 」が話題を集めましたが、今回の桜たまこも大いに人気を呼びそう。
切望していた人も多そうですし、ミノルフォンの独特路線がお好きな方以外でも、テイチクの高田みづえや秋川淳子、コロムビアの谷ちえ子、CBS・ソニーの西村まゆ子など、ポップス演歌系実力派アイドルがお好きな方にもオススメします!
なお今回のシリーズでは、第2回ホリプロタレントスカウトキャラバンで審査員特別賞を受賞、グランプリの西村まゆ子が素行不良で解雇された後、代わってプッシュされた双子の歌謡アイドル・あいあいの「 おもかげ列車+9 コンプリート・コレクション 」も同時発売されるとか。
こちらもカバー曲満載で、アリス「冬の稲妻」から、井上陽水「心もよう」、渡辺真知子の「迷い道」、山口百恵「秋桜」、平尾昌晃&畑中葉子「カナダからの手紙」、石川さゆり「能登半島」とバラエティーに富んだ選曲となっていますので、カバー曲フリークの方にはオススメです。
(2015.8.26)
*収録内容に追加があり、「美しき独占」と「東京娘」のカラオケをプラスした「ファースト・アルバム 東京娘+8 コンプリート・コレクション」となりました。