タワレコ限定でオリアル4作が初CD化!
日本では珍しいタイプのシンガーとして45年間、圧倒的な歌唱力を誇っていますが、我々世代的にとってはTVジョッキーの司会での頼れるアニキ的イメージからの派生といいますか、色黒で好色なラテン系のイメージもあったり。
いつからか色黒の代名詞になって96(クロ)の語呂合わせで9月6日を「松崎しげるの日」にするなど、ご本人もそれをウリにしているようですが、今年のその日には幕張メッセで大がかりなイベント「デビュー45周年『黒フェス』しげる祭~白黒歌合戦~」を開催。
さらにはコップのフチ子みたいなデスクトップフィギュア「 コーヒーカップの松崎しげる 」も発売されたり、まさにJAKA JAKAとお祭り騒ぎのアニバーサリーイヤーになっているようです。
いやはや御年65歳とは思えない絶倫感いっぱいの活動ですが、新譜の方も記念の名曲カバーアルバム「 私の歌~リスペクト~ 」をリリース。衰え知らずのボーカルにいたく感動するばかりですが、ここに来てビクター時代後期のオリジナルアルバムの復刻もアナウンスされました!
それが78年から80年にかけて発表された4タイトル、タワーレコード・Tower To The Peopleシリーズでの発売となる「 ラブ<タワーレコード限定> 」「 MATSU FOR SALE<タワーレコード限定> 」「 ワンダフル・モーメント<タワーレコード限定> 」「 10th Ave.<タワーレコード限定> 」。いずれも初CD化です。
御大の場合、デビュー当初のMCAレーベルをはじめ、麻丘めぐみでおなじみのガムシリーズ、本家ビクター、SASのいたインビテーションと、ビクター音産の主要レーベルを渡り歩いた感じがありますが、復刻となるとライブ盤やTV企画盤を含め11タイトルのオリアルのうち「私の歌・俺たちの朝」が94年にQ盤・定番コレクションシリーズでCD化されたきりだったように思いますから、今回はホントに待望という感じではないでしょうか。
ショウビズチックな歌謡曲というパブリックイメージの楽曲だけでなく、AORやシティポップの側面からも楽しめるようですが、1枚だけとなるとやっぱり脂の乗り切った78年リリース、筒美京平作品を収録した「 ラブ<タワーレコード限定> 」を推したいと思います。
前年の77年「愛のメモリー」の大ヒットでようやくブレイクした御大ですが、アルバムとしてはその年の暮れに「愛のメモリー」収録の「ベスト・ヒット・アルバム」がバカ売れ。続くアルバムは本領発揮の東京ヒルトン・ディナーショー実況録音盤だったもので、ブレイク後のオリジナルアルバムとしては、コレが最初だったのです。
帯コピーに“シンガー松崎しげるが、あなただけに捧げます。ハートフルで鮮烈な愛のテーマを!酔いしれるオリジナル・アルバム完成!”とある通り、まさに満を持してリリースされたアルバム。
元々の収録曲は、シングル曲は一切含まない全編書き下ろしのオリジナル12曲。作家陣は「愛のメモリー」「偽りのバラード」、そして「銀河特急」というヒットシングルを書いたたかたかし、馬飼野康二、筒美京平という先生方がメインで、作家に転向した美樹克彦、かぶと虫の釘崎哲郎(くぎ哲郎)らが脇を固めています。
そしてボンドの後輩・岡田奈々ちゃんにも楽曲提供していたほどソングライターとしての才能も評価された御大ならでは、自作品も収録されております。
さらに今回はボーナストラックとして、同時期の未収録シングル4枚の7曲、すなわちブレイク後の新曲で明星とかの歌本では楽譜付きの紹介だった「偽りのバラード/ラブ・イズ・ジャスト・ア・ドリーム」、筒美ディスコの傑作で東京音楽祭ゴールデンカナリー賞に輝いた「銀河特急/こころは旅人」、ミッシェル・ルグランが手がけた手塚治虫原作の映画主題歌「火の鳥/愛は永遠に」、そして裸のジャケットが話題を呼んだ太平洋音楽祭グランプリ受賞曲「俺の愛し方」(B面の「シルビー」はアルバムからのリカット)が追加収録されるというサービスぶり。
ということで、筒美作品はアルバム収録の「愛さずにはいられない」「旅立ちの朝」に追加のシングル「銀河特急/こころは旅人」を合わせた4曲が入っていますので、筒美コレクターの皆さんにもオススメしたいと思います。
いきなりオリアルには手が出ないという方は、2011年リリースに出た「ゴールデン☆ベスト 松崎しげる」(こちらで紹介、今年2月には SHM-CD でもリリース)が非常に充実していますので、まずはそちらをどうぞ。
(2015.11.30)