松本隆ファン必聴!「リセ」収録曲が初CD化!
音羽の杜のキングレコードの旧譜再発といえば、2010年に始まった独自のパーフェクト・ベストシリーズ。
はや第4弾となるそうですが、今回は、キングの80年代最大の成功者・ミポリンの続編「 中山美穂 パーフェクト・ベスト 2 」と、これまでのリリースのタイミングが周年ベストと重なってしまい見送られていた2人のビッグネーム・バラドル「 森口博子 パーフェクト・ベスト 」と「 山瀬まみ パーフェクト・ベスト 」の3タイトルが発売決定だそうです。
今回は、マニアの皆さんから切望されてきた「WAKU WAKUさせての」12インチバージョンが初CD化となるミポリンも大注目ですが、ここでのイチオシはやっぱり「 山瀬まみ パーフェクト・ベスト 」です。
なんと今回、永らく未CD化だった初期のナンバー4曲が初CD化されるのです!
それが86年に出たミニアルバム「リセ」にのみ収録されていた「水蜜桃」「自由にして」「Miracle Kiss」「リボンをほどいて」。いずれも松本隆さん作詞の楽曲です。
いつも言っていますが、山瀬と言えば1年目。松本隆さんが渾身のプロデュースを行った作品群に尽きる、というのが個人的見解です。
しかも同期の水谷麻里や先輩の芳本美代子や斉藤由貴ら同時期の松本系アイドルと決定的に違うのは、松田聖子の後釜として捉えられるという点なのです。
それはデビュー曲が呉田軽穂とのコンビということからも予感できると思いますが、山瀬作品は、聖子が結婚して、封印せざるを得なかったロリータチックなコケティッシュ・メルヘン(結局は「Strawberry Time」でパワーアップして再開させるのですが)がベースになっているのが最大のポイントではないでしょうか。
しかもトウが立ってきた聖子に対して、山瀬は正真正銘のミドルティーン。プロポーションがよくてベイビーフェイスとくれば、ルイス・キャロルの本家ロリータですから、松本さんが目指したあの世界観の表現者としての素質は十二分に認められていたといえそうです。
という山瀬まみ奇跡の1年目、今回はデビュー曲「メロンのためいき」、第2弾の名曲「セシリア・Bの片思い」、賞レース参加曲にして南佳孝作品「Heartbreak Cafe」と、同じ佳孝作品でますます渋さを増した「Strange Pink」と併せて、松本作品を存分に堪能できそうです。
99年のキングCD文庫アーティスト・コレクションシリーズや、2011年のデビュー25周年記念CD+DVDベスト「山瀬まみ -25th Anniversary Best Album-」(こちらで紹介)を持っている人には結構ダブりが多くなりますが、初CD化4曲のために買って損はないと思いますので、ぜひどうぞ。松本さんや聖子のファンを自認する方にも聴いていただければと思います。あ、そのルーツと言える太田裕美「こけてぃっしゆ」がお好きな方にもオススメします。
ファーストアルバムの作品もまとめて、いつか“山瀬まみ、松本隆を歌う”みたいな企画盤が出ると言うことなし、というか、その日が来れば、山瀬のれっきとしたアイドル歌手としての再評価も正当に進み、バラドルをスルーする層からも見直されそうな気がします。
(2013.8.6)