「風立ちぬ」公開記念、ユーミン×ジブリの特別企画盤!
いよいよ7月20日の公開を待つばかりとなった、スタジオジブリ・宮崎駿監督の新作「風立ちぬ」。
この映画の鈴木敏夫プロデューサーが、主題歌として荒井由実の「ひこうき雲」を考えていると発言したのは昨年12月。同じく荒井由実のナンバーを主題歌にした「魔女の宅急便」などのブルーレイ発売を記念したトークショーの場でした。
ゲストのユーミン自身も、ちょうどデビュー40周年を迎え、ルーツであるプロコル・ハルムと共演したばかりだった頃で、感激もひとしおだったようですが、我々ファンにとってもとても喜ばしいことでしたよね。
魔女か、スーパーレディかと言われた天才少女・荒井由実が作詩作曲した「ひこうき雲」は、40年前の73年11月20日に発売されたファーストアルバムのタイトル曲。作曲家志望だったユーミンが、アルファレコードの村井邦彦さんに曲を書いては持って行っていた頃の1曲で、最初にレコーディングしたのはかの雪村いづみだったと言われています。
夭折した同級生や、高校生同士の投身自殺に触発されて創られたとユーミン自身の言葉として語られていますが、通っていた学校やプロコル・ハルムにインスパイアされた教会音楽のイメージから聖母マリアの賛美歌のように感じられたり、その詩世界から神風特攻隊の鎮魂歌のように思われたりすることも多いのですね。
今回は、映画の内容が明るみになるに連れ、後者の導きだったのかななどと考えたりしていますが、いずれにしても古今東西を超越したメッセージを孕み、世代を超えて心に響く名曲であることに違いはありません。
という「ひこうき雲」ですが、今回そのアルバムが新しくデジタルリマスタリングされた上、“ユーミン×スタジオジブリ”の特別企画盤としてよみがえることになりました!
しかも、CD+DVDの「 ひこうき雲 40周年記念盤 (CD+DVD)(完全生産限定盤)(LPサイズ絵本仕様) 」、アナログLP+CD+DVD「 ひこうき雲 40周年記念盤 (LP+CD+DVD)(完全生産限定盤)(LPサイズ絵本仕様) [Analog] 」という2タイプでのリリース。
それぞれ7月31日、8月14日と発売日は違っていますが、基本的には“~宮崎 駿がユーミンに贈った18枚の絵~”というサブタイトルの通り、宮崎監督の画18枚で構成されたLPサイズ絵本という豪華ブックレット仕様になるのだとか。
DVDには、砂田真美監督による新たなミュージッククリップと、松任谷正隆プロデュースによる新録音「ひこうき雲(RE-MIX)」を収録。リミックスは新たなストリングスや、現在のユーミンのボーカルを加えたバージョンでしが、動画ではなく静止画と音声の組み合わせになるとのこと。
なお、アナログLPは、重くて安定感のあるデラックスな180g重量盤だそうです。
それにしても「ひこうき雲」が40年経ってもエバーグリーンなのは、楽曲そのものの良さや荒井時代特有のメッセージ性もさることながら、アルファレコードの担当ディレクター・有賀恒夫さんの功績も大だったといえるでしょう。
感情の揺らぎとして味わいがあるからちょっとぐらいピッチが狂ってもいいと唱えるユーミンを制し、ピッチに細かくこだわり、ノンビブラートによるユーミン独自のボーカルを確立させたのですからね。
LP時代から東芝、アルファと再発を繰り返し、CD時代になってもユーミンの目の届かない所で何度もリリースされてきた「ひこうき雲」。型番だけでも10以上、販売元の変更を加えると数え切れないパターンが出回っているんじゃないかと思いますけど、アルファレコードがレコード会社ではなくなり、ユーミンサイドの意向が反映されるようになってから、ようやくバーニー・グランドマンによりリマスタリング盤がEMIから出ましたが、それでさえ2000年のことですから。
よって昔から「ひこうき雲」のCDを聴いてきた人は、出るモノ全部買うというコアなファンや、荒井BOXをお求めの人以外、ほとんど音質に難ありのアルファ時代じゃないかと思いますので、これを機に買い増しや買い換えなさってはいかがでしょうか。
個人的には、ジブリ映画の余韻に浸りながら聴くのもはもちろん、以前NHK-BS 2で放送された「MASTER TAPE~荒井由実『ひこうき雲』の秘密を探る~」の録画とともに、あらためて楽しみたいと思っています。
(2013.6.25)