オススメ復刻盤「春子の部屋～あまちゃん 80's HITS～」

　いま老若男女の人気を独占しているドラマといえば、やっぱりNHK朝の連続テレビ小説「あまちゃん」。

　東北は北三陸の小さな田舎町が舞台。東京出身の天野アキ（能年玲奈）が、母・春子（小泉今日子）の故郷で海女さんを目指すうち、いつしかご当地アイドルになって、やがては全国区のアイドルへと…という姿を描いた物語ですが、クドカンこと宮藤官九郎の脚本だけあって、スピード感のある独特の展開はもちろん、幾重にも張り巡らされた伏線や小ネタも満載。朝ドラなど全然見なかったという層も釘付けにしているようです。

　アイドルフリークにとって見逃せないのが、ドラマの重要なポイントになっている80年代アイドル。小泉今日子、薬師丸ひろ子といった80年代には“ネ申”だったトップアイドルのレギュラー出演はもとより、実際の80年代アイドルの歌唱VTRが流れたり、トシちゃんのモノマネタレントが出てきたり、小道具で懐かしのレコードやラジカセが出てきたり。
　現役アイドルファンも見逃せないAKB48の本格パロディーを含め（「暦の上ではディセンバー」は本家を凌駕しているのでは？）、朝ドラとは思えない作りにマニアの皆さんの熱狂度は日ごとに高まっているようです。

　その中でも話題に上るのが、春子の部屋のセット。アイドルを目指し家出した84年当時のまま残されているという設定で、扉や壁には松田聖子のポスターや、シングルレコードが盤付きで貼られていたり、赤いラジカセにカセットテープが散乱していたり。
　レコードや小物の強烈なチョイス（聖子のポスターが81年秋の初ベスト盤「THE BEST／聖子・fragrance」だし、82年の始めにはすぐ恥ずかしくなってたなめ猫グッズがあったり…個人的にはどう見積もっても82年の夏のイメージです）など、いくら地方とは言え、84年の、それもアイドルを目指していたカッペヤンキー系少女の部屋とは思えず、ツッコミどころが満載なのですが、それもまた笑って見てしまうのがこのドラマの魅力といえるでしょう。

　さて、そんな春子の部屋ですが、なんとそのラジカセから流れていた名曲をコンセプトにしたというコンピ盤「春子の部屋～あまちゃん 80’s HITS～」がリリースされることになりました！

　まさに、じぇじぇじぇーー！！という感じですが、それも２タイトル。ビクター編「 春子の部屋～あまちゃん 80's HITS～ビクター編 」とソニーミュージック編「 春子の部屋～あまちゃん 80's HITS～ソニーミュージック編 」が同時発売なのです。

　いずれもクドカン自身が選曲と監修を担当、ライナーも書くという力の入れよう。劇中でVTRが流れた80年代のヒット曲に加え、劇伴音楽を手がけサントラも大ヒットさせた大友良英さん作曲のインストナンバー「春子の部屋」「春子の夢」も収録されるそうです。
　もちろんジャケットは、聖子ちゃんカット（当時あの髪型にしてた家人はブローが甘すぎだと言っていた）でキメた高校時代の天野春子（有村架純）。ドラマ発のものとしては近年まれに見る好企画と言えるでしょう。

　なんとビクター編には、キョンキョンの「まっ赤な女の子」や、大女優・鈴鹿ひろ美役で出演している薬師丸ひろ子の「セーラー服と機関銃」が入っていたり、YMO「君に、胸キュン。（浮気なヴァカンス）」、忌野清志郎＋坂本龍一「い・け・な・い ルージュマジック」などなど、登場したナンバーがそろい踏み。
　女性アイドルとしては、クドカン永遠のアイドル・斉藤由貴の「卒業」をはじめ、薬師丸さんの妹分・原田知世「時をかける少女」、キョンキョンと同じ花の82年組としてビクター同期の松本伊代「TVの国からキラキラ」、スタ誕同期の中森明菜「飾りじゃないのよ涙は」（早見優「夏色のナンシー」はソニーミュージック編）などがチョイスされています。
　まさかクラッシュギャルズ「炎の聖書（バイブル）」やセイントフォー「不思議 Tokyo シンデレラ」が朝ドラで流れるとは思いませんでした…。ちなみに84年のヒットしては、吉川晃司「モニカ」、チェッカーズ「涙のリクエスト」少女隊「Forever －ギンガム・チェック Story－」も選ばれています。

　一方ソニーミュージック編は、春子憧れのスーパーアイドル・松田聖子「風立ちぬ」が燦然と輝いていますが、マッチの「情熱☆熱風☽せれなーで」やシブがき隊の映画主題歌「DJ in my LIFE」という太巻系ジャニーズも収録。
　さらに80年代後半以降のアイドル史を変えたおニャン子クラブがテンコ盛りで、中島美春の「じゃあね」、新田恵利の「冬のオペラグラス」、国生さゆり「バレンタイン・キッス」（河合その子「青いスタスィオン」はビクター編に収録）が入ってますし、新人類アイドルとい意味では水谷麻里の松本＋筒美作品「21世紀まで愛して」もプッシュしたいところ。
　ジュディ・オング「魅せられて」が70年代ヒットではありますが、こちらの大穴は、大吉役の杉本哲太がいた紅麗威甦「ぶりっこRocknRoll」や、スターボー「ハートブレイク太陽族」、大沢逸美「ジェームスディーンみたいな女の子」といったところでしょうか。84年のヒットは吉幾三「俺ら東京さ行ぐだ」ぐらいでしょうかね。

　という「あまちゃん」ファンにはたまらないコンピ。コレをお読みの皆さんなら持っている音源ばかりでしょうが、リーズナブルだし、また別な楽しみ方もできると思いますので、ドラマを見ている人はぜひどうぞ。

（2013.7.18）

＊小泉今日子演じる天野春子が歌う「 潮騒のメモリー 」のCDリリースも決定しました！初回限定盤には「潮騒のメモリー」のプレミアムアナログシングルが当たる応募抽選ハガキも封入されるそうです。
　なお、CDのリリースに先駆け、 iTunes Store、amazonなどでの 配信 もスタートしています。


＊「潮騒のメモリー」（天野春子、潮騒のメモリーズのバージョンなどを含む）をはじめ「暦の上ではディセンバー」「地元に帰ろう」など劇中歌など全15曲を集めたアルバム「 あまちゃん 歌のアルバム 」も同時発売されることが決定しました！