シリーズ待望!ついに西村まゆ子と朝風まりが登場!
先日、ソニーミュージックのオーダーメイドファクトリーで、トントン拍子で復刻実現と相成った「アイドル・ミラクルバイブルシリーズ 77・78 Girls 久木田美弥・小山セリノ・久我直子」(こちらで紹介)。
いつもは苦戦気味の70年代ですが、拍子抜けするほどズムーズだったので、この追い風ムードで一気にたたみかけたいところと思っていましたら、ハイ、次が出ました!
かねてから切望されていたメンツを含む「アイドル・ミラクルバイブル77~79 Girls 園田ことり・西かおり・西村まゆ子・朝風まり・菅沢恵子 」、今回はCBS・ソニーオンリーの人選です。
まずは77年、「君こそスターだ!」をきっかけに、CBS・ソニー直系のエイプリルミュージック所属でCBS・ソニーのエイプリルレーベルからデビューした園田ことり。デビューシングル「少女らしく愛を/青春の掟」と、王選手の世界新記録・756号ホームランを祈る企画もの「カモン!7・5・6/恋のホームラン」が収録され、今回初CD化となるようです。
なお、彼女は後に演歌歌手・山村貴子として再デビュー。かつてデーモン小暮も推薦したことでも知られ、現在も現役で広島を拠点に活動しているそうです。
同じく77年デビューの西かおりは、翌年の中原理恵につながる蓮っ葉感やビジュアルイメージもありましたし、パンチのある歌唱力もバツグンでしたが、CBS・ソニーからは「恋は大ピンチ/シークレット」という1枚のみ。A面は99年のアーリーシリーズ「アーリー70´sフィーメイル・アイドル・コレクション Vol.2」でCD化済みでしたが、まさかB面までCD化されるなんて…。
なお、翌年にポリドールへと移籍、「心ゆらゆら/秋日記」「裏切りコール/ペーパー・タイガー」「雨のルンバ/風恋歌」などのシングルが出ているそうです。
お次は大スイセン、榊原郁恵に続く第2回ホリプロ・タレントスカウトキャラバンの優勝者、西村まゆ子です。
コブシの回る肥後のおなごで、お隣の薩摩おごじょ・高田みづえ路線のポップス演歌系ですが、とにかくプロモーションがすごくて、デビューの際には、ひと月も前から等身大パネルがあちこちのレコード屋にあったほどプッシュされまくり、ホントに鳴り物入りでした。
にもかかわらず、第2弾を出した後、素行不良という理由で引退を余儀なくされてしまったのですが、今回はその2枚、デビューシングルにして名曲「天使の爪/手紙は書きません」、フラメンコ歌謡イン・ディスコの傑作「ひと恋初めし/風になって」をコンプリート。A面曲は2001年の通販BOX「 ホリプロタレントスカウトキャラバン 25thメモリアル 」でCD化済みですし、お蔵入りになったといわれている「共有世代」はもちろん入りませんが、いわくつきアイドルだけに今回B面2曲がCD化になったことだけでも感謝したいと思います。
そして、濃い目の歌謡曲マニアに切望している人が多い78年デビューの朝風まり、「ザ・マジック/ 恋はマジシャン」「くせになるから/ 海に来た女」です。
引田天功の愛弟子としてデビューした彼女ですが、天功亡き後には二代目を襲名、今や世界を股にかけるプリンセス・テンコーとしてセレブリティの仲間入りを果たしています。西洋人が絵に描いたような東洋美女のルックスになっちゃいましたが、当時は初々しいマジック界のアイドルでした。
暴露系VTRでは、伝説の色物歌手だった…みたいな扱われ方をしてしまいますけど、当時の感覚ではさほど違和感はなく、やってる方は全くもって大マジメ。ホットパンツで露出度の高いコスチュームに身を包んだ朝風まりは、全盛のピンク・レディーに近いイメージで、歌いながらステッキを振って花を出したり、シルクハットから鳩を出したり、正統派ではないけれどさほどキワモノ的でもなかったのです。
余談ですが、70年代は空前のマジックブームで、手品自体が市民権を得ていました。天功の大脱出は日本テレビの木曜スペシャルでシリーズ化されたほどでしたし、そういう大がかりなものだけなく、正統派マジシャン・伊藤一葉も大人気で、手品セットがおもちゃ屋で売れまくっていたりして(私事ですが小2のクリスマスにサンタさんにお願いしたのは一葉のマジックステッキでした…)、手品師がスターとして活躍していた時代だったのですね。
そんな中、女性ではスマートな松旭斎すみえも人気がありましたけど、マジック界のアイドルは朝風まりの方でした。
そしてニューミュージック全盛の79年、「スター誕生!」から登場した菅沢恵子。
スタ誕出身者としては珍しく、アイドルというよりも美人シンガー的なイメージで売り出された感がありますが、清水健太郎を大ヒットさせた川端薫ディレクターが担当ということで、全幅の信頼を置いていたつのだひろや、丸山圭子、伊藤薫らフォーク・ニューミュージック系の作家陣(中にはX JAPANのTOSHIと騒動のあったあの人の名も…)が楽曲を提供していました。
といっても2枚のシングル「哀しくて哀しくて/つづれ織り」「深夜族/テイク・リスク・トゥナイト」は、ハスキーボイスを生かしたアダルト歌謡ポップスというアピールでした。
「深夜族」は、ヒロリンや黒木真由美と同じ回のスタ誕決戦大会出場者・水越けいことの競作でしたが、CD化されていたのは、スタ誕のコンピでデビュー曲だけということですので、今回喜んでいる人は多いでしょう。
思えば、川端Dは、同じ年に須藤薫さんもデビューさせているんですね。
という70年代後半アイドルの貴重なシングル曲集。それぞれ毛色が異なる上、ほとんどが2枚でフェイドアウトしたアイドルばかりですので、好みがかなり分かれるんじゃないかと思いますが、それぞれのファンにとっては夢の企画といえるでしょう。
逆にバラエティーに富んでいるので、アイドルマニアならかなり楽しめるかもしれませんね。
(2013.5.27)