ナツメロ喫茶店

 ビバ!旧譜の新譜。紙ジャケからBOXまで、ナツメロ復刻盤&再発盤、コンピ盤などのレビューコーナーです。

#1158
スポットライト ~会いたかった!! 80's アイドル
(2023.8.30発売、UICZ-8226〜7、¥3,520<税込>)

マイナー女性アイドル、初CD化がそろい踏み!

 レコード時代から廃盤市場や復刻市場では圧倒的人気を保ち、コレクター心を刺激してやまない女性アイドル。
 シングルヒットなど1曲もなく、顔もうろ覚えのアイドルでさえ、ふと気がつけば全音源がCD化されている超復刻時代となってはや幾年。もはやC級どころか、D級、E級といえるような無名アイドルまで、いとも簡単にCD化されてきた印象があります。
 
 90年代まではインディーズレーベル発のマニアックな企画も、消費行動がネットへとシフトしていった2000年代からはメジャーレーベルの純正商品へと進化。
 例えば、ソニーミュージックは、B級アイドルに焦点を合わせ各社合同企画として始まった「アイドル・ミラクルバイブル」シリーズを、市販からオーダーメイドファクトリー( こちらなどで紹介)へと販路を移し、よりマイナー音源を発掘。
 さすがアイドルポップスというジャンルを切り拓いたレコード会社だけあって、CBS・ソニーはもとより、系列のエピック、傘下に収めたRCAなど、アイドル前夜の60年代終盤も含めローラー的にごっそり刈り取ってきた印象があります。
 
 一方、70~80年代のアイドル市場でCBS・ソニーの好敵手だったビクターは、マイナーを含む自社アイドルの歴史的コンピ盤を昔から定期的に発売。
 2014年の「アイドル・ポップス黄金時代」( こちらで紹介)など、A級ビッグネームのヒット曲に紛れて誰も知らないような女性アイドル、それも未CD化のナンバーも丁寧にセレクトしてCD化してきたほか、インディーズ企画にも対応するとともに、2019年には超マイナーに特化した「ビクターアイドル超絶レアトラックス<1970年代編> 」( こちらで紹介)や「ビクターアイドル 激烈レアトラックス<1980年代編>」( こちらで紹介)のリリースを敢行。これで一気に初CD化が進んだのは記憶に新しいところです。
 
 その他のレコード会社でも、大成したアイドルを避けて選曲されたワーナーの「きらめきアイドル~ワーナー70'sコレクション」「ときめきアイドル~ワーナー80'sコレクション」( こちらで紹介)、レア度は少ないものの、A級B級取り混ぜたキングの「アイドル黄金時代」( こちらで紹介)や東芝EMIの「プレミアム・ツイン・ベスト 昭和のアイドル・ベスト」( こちらで紹介)、テイチクでは「テイチク70'sアイドル・コレクション」「テイチク80'sアイドル・コレクション」や、他社はA級、自社はB級という「IDOL!アイドル!あいどる!80’s-90’s」などなど、さまざまな女性アイドルコンピが出ておりますが、ここに来て、ユニバーサルから驚きの企画が登場します!
 
 それが「 スポットライト ~会いたかった!! 80's アイドル」!
 かつての東芝EMI、ポリドール、トーラス、日本フォノグラム、キティと、今やユニバーサルに吸収されてしまった各社から80年代にデビューした女性アイドル、それも入手困難となっているレア音源を選りすぐって収録という内容です。
 
 2枚組で計30曲が収録されるとのことですが、現在予定されているラインアップを見てビックリ。
 長野県観光キャンペーン推進協議会選定、さわやか信州観光歌詩募集入選作品の加川貴奈「さわやか信州」を筆頭に、神奈川県知事が名付け親だという石崎はるこ「ヨコハマは何処ですか」、テクノなディスコ歌謡として珍重されている森岡あきこ「砂漠にオーロラ」、大滝裕子や久保田早紀を輩出した「ラブ・アイドルアタック!」(ミスター&ミスセブンティーンコンテスト)決勝大会出場の千葉まなみが歌うもんたよしのり作品「ミスタースキャンダル」、第3回東芝EMIタレントスカウトキャラバンで桑田靖子とW優勝した大内和美(後の三井一美)の東京キッドブラザース公演の主題歌「ワンダフル・コミュニケーション」(小椋佳作品)、小田急キャンペーンガール・吉成かおり(香、後の市川かおり)の第3弾「パステル色の朝」、酒井雅子のアニメ映画「11ぴきのねことあほうどり」主題歌「キャッツ・ダンス」、女子大生パブの女の子で結成と今ならフェミ炎上しそうなブスっ子くらぶ「高校時代」、田辺エージェンシー所属、怪物ランドの妹分的存在だった3人組「ふられ上手な女たち」、元セイントフォーの濱田のり子と鈴木幸恵が結成したロック系ボーカルデュオ、ピンク・ジャガー「DANGER ZONE」、渡辺絵麻のTVアニメ「マシンロボ・クロノスの大逆襲」エンディングテーマ「青いハートのストレンジャー」などなど。
 
 オリジナルがCDリリースだった80年代後半のナンバーや、サントラ系でCD化されているアニメソングなども含みますが、復刻という意味でCD化されているのはMEG-CD化済みの黒沢ひろみの4枚目「夏の蜃気楼」、Hotwaxの“夜の番外地”シリーズに入ったウーパールーパー&チェイン「ウーパー・ダンシング」(尾崎亜美がパピ名義で発表した日清焼そば「U.F.O.」CMソングの競作盤)ぐらいでしょうか?
 
 名前を聞いてもジャケ写を見ても、全く知らないアイドルもいますし、いくらアイドルフリークがB級やC級を珍重するとはいえ、ポカンとしてしまうラインアップに驚いておりましたが、監修が濱口英樹さんと聞いて納得。
 最近のお仕事でも中森明菜 ワーナーイヤーズ・全アルバム復刻シリーズ( こちらなどで紹介)や酒井法子35周年記念ベスト「 Premium Best」など、アイドルもメジャー系のお仕事が目立ちますが、未CD化曲にポイントを絞ったビクターの「アイドル・ポップス黄金時代」と同じく、マイナー系アイドルでも緻密な手腕がいかんなく発揮されております。
  
 なお、楽曲という意味では、メジャーレーベルにつきアイドルポップスに欠かせないヒットメーカー、例えば筒美京平、平尾昌晃、馬飼野康二、森田公一といった先生方の隠れた名曲を発掘するという楽しみ方もできそう。
 個人的にはやっぱり筒美作品、水谷圭のセカンドシングル「Bad-Boyに気をつけろ!」の初CD化がイチバンです。
 
 

(2023.6.12)

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