ナツメロ喫茶店

 ビバ!旧譜の新譜。紙ジャケからBOXまで、ナツメロ復刻盤&再発盤、コンピ盤などのレビューコーナーです。

#1173
アイドル・ミラクルバイブルシリーズ 葛城ゆき・田中真美・田島裕子・ピーマン
(2023.10.27発売、DQCL-804、¥3,300<税込>) *オーダーメイドファクトリーで条件をクリア、商品化が決定!

これぞアイドル?ミラクル、ヤマハ系4組!

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 2003年にメーカー3社合同の市販企画としてスタートし、マニアックな女性アイドルコンピとして、異例の人気を誇ってきたアイドル・ミラクルバイブルシリーズ。08年にはソニーミュージックのオーダーメイドファクトリーが通販限定で継承、ソニー盤だけでも30を超えるタイトルがリリースされてきました。
 
 B級やC級というレベルを超え、D級、E級、いや見たことも聞いたこともない“幻”級の無名アイドルまでをこそげ取るように復刻させていったせいか、いつしか行き着いた感があり、もはやアイドルと呼ぶには「?」マークが付く歌手やジャンルにまで及んでしまったのも事実。
 そのせいか、近年はブランクが空いていましたが、先ごろ、ソニー盤としてはシリーズ34枚目にして8年ぶりとなる「アイドル・ミラクルバイブルシリーズ ファイナル」( こちらで紹介)が登場。
 さすがOMFの主力商品といいますか、候補に挙がるやいなや瞬殺で実現し、人気シリーズの面目躍如といった底力を見せつけました。
 
 久々の新編なのに打ち止めということで、あちこちから惜しむ声が上がりましたが、そのリクエストに応えるように、「 アイドル・ミラクルバイブルシリーズ 葛城ゆき/田中真美/田島裕子/ピーマン icon 」がOMFの候補に挙がりました。
 実は、ファイナルの前作として予定していたものの収録曲の調整に時間がかかったということですが、後先になる程度のことは何度あってもコアなファンの皆さんは大歓迎といったところでしょうか。
 
 とはいえ、今回も「?」マークこそ付いていませんが、アイドルと呼んでしまうには、ちょい無理のあるラインアップ。選者でもある加納糾プロデューサーの嗜好が色濃く表れた企画で、ヤマハ・ポプコン出身のシンガー、すなわち葛城ゆき、田中真美、田島裕子、ピーマンという4組のレアシングル・コレクションとなっています。
  
 ヤマハのポプコンというと、自作自演のシンガー・ソングライターのみならず、応募作品を歌う譜面歌手も数多く輩出しておりますし、70年代半ばのフォークブーム以降、ニューミュージック全盛期にかけては、ヤマハ出身者の多くがアイドル的役割を果たしていたのも確か。
 古くは、史上最年少の小学生シンガー・ソングライターとして話題を呼んだチューインガム、いきなりのミリオンセラーながら16才で活動自体もアイドルっぽかった小坂明子を筆頭に、本間由里や内海みゆきら演歌系アイドルのような実力派もいましたし、八神純子、庄野真代、渡辺真知子の3人はニューミュージック界の女性アイドルでした。
 他にもルックス的にもアイドルといって遜色のなかった石川優子、小林千絵、森川美穂、野田幹子などなど、懐の深さも含めヤマハからは多彩なアイドルが出たと言っても過言ではないでしょう。
 思えば、天地真理(斉藤マリ)やピンク・レディー(クッキー)といった国民的トップアイドルもルーツはヤマハで、ポプコンにエントリーしているワケですしね。
 
 ということで、今回の4組もヤマハのアイドル枠ということで括ってしまえると思いますし、それもアイドルミラクルなのではないでしょうか。
 まずは1人目、葛城ゆきさんはご存じ「ボヘミアン」の葛城ユキ。朝霧マチという名前だった頃から、ポプコン生みの親であるヤマハ・川上会長お気に入りの譜面歌手として知られています。
 今回はRCA時代に出した3枚のシングルを収録。第7回ポプコン最優秀賞「木曽は山の中/いつか、そっと」に、「蛍/小さな出発」「泣かせて今夜は/悲しみが消えるまで」。チューインガムのお父さんやポプコン出身で活躍した因幡晃さんが手がけた作品を歌っていますが、フォーキー&ポップでチャーミングな名唱です。
 
 2人目の田中真美さんはヤマハのボーカルオーディションで優勝し、79年にRCAからデビュー。「ムーンライト・セレナーデ/漂流」「愛は黄昏の中で/気まぐれマイ・ラブ」「涙のロンリー・ボーイ/時よ」とシングル3枚で、「トーキョー・ソウルフル歌謡」として再評価された「涙のロンリー・ボーイ」以外は初CD化のようです。
 ちなみに、現在は田中マイミとして活動し、「ミラクルショッピング~ドン・キホーテのテーマ~」が代表作。なんとドン・キホーテの幹部社員として活躍するなど、ビジネスの才能も発揮されたのだそうです。
 
 3人目の田島裕子さんは第10回で入賞。資生堂のCMソング「あざやかに生きて」がスマッシュヒットしましたが、ここではRCAに移籍して出した「おもかげ My Friend/ガラスの午後」のみ。B面曲は山川啓介+森田公一作品で「アフタヌーン・ショー」のテーマソングでした。
 
 最後は、キャンディーズに対抗し、ヤマハが生んだアイドル3人組・ピーマン。サーカスのお姉さん・叶正子さんや、ソロとしてCBS・ソニーからデビューする景山美紀さんが在籍したグループで、ポプコンには譜面歌手として複数回で入賞。アイドルフリークにとってはアイドルとしての評価は高くないようですが、ピンク・レディーのスタ誕応募曲「部屋を出て下さい」のオリジナルアーティストとしておなじみの存在ですよね。
 今回は「恋のライバル3対1/空のラブサイン」「ラブ・タッチ/ブルーの瞳」「部屋を出て下さい/小さな詩」の全シングルを収録。デビュー作はキャンディーズをブレイクさせた千家和也+穂口雄右コンビですが、実はキャンディーズより早い起用なのですぞ。
  A面曲は「きらめきアイドル~ワーナー70'sコレクション」( こちらで紹介)でCD化済みですが、B面曲は初CD化となります。林哲司さんがヤマハ時代に書いた「ブルーの瞳」(編曲は林哲司・萩田光雄の連名)は要チェックです。
 
  という、シリーズのファイナルメーカーとなるであろう1作。続編や継承は、マンパワー的な問題で難しいのではないかと思っていますが、アイドルにミラクルはつきもの。アフターファイナルの実現を願う方は、ぜひ熱い思いとともに、 OMFへリクエストを!
 
 

(2023.9.4)
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