シティポップ、昭和グルーヴ再評価でヴァイナル化！

　今年は1984年デビューの皆さんが40周年というアニバーサリーイヤー。ナガヤマちゃんこと長山洋子さんは、ポップス&演歌のオールタイムベスト（ こちらで紹介）をリリースしたり、オギノメちゃんこと荻野目洋子さんは記念のライブツアー「Yoko Oginome LIVE Tour 2024 ～The 40th Anniversary～」 を予定していたり、シティポップで人気再燃の菊池桃子さんはニューアルバムの発売とライブ「Special Live“EMERALD” ～40thAnniversary&Birthday～」の開催が決定したりと、女性アイドル陣のニュースが聞こえてきていますが、84年組女性アイドルのトップといえば、やはりユッコこと岡田有希子さん。
 
　ユッコの場合、35周年の2019年は三十三回忌ということもあってかリリースラッシュとなり、竹内まりや提供作品集「Mariya’s Songbook」（ こちらで紹介）が出たり、全音源を収録したBOX「贈りものⅡ」がポニーキャニオンショッピングクラブの通販限定で再発売（ こちらで紹介）されたり、オリアルのCDやハイレゾ配信なども含め、さまざまなアイテムが現在も入手可能となっています。よってもう40周年の動きはないかと思っていましたら、別方向からやってまいりました！
 
　それが、アナログ盤12インチシングル「 Summer Beach 」のリリース！
 
　今や海外でシティポップとして注目を集めているという「Summer Beach」は、85年4月にユッコ5枚目のシングルとしてリリースされたナンバー。才女・尾崎亜美の作詞作曲で、松任谷正隆が編曲、オリコン5位をマークするヒットとなりました。
　ユッコのデビュー２年目を支えた亜美ちゃんは、同時にサンミュージックの先輩である松田聖子も担当。ヒットメーカーとして乗りに乗っていた頃。結婚休業に入る聖子からユッコへのシフト、というセンもあったのかなかったのか、マンタさんのアレンジも含め、聖子チックなメロウでトロピカルなムードを持つ楽曲です。
 
　アルトでシックな声質のユッコが、一生懸命軽やかに歌っていた姿を思い出しますが、昨年には、ジャパニーズ・シティポップブームの火付け役の１人、韓国のDJ・Night Tempoがリミックスし、デジタルシングルリリースするなど、“ザ・昭和グルーヴ”としても注目を集めておりますから、その流れのヴァイナル化といえそう。
　ジャケットがユッコの写真ではなく、AIによって生成されたビジュアルということからも、コアなオールドファン向けのレトロな復刻商品ではなく、若いリスナーのナウな音楽シーンを意識して送り出されるトレンドアイテムと考えた方が良さそうです。
　また、45回転の12インチシングルは、昔から音が良いとされてきましたので、そういう観点からも楽しめる1枚ではないかと思います。
 
　ちなみにB面には、松田聖子（Seiko）の作詞で坂本龍一が作曲したラストシングルにして、ユッコ唯一のオリコン１位獲得曲「くちびる Network」を収録とのことですから、まさに強力盤ですよね。
 
　ユッコのアナログ盤としては「Mariya’s Songbook」の ヴァイナル化以来4年ぶりとなりますが、今回はファン以外にも広がりそうなので、感慨もひとしお。
　最近は昭和ポップスや昭和アイドル好きのヤング層の間でも、評価が高まっているというユッコ。あの出来事を知らない人たちには、楽曲と才能に恵まれた伝説のアイドルシンガーとして純粋かつ正当に再評価されているように思いますし、このままユッコのうたが今後も聴き継がれていってほしいなと願っています。
 
　なお、ユッコの場合、前述した通りBOXが入手可能ですし、全曲がハイレゾ配信（96kHz24bit）されていますので、ひと頃を思えば夢のような状態。
　オリアルはEP盤サイズのダブル紙ジャケット仕様のUHQCDが単品発売（ こちらで紹介）されていますし、ベスト盤も、EP盤のジャケット復刻ブック付きの「ゴールデン☆アイドル」（ こちらで紹介）や、カラオケ付きの「ザ・プレミアムベスト 岡田有希子」（ こちらで紹介）もまだ流通していますので、もし今回のヴァイナルでユッコを初めて聴いたという人がいましたら、ぜひ奥深く掘っていただけたらと思います。
　竹内まりや、尾崎亜美を筆頭に、かしぶち哲郎をはじめとするムーンライダーズ、松任谷正隆、大貫妙子、EPO、清水信之、財津和夫、小室哲哉、杉真理、堀川まゆみ、山口未央子などなど、豪華な作家陣諸氏が提供するなど、ユッコは本当に楽曲に恵まれたアーティストですので、12インチの「Summer Beach／くちびる Network」でユッコという存在やその魅力に初めて気づいた若い人たちが他のシングルやアルバムへと進むことに大いに期待しています。