ヤマハ・合歓ポピュラーフェスティバル名曲集！

　1970年代から80年代にかけてのヤマハ音楽振興会といえば、ポピュラーソングコンテスト（ポプコン）やライトミュージックコンテスト（ LMC）など、アマチュアを対象にした数々のコンテストを主催。
　フォーク・ニューミュージックやロック系アーティストを多数輩出し、シンガー･ソングライターの台頭を後押ししたイメージがありますが、実は、初期にはプロの作曲家を対象にしたコンテストも並行して行っております。
 
　それが、69年から71年まで三重県・合歓の郷で開催された「合歓ポピュラーフェスティバル」。
　プロの作曲家にとって自信の新作を発表する場となったもので、中村八大、宮川泰、東海林修、村井邦彦、三木たかし、服部克久、鈴木邦彦、川口真、すぎやまこういち、森岡賢一郎、平尾昌晃、都倉俊一ら、当時は新進のヒットメーカーでも後にビッグネームとなる職業作家がずらり。
　作詞家陣も安井かずみ、山上路夫、なかにし礼、阿久悠、山川啓介ら、後にヒットメーカーとなる新進作家ばかり。歌い手も超豪華で、雪村いづみを筆頭に、伊東ゆかり、中尾ミエ、弘田三枝子、奥村チヨ、黛ジュン、菅原洋一、布施明、トワ・エ・モワ、赤い鳥など、当時のスター歌手が勢ぞろいしている印象です。
 
　わずか3回きりの開催にもかかわらず、赤い鳥の「翼をください」やシング・アウトの「涙をこえて」をはじめとする名曲がたくさん生まれていますが、このたび、このフェスティバルから生まれた曲を集めたCD「 涙をこえて／翼をください　NEW POPS IN NEMU 」が、ソニーミュージックのオーダーメイドファクトリーで企画されました！
 
　音盤化されていないナンバーを含む全 40曲を収録。うち 13曲はフェスティバルでの貴重なライブ音源ということで、初CD化曲がどっさり。
　こんなレアな企画が実現したのは、2000年代以降の復刻時代においてソニーのカタログを支えた名プロデューサー・加納糾さんの悲願だったからでしょうが、その思いはブックレットをお読みいただくと分かるはずです。
　なんと弘田三枝子「祭りの朝に」は歌い出しが録音されていないそうですが、余りの貴重さに収録に踏み切ったとのことで、収録歌手のコアなファンは大喜びしていることでしょう。
 
　オーダーメイドファクトリーの要だった加納さんも、もうファイナルカウントダウンの段階ということですが、目下継続中の「筒美京平アーカイブス」は ４作目が出たところで、まだ73年あたりまでしか行っていませんし、なんたって人生100年時代。完全リタイアにはまだまだ早過ぎると思いますので、個人的には今後も何とか続けていただきたいとお願いする次第です。同感の皆さんは、ぜひ OMFへいろんな要望のリクエストを！