ナツメロ喫茶店

 ビバ!旧譜の新譜。紙ジャケからBOXまで、ナツメロ復刻盤&再発盤、コンピ盤などのレビューコーナーです。

#1200
岡崎友紀/ゴールデン☆ベスト WARNER YEARS
(2024.6.19発売、WPCL-20002、¥2,200<税込>)

ワーナー時代をほぼ網羅したG☆B登場!

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 今あるJ-POPの礎となった音楽を、心をこめてあなたに伝えたい…。というキャッチフレーズで2002年に登場した「ゴールデン☆ベスト」シリーズ。 当初は3社合同企画としてこぢんまりとスタートした企画ですが、次第に参加メーカーも増え、レコード会社の枠を超えた定番ベストとしてすっかりおなじみとなりました。
 
 同じタイトルの高音質CD仕様が出たり、キャリアの場外アーティストは所属会社別に複数のタイトルが出たり、シングル曲に限らないコンセプトベストや、オールソングスコレクションとして編まれたり、ライブ盤などがG☆Bとして再発されたり。さまざまな切り口やスタイルでリリースされることも少なくありません。
 ユニバーサルなどは歳月を経たタイトルをスペシャルプライス盤として何度も廉価再発するなど、ビッグネームのみならず、ベストを編めるアーティストはほぼ網羅された感がありますが、 こちらの下部でも紹介したように、再発や廉価盤に交じってたまに新たなタイトルも出ることもあったりして。
 そんな中、近年は明菜の旧譜でカタログ分野が盛り上がったワーナーから、久々に新タイトルが登場。しかも今後ゾクゾクとリリースすることを発表しました!
 
 第1弾は、PINK SAPPHIRE「 ゴールデン☆ベスト BEST FOR YOU 2024」、岡崎友紀「 ゴールデン☆ベスト WARNER YEARS」、麗美「 ゴールデン☆ベスト Yes We're Singles 1984~1988」、CADILLAC「 ゴールデン☆ベスト 1986-1989 MOON YEARS」、BEE PUBLIC「 ゴールデン☆ベスト BEE PUBLIC」、DER ZIBET「 ゴールデン☆ベスト Sixty Years」の6タイトルということですが、こちらではやっぱり岡崎友紀さんをプッシュさせていただきましょう。
 
 友紀さんといえば子役出身で、主演ドラマをはじめ、CMやバラエティー、司会などテレビを中心に大人気を博す一方、ミュージカルなどの舞台でも大活躍。多才ぶりを発揮したこともあって、青春アイドルというよりマルチタレント的に活躍したスターという感じでした。
 歌手としては東芝から1970年にデビュー。新三人娘以前のアイドルポップスといいますか、高視聴率の主演ドラマ主題歌や、橋本淳+筒美京平コンビの作品などを多数発表しましたが、人気の割に大ヒットには恵まれず…。
 ティーンアイドルが主流になった70年代半ば以降は、NTV「紅白歌のベストテン」の司会に代表されるように、歌手というよりお姉さん的なタレントというイメージが強かったように思います。
 
 そんなイメージを払拭するように80年にはワーナーに移籍し、キュートなウィスパー唱法でポップにイメチェン。“岡崎友紀”という名前を封印し、覆面っぽくYUKIとしてリリースしたのが安井かずみ+加藤和彦コンビによる「ドゥー・ユー・リメンバー・ミー」でした。
 この曲が見事スマッシュヒットし、友紀さんはトレンディーなアダルトシンガーとして再起を果たしたワケですが、今回の「 ゴールデン☆ベスト WARNER YEARS」は、ワーナーからリリースしたこの路線の音源をほぼ網羅した選曲となっております。
 
 前半10曲は、先述の先行シングルをタイトルにした80年のアルバム「ドゥー・ユー・リメンバー・ミー」。トノバンこと加藤さんが総合プロデュース。ズズこと安井さんとともに60年代のスペクター的サウンドをはじめとするお洒落ポップスを突き詰め、当時の2人が凝っていたイタリアンツイストっぽいサウンドを展開しております。
 A面がトノバン&ズズのオリジナルに、シルヴィ・バルタンの「アイドルを探せ」やストーンズの「AS TEARS GO BY」というカバーを収録。B面は気鋭の若手だった清水信之さんが編曲、大貫妙子作品や竹内まりや作品に加え、自作曲も含む構成。全編にヨーロッパムードがあふれています。
 ちなみにこのアルバムは昔から名盤の誉れが高く、Q盤ブームの94年に初CD化された後、2009年にオーダーメイドファクトリーからボーナストラック2曲付きで再復刻( こちらで紹介)。13年にはGREENWOOD RECORDSからカラオケ1曲プラスで再々復刻( こちらで紹介)されております。
 
 そして、アルバム未収録だったB面曲「ジャマイカン・アフェアー」をはさみ、後半10曲は81年発表、ワーナー第2弾にしてラストのアルバム「So Many Frieds」。
 こちらは、シングル「S-O-O-N/Evening Glow」を含むA面をFIRST BLANDが、B面をセンチメンタル・シティ・ロマンスが担当。ボーカルも含めコンセプチュアルに作り込んでいた前作とは一転して、等身大のウエストコーストサウンド、AORを展開しております。
 喫煙ジャケットに驚いたものですが、写真集とのメディアミックス企画だったそうで、なるほど、ぐっとアダルトな雰囲気というワケです。
 CDとしては、2004年にVIVIDのCLONE YOUR MEMORIESシリーズで復刻されただけですが、近年のシティポップブームによる再評価はこちらの方が高くて、2019年と2023年にはヴァイナル化(「 So Many Friends<Yellow Color Vinyl>」)されております。
 
 という友紀さんのワーナー時代のゴールデン☆ベスト。惜しむらくは、2枚のアルバムの狭間に出たワーナー3枚目のシングル「ラブ・ストーリー」が欠落している点ですが、収録時間の都合上やむを得ないでしょうか。
 
 なお、東芝時代の「 ゴールデン☆ベスト 岡崎友紀」は02年に出てから期間限定スペシャル・プライス盤として何度も再発されていますが、伊藤咲子さんやザ・リリーズらと同様B面中心で初CD化にこだわった選曲(「なんてったってアイドルポップ」を補完する意味合いのようでした)になっているので要注意。
 過去に出ていた2枚組の「ツイン・ベスト」や「ベスト30《音得-OTOKU-シリーズ》」でもシングルコンプにならず、 MEG-CDが必要なので、そろそろA面集としてリニューアルしてほしいですね。
 
 あとは、2枚以外全然進んでいないオリアル復刻。中でも全曲橋本淳+筒美京平コンビが手がけた72年の「アルバム4」を切望しております。シングル曲のみならず、「愛するハーモニー」を再構築した「恋愛時代」や秘蔵っ子・平山三紀さんの同時期カバーに加え、同年にワーナーの亜木ジュン子さん(渡辺プロダクション所属だったと語る人が多いですが、ナベプロではなく芸音だったようです)が「さよならの街角」として改題改詞カバーする「またいつの日にか」など、名曲満載。
 なお、長年筒美フリークの間で話題に上るものの未CD化だった「さよならの街角」は、2023年の「筒美京平アーカイブス4」( こちらで紹介)でCD化されています。
 

(2024.4.1)

 
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