紙ジャケSHM-CD化はフォノグラム時代へ突入！

　昨年めでたくソロデビュー40周年を迎えたアッコちゃんこと矢野顕子さん。
　豪華なオールタイムベスト「矢野山脈」（ こちらで紹介）やムック本「 やのぴあ 」、雑誌の特集「 ユリイカ 2017年2月臨時増刊号 総特集◎矢野顕子 」など記念アイテムが次々に発売され、さまざまなイベントや番組も編まれました。
 
　中でも大がかりなイベントとなったのが、92年の弾き語りカバー一発録りアルバム「SUPER FOLK SONG」（復刻盤は こちらで紹介）のドキュメンタリー映像作品「SUPER FOLK SONG～ピアノが愛した女。～」がデジタルリマスターされ劇場公開されたこと。
　これに併せ、新たなパッケージ（Blu-ray「 SUPER FOLK SONG~ピアノが愛した女。~(2017デジタル・リマスター版) [Blu-ray] 」、DVD「 SUPER FOLK SONG~ピアノが愛した女。~(2017デジタル・リマスター版) [DVD] 」）や、アルバムのアナログ盤（「 《発売延期未定》SUPER FOLK SONG(完全生産限定盤) [Analog] 」は発売延期）もリリースされるなど、アッコちゃんのお家芸というか真骨頂であるピアノ弾き語りが、あらためてスポットライトを浴びたのです。
 
　という一連の再評価の流れを受け、「SUPER FOLK SONG」のその後を描いた「SUPER FOLK SONG RETURNED」が制作され、11月には7年ぶりとなるピアノ弾き語りアルバム「Soft Landing」（初回限定盤「 Soft Landing (初回限定盤) 」、通常盤「 Soft Landing (通常盤) 」）のリリースも決定。恒例のさとがえるツアーも弾き語りツアー「 さとがえる/ひきがたるツアー "ひとりでみんなに届けます” 」としての開催が決定しております。
 
　このタイミングで旧譜も！ということなのでしょう。ジャパンレコード時代が終了したミディの紙ジャケSHM-CD復刻シリーズ（ こちらなどで紹介）が、ついにフォノグラム（フィリップスレコード）時代へと突入。
　セカンドアルバム「 いろはにこんぺいとう(紙ジャケット仕様) 」がオリジナル紙ジャケット仕様のSHM-CDで、発売当時のフライヤーなども復刻封入されるというオマケ付きで再発されることになりました！
 
　77年8月リリースのこのアルバムは、先行シングル「いろはにこんぺいとう」と同時発売のリカット「行け 柳田」（読売巨人軍の柳田選手への勝手な応援歌）というシングル2曲を含んでいますが、デビュー前にレコーディングされお蔵入りになっていたナンバーを含む全10曲。
 
　確かアッコちゃんの述懐によると、お蔵入りになっていた曲は鈴木晶子と名乗っていた頃、伝説のバンド・ザリバ解散後の73年から75年にかけてレコーディングされたもので、基本的にバッキングは細野晴臣、林立夫、鈴木茂といったキャラメル・ママの面々がメインで、アレンジはパートナーとなる矢野誠さんだったそうです。
　具体的にはホソノさんのカバー「相合傘」、小坂忠さんの名盤タイトル曲にもなった ホソノさんの「ほうろう」、そのアルバムに収録された小坂忠さんへの提供曲「つるべ糸」の改題セルフカバー「やませ（東風）」に加え、「待ちくたびれて」「家路」あたりががそうではないかと思います。
 
　ということもあり、かなりとんがった若き日のアッコちゃんなので、ほんわか路線以降しかご存じない方はそのクセや毒っ気に恐れをなすかも。まあ、得意のわらべ歌かと思わせてかなりシニカルなタイトル曲も含め、全体がまだアッコちゃん前夜という感じです。十文字美信さん撮影のジャケットにしても、濃いめのメイクやイッセイミヤケのジャンプスーツ、イルカのフィギュアなど当時の流行を全部取り入れている感じだとは思いますが、意表を突いていますもんね。
 
　それでもレーベルメイトだった石川セリのアルバム「気まぐれ」（ こちらで紹介）のために曲を書いた「昨日はもう」のセルフカバーや、内省的だけど普遍的な歌詞が光る「家路」など、胸の真ん中をぐっとつかむスタイルはさすが天才アッコちゃんですね。
 
　ちなみに、フォノグラム時代のアルバムは、88年にやのミュージックの自主制作BOXで初CD化されて以来、徳間ジャパンからのCD選書をはじめとする単品売りやBOXも含め、何度も再発されてきました。
　ミディからの販売になっても2002年に紙ジャケ化され、2011年にはSHM-CD化もされておりますので、今回は超コアなコレクター向けという気もしますね。