5thアルバムも初CD化、EMI時代の復刻完結！

　ザ・ピーナッツが引退した1975年。ナベプロが推す正当な後継者として、彼女たちと入れ替わるようにデビューを飾った奈緒美＆真由美の双子のリリーズ。
 
　大きなヒットには恵まれなかったものの、地道な活動を続け、80年代半ばまで新曲をコンスタントにリリース。とんねるずのピックアップをきっかけにイロモノ扱いを受けたりしたこともあったのですが、2000年代からの昭和歌謡ブームに乗ってデュオとして復活。2005年に正式に再結成して以来、活発な活動を続けています。
 
　「同窓会コンサート」など現役のアーティストとして活躍しているせいか、旧譜の復刻も盛んで、今年に入ってサードアルバム「花のささやき」（ こちらで紹介）、太田裕美の提供曲やカバー曲を収めたフォースアルバム「思春記」（ こちらで紹介）と連続で初CD化。
　ここに来て、ついに39年前のフィフスアルバム「 KISS ME 」も復刻決定となりました！
 
　78年12月リリースのこのアルバム。デビューから続いていた清純路線からガラリとイメージチェンジ。思春期から多感期へと、妖艶な変身を遂げたリリーズの世界が広がっています。
　洋楽カバー2曲を除き、杉山政美＋佐瀬寿一コンビが楽曲制作。詩の世界もサウンドもぐっとオトナになり、リリーズの歌い方も当時の“翔んでる”女風といいますか、ツッパリセクシーな雰囲気を前面に押し出してしまった感じ。
　テレビでの衣装や振り付けも含め、当初からのファンは戸惑っていたようですから、結局は成功を収めることなくラストアルバムとなってしまったというワケなのです。
 
　とはいえ、ディスコタッチの先行イメチェンシングル「一度だけのスキャンダル／恋のマチョマン」と、同時発売でリカットされる予定だったという「キス・ミー」（なぜかMEG-CD化）以外の8曲が初CD化と、リリーズの音源CD化を願っていた人には待望の復刻でしょう。
 
　個人的に特筆すべきと思うのは、そこはかとなくＢ級感が漂うオリジナルではなく、洋楽のカバー。ジョン・マイルズの「ノー・ハード・フィーリング」と、BCRを脱退したイアン・ミッチェルのロゼッタ・ストーンによるカバーヒット「二人のパラダイス」の2曲はいずれもUKヒット。後者は元々はカンツォーネだったそうで、ナベプロのリリーズならでは、という感じの息の合った仕上がりだと思います。
 
　と、これにてEMI時代のアルバムはすべてCD化され、復刻が完結したわけですが、ファーストアルバム「小さな恋のメロディー～ザ・リリーズの世界」のCD化は2003年、セカンドアルバム「恋に木枯し」は2008年と、とっくに廃盤で入手困難な状況。
　ファンでも持っていないという人も少なくないようですし、特にファーストは、ほぼ全曲を松本隆さんが作詩した風街アルバム。先ごろ作詞生活47周年記念のライブイベント「風街ガーデンであひませう」も大成功を収めておりますので、再発のタイミングではないでしょうか。