MEG-CDに続き、紙ジャケで再復刻！

　ピンク・レディーがアメリカ進出を遂げ、全米でレギュラーの冠番組がスタートした1980年３月。そのPLの事務所・T＆Cが社運を懸けて送り出したのが、“ヨコハマの微笑”こと鹿取洋子さん。
 
　エキゾチックな顔立ちとモデル並みのお洒落なスタイルで、アイドルというより初期の中原理恵路線と言った方がうなずける、アーバンなアダルトポップスを得意とした彼女。洋楽カバーのデビュー曲「ゴーイン・バック・トゥ・チャイナ」をスマッシュヒットさせ、新人賞レースでは松田聖子や岩崎良美、河合奈保子らと競い合ったものでした。
 
　原盤制作は日音が担当、作家陣やバッキングも豪華で名曲ぞろいと言われた彼女ですが、知名度のワリにまとまってCD化されたのは遅く、2011年のベスト盤「ゴールデン☆ベスト」（ こちらで紹介）が初めてでした。
 
　ポリドールとキティという今で言うユニバーサル系レーベルから出した5枚のシングルと唯一のアルバム「LIBRA」の全音源を網羅。ファンや好事の皆さんに大層喜ばれたものでしたが、すぐに入手困難となったようです。
　それが今年の2月、シングル、アルバムとも単品として一気にMEG-CD化。MEG-CDではありますが「 LIBRA (MEG-CD) 」の単独復刻が実現したのです。
 
　そして今回、ブリッジから紙ジャケ仕様でボーナストラックの入った「 LIBRA(+10) 」として再復刻されることになりました！
 
　デビューシングル「ゴーイン・バック・トゥ・チャイナ／ハートエイク・トゥナイト」と、なかにし礼＋井上忠夫（大輔）コンビによる妖しさ全開のセカンドシングル「オリエンタル・スピリット／掟」を含む全10曲。
　ちょっぴりネトっとした声質もなんとなくカッコよさげで、翔んでるギャルっぽくナウかった鹿取さんの魅力満載ですが、豪華なのがミュージシャン。中でも、来生えつこ＋南佳孝コンビの「気分はケセラセラ」は坂本キョージュアレンジで、ホソノさんにユキヒロ、大村憲司さんも参加という豪華さ。飛ぶ鳥を落とす勢いのYMOが結集したセッションで、YMOフリークもコレクションしているナンバーです。
 
　今回は特にボーナストラックが充実していて、なんと10曲も！
　リキッド・ゴールドの「今宵ダンスで（DANCE YOURSELF DIZZY）」をカバーした第3弾シングル「チャンス・トゥナイト」、甲斐よしひろ提供で甲斐バンドもセルフカバーした第4弾「グッドナイト・ドール／奴」、聖子をブレイクさせた小田裕一郎が聖子を離れてから起用した「 恋のバイバイ・ブギ／ホックニーのPooL」、そしてＴ＆Ｃなき後キティに移籍し鹿取容子と改名して出したズズ＆トノバンの「どうして欲しいの…／思い出を作りながら…」というその後のシングル曲7曲を収録。G☆Bを買いそびれた人も、MEG-CDのアルバム復刻では納得いかない人も大満足でしょう。
 
　さらに、デビューからのシングルＡ面3曲のインストもプラスされているので、G☆Bを持っているファンもマストかも。
　オリジナルジャケットを再現した紙ジャケですし、音源は日音に保管されていたオリジナルマスターテープからリマスタリングされた2017年最新音源だそうなので、お買い逃しなきように。
 
　ちなみに、これ以降も企画物として歌の方は続けていて、84年には徳間から「超時空騎団サザンクロス」というアニメの主題歌シングル「星のデジャ・ブー／約束」と、アルバム収録の挿入歌「WALKING IN THE SUN」を発表。
　さらに翌85年にはコロムビアから、ショーケン、ジュリー＆田中裕子が共演した映画「カポネ大いに泣く」のイメージソング「恋一彩／星降る夜に」と、アニメ「オーディーン・光子帆船スターライト」のテーマ「プラトニック／私のオーディーン」というシングルが発売されておりますので、今回をきっかけに新たな企画が進むといいですね。