4thアルバムがハイレゾ･リマスタリングでSACD化!

　先週の「徹子の部屋」は“昭和の懐メロウィーク”。ゲストには青山和子さん、渚まゆみさん、あべ静江さん、ビリーバンバンのご兄弟と懐かしい顔ぶれがそろいましたが、個人的にしみじみと鑑賞したのは、紙ふうせんのお2人が出演した回。
　何より泰っちゃんの変わらぬ美声やジローさんの若さに驚いたことでしたが、赤い鳥時代のエピソードや画像もオンエアされ、「翼をください」のリードボーカルは泰っちゃんではなく潤ちゃんだったことなど言及されずに終わったいろんなエピソードを思い出していたのでした。そしてもちろん赤い鳥から派生したもう一つのグループ、ハイ・ファイ・セットのことも…。
 
　ほとんどCD化が進んでいない紙ふうせんに比べ、ハイ・ファイ・セットの旧譜は潤沢に流通されておりますし、おかげさまで昨年出た「みんなで選ぶ山本潤子CD-BOX」（ こちらで紹介）も好評を博しているようですが、メンバーの近況となると、俊さんはお亡くなりになり、潤子さんは無期限休養中、大川さんは…という状況ですので、明暗を思うにつけフクザツな心境になってしまったものでした。
 
　しかしですね、そんな矢先、ハイ・ファイ・セットの4枚目のアルバム「 THE DIARY【SA-CD HYBRID盤】 」がオーダーメイドファクトリーの復刻候補に挙がりました。
　しかもソニー時代の4タイトルをタワレコ限定で復刻した「吉田保リマスタリングシリーズ」と同じく、オリジナルアナログテープから吉田保さんがハイレゾ・リマスタリング。ハイ・ファイ・セット初のSACDハイブリッド盤で登場するのです！
 
　さてハイ・ファイ・セットといえば、件の赤い鳥を経て、レーベルメイトであったユーミン書き下ろしの「卒業写真」で75年にレコードデビュー。ファッショナブルを合言葉に、「中央フリーウェイ」や「冷たい雨」などユーミン作品を積極的に歌い、聴いても見てもお洒落な世界を展開した、名実ともに日本一を極めたコーラスグループです。
　76年のユーミンの本格ブレイクに伴って注目を集めた後、カバー曲の「フィーリング」が大ヒット。77年にはその曲を収録したアルバム「ラブ・コレクション」は初のオリコン１位をマークするなどトップアーティストの座に就きましたが、このアルバムは、そんな脂の乗り切った77年9月に出されたもので、アメリカ・ロサンゼルス録音盤。
 
　赤い鳥が73年に発表したアルバム「美しい星」と同じく、フィフス・ディメンションのアレンジャー、ボブ・アルシバーを起用。バッキングにはリー・リトナー、ハービー・メイスン、アーニー・ワッツ、デニス・ バディマーら錚々たるミュージシャンが参加。オリジナルとカバーで構成された円熟のアルバムで、オリコン最高2位をマークしています。
 
　先行シングルとしては、ヤマハのスクーター・パッソルのCMソングになったスマッシュヒット「風の街」のアルバムバージョンと、「メモランダム／個人的メッセージ」を収録。ちなみに阿久悠さん作詞で大川さんリードの「個人的メッセージ」は、レーベルメイトだったガロのアルバム「吟遊詩人」からのカバーです。
　また、このアルバムからは後にニール・セダカとキャロル・キングのリメイクをカップリングした「恋の日記（The Diary) ／愛こそすべて(Only Love Is Real) 」がリカットされていますが、珠玉は何と言っても「遠くからみちびいて(You Turn Me Around) 」でしょう。
　ライチャス・ブラザーズやシュープリームス、シェリル・ラッドなども歌ったシンシア・ウェイル＋バリー・マンの名コンビによるバラードに、岩谷時子さんが日本語詞をつけたナンバー。この詞と潤子さんのボーカルの融合は、まるで福音のように聴こえます。
 
　収録曲の音源自体としては、アルファ時代の音源を網羅したBOX「アルファミュージック編 1975〜1978」（ こちらで紹介）で聴けますが、単品としては実に23年ぶりの復刻。ボーカルもサウンドも冴え渡るSACDですので、ハイ・ファイのファンはもちろんオーディオマニアにもオススメですぞ。
 
　なお、ハイ・ファイ・セットのオリアル復刻としては、アルファ時代の「ファッショナブル・ラヴァー」と「ラブ・コレクション」が名盤復刻シリーズ（ こちらで紹介）で、ソニー時代の「Pasadena Park」「INDIGO」「Sweet Locomotion」「Gibraltar」が前述の吉田保リマスタリングシリーズ（ こちらで紹介）で再発済み。
　CDでは廃盤となったオリアルも、ファーストの「 卒業写真 」（「ハイ・ファイ・セット」から改題）やアルファラストの「 スウィング 」から、ソニー時代後期の「 Eyebrow 」「 White Moon 」「 Get A Move On 」「 Tender Loving Care 」まで、すべてが配信で入手できます。
 
　東芝EMI時代のオリアルにしても、CDはすべて廃盤となったまま20年以上が経っていますが、配信では「 COMING UP 」「 閃光 」「 QUARTER REST 」「 3 NOTES 」「 1&2 」「 I miss you 」の全アルバムが入手できますので、コレクションされたい方はぜひダウンロードを。
 
　ハイ・ファイ・セットを新たに聴き始めよう、聴き直そうという方は、まずはシングルAB面＆アルバムのダイジェストで構成された4枚組のBOX「 ハイ・ファイ・セット GIFT BOX 」から入るのがよさそう。
　シングル曲をコレクションしたい方にも、Ａ面のみの「GOLDEN☆BEST ハイ・ファイ・セット コンプリート・シングルコレクション」（ こちらで紹介）よりも、オールタイムで網羅されている「GIFT BOX」の方をオススメします。