45周年で淳子復活! ライブ音源ほかの豪華セットも!

　昨年は、4月開催のコンサート「スクリーン・ミュージックの宴 with ピアニスター HIROSHI」にゲスト出演し「アニーよ銃をとれ」のナンバーを披露したかと思えば、11月発刊の「 作詞家・阿久悠の軌跡 没後10年・生誕80年 完全保存版 」にインタビューが掲載されるなど現役感を静かに漂わせていた桜田淳子さん。
　今年はデビュー45周年というアニバーサリーイヤーですので、何か起こりそうな予感を抱いていましたら、ついに復活の狼煙と言えるプロジェクトが発表されました！
 
　なんと、自ら作詞作曲した新曲「ありがとうのかわりに」をはじめ「サンタモニカの風」「リップスティック」「しあわせ芝居」「化粧」のセルフカバーなどを収録した新録音ニューアルバム「 マイ・アイドロジー 」を、デビュー記念日の2月25日に自主制作で発売。
　そして３月27日に東京・銀座博品館劇場でライブイベント「“マイ・アイドロジー”スペシャル～ありがとうのかわりに」を開催（新作のCDにはチケット優先購入予約シリアル・ナンバーを封入）。
 
　さらには、ビクターからアンソロジーとして、ライブ音源を中心に初商品化のラジオ音源や歌唱映像をまとめた「 Thanks45 ~しあわせの青い鳥[THE LIVE ANTHOLOGY] 」がリリースされることになったのです！
 
　いつも淳子のことになるとひどくコーフンして鼻息が荒くなってしまいますが、百惠ちゃんが「さよならのかわりに」と言って去り、淳子は「ありがとうのかわりに」と言って復活する…この事実だけで、もうはりさけるときめきでめまいがしております。
 
　気を取り直して、ここではCD&DVDセットをご紹介しましょう。これは、タイトルからも分かるように、2013年の40周年時に出た2CD+DVD「Thanks 40 ～青い鳥たちへ」（ こちらで紹介）の続編に当たるもので、前回と同じく淳子自身が監修したスペシャルなセット。
　新曲とともに味わうにはうってつけという感じですが、個人的にも長年、淳子の真価は板の上でこそ発揮されるものという思いを抱いておりますので、特に今回は特にオススメしたい内容。ライブBOX（ こちらで紹介）が入手困難となった今、淳子の真の魅力を実感できるアイテムだと思っております。
 
　なぜなら、淳子のライブ音源コレクションは、美貌と演劇的素養に恵まれた少女が、トップアイドルという座に溺れることなく努力に努力を重ね、一流のエンターティナーへと成長を遂げる軌跡を綴った貴重な資料。
　ステージの上でこそ最も光り輝いた桜田淳子というシンガーの歩みをつぶさに記録したというだけでなく、その才能と実力が疑う余地のないものであったことの証拠だと思うのです。
　誤解を恐れずに言えば、淳子の芸はどんな理由があろうと閉ざされるべきものではなかったと、今ならば証明できそうな気がします。70年代、いや今日に至るまで、アイドルと呼ばれた人がアイドル時代には誰一人到達することができなかった世界なのですから。
 
　といちいちオーバーになってしまいすが、それもまた淳子的とご容赦いただくことにして、内容の詳細をば。
 
　CDの方は、まず2枚が淳子自身によるライブ音源のセレクションで、74年の「16才のリサイタル」から80年の「私小説」まで、ライブ盤全7タイトルから45曲を収録。
　ヒット曲だけでなく、洋邦のカバーや、ショーアップされた淳子のステージならではの愉快なナンバーまで、中後期の音源を中心に多彩。年代順でなく淳子のライブテーマ曲「序曲」から始まる構成は、さすが淳子自らの選曲構成という印象です。
 
　なお、今回のライブ音源で忘れてはならないのが、最年長時の音源でも弱冠22才だったということ。初期の真面目でひたむきで、肩に力が入って鼻を膨らませて頑張る淳子も目が離せませんが、20才あたりからの若き円熟と申しますか、ベテランの域に達するほど貫禄たっぷりなのに、可憐で初々しくいじらしかった淳子も素敵です。
　ペーソスとユーモアにあふれたミュージカルスターか、ナチュラルなのに手が届かない高嶺のアクトレス・シンガーか。そんな風に思わせる上品で華麗な淳子を堪能できること請け合い。
 
　3枚目のCDは、初商品化となるラジオ音源。80年秋から81年春にかけレギュラー出演していた文化放送の「セイ！ヤング」から、トークや朗読など超貴重な音源が収録されるそうです。
　淳子の「セイ！ヤング」というと、やっぱりサンミュージックの後輩・松田聖子と一緒に号泣したあの事件を思い出しますが、まさかあのシーンを収録できるはずがないと思うので、そういうエピソードも思い出しながら楽しんでみるのもオツですね。
 
　DVDの方は、テレビ番組における歌唱シーンがなんと約100分（23曲42シーン予定）も収録予定とのこと。
　日テレやTBSの映像は過去に商品化されておりますので、今回はNHKの「紅白歌合戦」「レッツゴーヤング」、ナベプロ制作のフジテレビ「クイズ・ドレミファドン！」などからの映像になるそうです。
　とにかくひたむきで一生懸命な初期の淳子も、余裕のパフォーマンスを見せる後期の淳子も必見ですが、個人的にはひときわ力の入っていた紅白をはじめとするコセガワマニさんの衣装が楽しめることがウレシイ。そういえば、これまでシングルではデビュー曲の「天使も夢みる」だけが入らなかったように思いますが、やっぱり残ってないのでしょうかね。
 
　そして、前回通り最も期待しておりますのがブックレット。前回も濱口秀樹さん渾身の仕上がりでしたが、今回は裏話満載によるおなじみのセルフライナーノーツに加えて、リサイタルのアレンジを担当していた作編曲家の竹村次郎さんら当時のスタッフを交えた座談会の模様も収録されるとか。
　あの頃の「明星」や「平凡」の読者には、淳子といえばサンミュージックの長井マネージャーという印象が強いと思いますが、相澤会長のご葬儀や40周年時のファン感謝イベントなど、近年も淳子に寄り添っていらして感激したことですが、座談会にはその長井さんも参加されているそうです。
 
　というまさかの淳子復活劇。そういえば45周年セットと同日発売の大瀧詠一作品「夢で逢えたら」を集めた4枚組（ こちらで紹介）には、ちょうど淳子のライブ音源も収録されることですし、それが呼び水となって、一般の人もこのセットも手に取る機会が増え、淳子の再評価がまた高まっていくことを祈ります。
　いつも申しておりますが、あの淳子の本物のエンタテインメントは正当に再評価されるべきものですからね。
 
　ということで、現役としての本格的な活動再開にも期待しつつ、最後は、高校卒業記念で出たLP-BOXの帯コピーで締めくくりましょう。やっぱり淳子って素晴らしい!!