松本隆の乙女チック風街詩集! 15年ぶりの再発！

　ザ・ピーナッツの正統な後継者として、彼女たちと入れ替わるようにデビューを飾った奈緒美＆真由美の双子のリリーズ。 
　昨年から、これまで未CD化だったサードアルバム「花のささやき」（ こちらで紹介）をはじめ、太田裕美提供作やカバーを含む「思春記」（ こちらで紹介）、大きくイメチェンした「KISS ME」（ こちらで紹介）の3タイトルが初CD化し、今年は紙ジャケ復刻済みだったセカンド「恋に木枯し」（ こちらで紹介）も再発。
 
　あとはファーストの再発を待つだけでしたが、無事42年前の発売記念日の前日にリリースが決定しました。2003年の“必聴名盤シリーズ”以来、15年ぶりのCD再発となる「 小さな恋のメロディー 」！　今回はサードからの仕様に合わせてプラケースになるとのことです。 
 
　リリース日はデビューから1年近くが経とうとした1976年4月5日。
　メルヘンタッチのデビューシングル「水色のときめき／すずらんの花」、身近なシチュエーションでスマッシュヒットを記録した第2弾「好きよキャプテン／恋する三秒間」、そしてよりマンガチックにカワユくなった第3弾「いじわる時計／恋のつぼみ君」という3枚のシングルを収録。残りの6曲は書き下ろしで固めたオリジナルアルバムです。
　「好きよキャプテン」のヒットを受けてオリコン19位とシングルよりも好成績という実績を残しています。
 
　リリーズの場合、デビューからの1年間は松本隆＋森田公一＋萩田光雄トリオというタッグによって、アイドルポップスの王道というべき作品づくりが進められてきましたが、このアルバムも同様。
　まさに若葉のころをイメージしたという感じで、「卒業」という1曲を除いた全曲を松本隆さんが作詞。構成も手がけたコンセプトアルバムとなっていますから、いわば乙女チックな風街詩集という側面も持っているのです。
 
　双子ならではのハーモニーを生かした歌声と、当時の感覚よりも古風な少女漫画みたく乙女チックな世界観は、初々しい魅力にあふれ、今聴いても心が洗われるよう。特に初期のリリーズはホントに妖精というか、お人形さんみたいでしたから、そのルックスも思い出しながら聴くのがオススメです。
 
　リリーズは、同じナベプロの先輩であり、歌謡曲の職業作詞家としての松本さんのキャリアのスタートを飾ったアグネス・チャンの系譜という気がしますが、当時の松本さんがアルバムの構成と作詞を担当した同時期の風街少女系といえば、リリーズとデビュー同期の太田裕美さんと岡田奈々さん。
 
　太田さんには「まごころ」「短編集」（ こちらで紹介）に、「心が風邪をひいた日」（ こちらで紹介）、「手作りの画集」（ こちらで紹介）、奈々ちゃんには「奈々のひとりごと」「 憧憬(あこがれ) 」「握手しようよ」と松本さんが連投して制作していましたが、風街フリークの皆さんは、3組にあてて書かれた乙女チックな松本さんの世界の違いを、ぜひ聴き比べて堪能してみるのもいいでしょう。この時期の作品は、松田聖子をはじめ80年代の風街少女の世界がどのように構築されていったのかが分かる、貴重なエチュードという側面も併せ持っているような気もしますのでね。
 
　というリリーズのファーストアルバム。東芝時代のアルバムは再発も含め完結しましたが、アルバムが出なくなってからの未収録のシングル曲や移籍後のものなど、今では入手困難となってしまった音源を集めたベスト盤が出るといいですね。
　彼女たちは2005年に正式に再結成して以来、現役のアーティストとして活躍しているので、まだまだ期待できそうです。