定番シリーズのダイジェスト7作！

　今あるJ-POPの礎となった音楽を、心をこめてあなたに伝えたい…。そんなコンセプトのもと、2002年にスタートしたベスト盤シリーズ「GOLDEN☆BEST」。
 
　最初はソニー、EMI、フォーライフの３社合同企画だったのが、歳月を経るに連れ、ユニバーサル、クラウン、徳間、コロムビア、ビクター、ポニーキャニオン、フォーライフ、バップ、テイチク、ワーナーなどレコード会社各社が参画する一大シリーズとなったのはご存じの通り。
　メジャーなアーティストだけでなくマニアックな人もラインアップに入ったり、2枚組や3枚組の豪華盤や、期間限定の廉価盤、高音質盤などさまざまな仕様で出たり、ジャンルも超えて膨大なスケールの定番ベストへと成長しました。
 
　スタートから15年、吸収合併などもあったり、廃盤や生産中止になったタイトルも結構多いんじゃないかと思いますが、レコード会社によって力の入り具合に差があっても、旧譜ファンにとってここまで続くシリーズはありませんので、素直に応援させていただきたいと思っております。
 
　中でもソニーはこれまでに200以上のタイトルをリリース。同じアーティストでも異なるコンセプトの2作目や3作目を出したり、懐刻盤シリーズとしてブックレットにこだわったり、オーダーメイドファクトリーでマニアックな限定盤・limitedシリーズを立ち上げたり、最も力を注いできた印象がありますが、ここに来てダイジェスト盤とでもいうべき７タイトル、「 THE BEST of GOLDEN☆BEST~80’s~ 」「 THE BEST of GOLDEN☆BEST~J-POP~ 」「 THE BEST of GOLDEN☆BEST~アイドル~ 」「 THE BEST of GOLDEN☆BEST~ニューミュージック~ 」「 THE BEST of GOLDEN☆BEST~フォーク~ 」「 THE BEST of GOLDEN☆BEST~演歌~ 」「 THE BEST of GOLDEN☆BEST~歌謡曲~ 」を発売することになりました！
 
　ソニーの自社シリーズのダイジェスト企画といえば、96年に出たCD選書シリーズの「CD選書ベスト」や97年に出たGOLDEN J-POPシリーズの「GOLDEN J-POP ベストヒット集」を思い出しますが、前者が68年から92年までを3年から9年ごとの5タイトル、後者が66年から94年までを2年ごとの13タイトルというように、シリーズの分布に合わせた年代別に展開されたのに対して、今回は7つのジャンル別。
　80年代という一見年代別のように見えるものもありますが、80年代は今や１つのジャンルとなっていますからね。
 
　その中でも推したいのは、やっぱり女性アイドルのヒット曲を年代順に集めた「 THE BEST of GOLDEN☆BEST~アイドル~ 」。
　南沙織「17才」と天地真理「ひとりじゃないの」に、渡辺音楽出版音源の小柳ルミ子「瀬戸の花嫁」を加えた新３人娘を筆頭に、EPICレーベルの浅田美代子「赤い風船」、RCAの浅野ゆう子「セクシー・バス・ストップ」、山口百恵「横須賀ストーリー」、キャンディーズ「微笑がえし」と、ヤングアイドルというジャンルを開拓した70年代アイドルの代表作がそろい踏み。
 
　80年代は、松田聖子が漏れているようで残念な限りですが、花の82年組のポスト百恵の三田寛子「駈けてきた処女」にRCAの石川秀美「ゆ・れ・て湘南」、85年組からはポスト聖子のミス・セブンティーン、松本典子「春色のエアメール」がラインアップ。おニャン子クラブからは国生さゆり「バレンタイン・キッス」、河合その子「青いスタスィオン」、城之内早苗「あじさい橋」、渡辺美奈代「瞳に約束」、そしてEPIC・ソニーの渡辺満里奈「マリーナの夏」と、ソニーのおニャン子が結集。トリを飾るのは80年代後半のトップアイドル、南野陽子「吐息でネット」です。
 
　という収録曲を見ても分かるように、ベスト中のベスト、王道中の王道の選曲であり、あくまでビギナーのための企画です。基本G☆Bなど各アーティストのベスト盤をコレクションしている人には無用の長物でしょうが、こういうダイジェストが呼び水となって、これまで無縁だった人がG☆Bシリーズに興味を持ってくれれば言うことはありません。
  
　2017年もあと少し、平成もフィナーレへと向かい、CDというパッケージもますます減ってゆこうとしています。こういうCDには、楽曲が聴き継がれるという役目だけでなく、若い人がパッケージをコレクションするという魅力を伝える役目も併せ持っていると思いますので、これがきっかけになってG☆Bシリーズに新たな注目が集まることを祈ります。そして、邦楽の代表的アーカイブスとして愛され、末永くカタログで生き続けていくことを願っています。