復刻続編、セカンドが10年ぶりに再発！

　ザ・ピーナッツの正統な後継者として、彼女たちと入れ替わるようにデビューを飾った奈緒美＆真由美の双子のリリーズ。
 
　 2005年に正式に再結成して以来、現役のアーティストとして活躍しているせいか、今年に入って、これまで未CD化だったサードアルバム「花のささやき」（ こちらで紹介）をはじめ、太田裕美の提供作やカバーを含む「思春記」（ こちらで紹介）、大きくイメチェンした「KISS ME」（ こちらで紹介）の3タイトルが初CD化。これで既に紙ジャケ復刻済みだったファースト「小さな恋のメロディー～ザ・リリーズの世界」＆セカンド「恋に木枯し／ザ・リリーズの世界Vol.2」と併せて、EMI時代のアルバムCD化がめでたく完結しました。
 
　しかしながら、CD化済みといってもファーストアルバムが復刻されてから15年近くが経っていますし、その5年後に復刻されたセカンドもとっくに廃盤ですので、近年コレクションをスタートさせた人にとっては、ファースト＆セカンドの再CD化を希望するのが当然というもの。
　そんなリクエストに応えるように、まずはセカンド「 恋に木枯し 」の再発が決定しました！
　2008年にEMIの名盤プレミアム・シリーズの第1弾、“Remember 昭和のアイドル紙ジャケ復刻”として初CD化以来、約10年ぶりの再発となりますが、今回はサードからの仕様に合わせてプラケースになるとのことです。
 
　さて、“ザ・リリーズの世界Vol.2”という東芝らしいサブタイトルの付いたこのセカンドアルバム。オリジナルは1976年12月の発売で、先行シングル「恋に木枯し／恋のシュプール」を含む11曲。
 
　それまでと決定的に異なるのは、デビュー以来ほぼ全曲の詞を手がけていた松本隆さんの手を離れたという点。76年は松本さんがヒットメーカーとして躍進した年で多忙を極めていたことと、リリーズが「好きよキャプテン」以外はパッとしなかったことから、方向転換が図られたように推察しますが、松本さんからバトンを受けた作詞家は伊藤アキラさんと森雪之丞さん。
　かたやCMソングの大家、かたやデビューしたばかりのキッチュな新人。両者ともノベルティソングもお得意というイメージですから、リリーズの世界観も大きくチェンジしています。
 
　同じ少女趣味でも、松本さんのリリーズが乙女チックな詩集や古風な少女小説とすれば、伊藤さんや森さんは現代っ子が愛読している少女漫画のラブコメ。「ニャン子とLOVE LETTER」「雪山キャッホー」「サンタの娘」というタイトルからも分かるように、かわゆいアイテムを取りそろえ、コミックさながら軽いタッチで描かれております。
　ホント今思い返しても「恋に木枯し」なんて、ジャケットも含め、まんま風邪薬のCMソングという雰囲気。もしかしたらそういう流れで進んでいたものの、何らかの事情で頓挫したのかもしれませんけど。
 
　一方、作曲家陣は、ナベプロ系の大御所・森岡賢一郎さんと、デビューからリリーズサウンドを構築してきた萩田光雄さん。
　森岡さんはいかにも手練れの技で計算され尽くした軽さという感じですが、おなじみのクリスマスソング「サンタクロースがやってくる」を下敷きにした「サンタの娘」など、リリーズの品行方正な歌唱と相まって古き良きナベプロを彷彿とさせて感慨深いです。面白いのは萩田さんが作曲家に徹し、森岡さんがアレンジも手がけた曲があるところですね。
 
　萩田さんはリリーズではファーストアルバムで作曲を担当し、4枚目のシングル「初恋にさよなら」でも作曲家として起用されていますが、ここでは、曲も書いた「恋人通り」が傑作だと思いますが、やっぱりアレンジャーの手腕が卓越。流行のディスコサウンドをメロウに取り入れたミディアムナンバー「KNOCK OUT」「恋は魔法」はディスコタッチの流麗なストリングスにうっとりする仕上がりです。
 
　という感じで、リリーズファンのみならずとも70年代後半のアイドルポップスがお好きな人にはオススメ。アイドル的という意味では、このアルバムが傑出していると思いますので。
 
　そしてこれに続くのは、ほぼ全曲を松本隆さんが作詩した風街アルバムといえるファースト。まず間違いないと思いますが、早めに再発決定してほしいですね。