ナツメロ喫茶店

 ビバ!旧譜の新譜。紙ジャケからBOXまで、ナツメロ復刻盤&再発盤、コンピ盤などのレビューコーナーです。

#852
ハイ・ファイ・セット Light Mellow 和モノシリーズ3タイトル
カミング・アップ(UPCY-7362)・閃光-FLASH-(UPCY-7363)・QUARTER REST(UPCY-7364)
*2017.10.25発売、各¥2,400+税

東芝時代のポップな3枚が24年ぶり再発!

 昨年オーダーメイドファクトリーで実現した山本潤子BOX( こちらで紹介)の影響もあってか、ここに来てにわかに再評価&再発が続いているハイ・ファイ・セット。
 
 先ごろはOMFでアルファ時代の4thアルバムにしてLA録音盤の「THE DIARY」がSACD化( こちらで紹介)の候補に挙がりましたが、今度は待望の東芝EMI時代のポップスアルバム3タイトル「 カミング・アップ 」「 閃光-FLASH- 」「 QUARTER REST 」が、金澤寿和さん監修のLight Mellow和モノシリーズの一環として再発されることになりました!
 
 ライトメロウなバイブル「 Light Mellow和モノSpecial ~more 160 items~ 」でもチョイスされていたアルバム、単曲でシリーズのコンピ盤にも収録されていましたけれど、今回は待望のアルバムとしての復刻。再発が進んだアルファやソニーに比べ、東芝EMI時代は長らく廃盤となったままだったので、待ちに待っていた人は多いのではないでしょうか。
 ちなみに、この3タイトルは88年に初CD化、93年にはうち2タイトルがQ盤・音蔵シリーズで廉価再発。今はすべて配信で入手できるものの、パッケージでは24年ぶりの再発となります。
 
 さて、東芝EMI時代といっても、ハイ・ファイ・セットの場合、アルファは原盤会社につきアルファ時代もレコードは東芝EMIから販売されていたため、レコード会社の移籍という感じはありませんでしたけど、アルファから離れた期間を東芝時代と位置づければ、在籍期間は78年夏から83年までの約5年間。メンバーが本格的にアルバムプロデュースにも携わり、一層ソフィストケイトされた世界を展開した時代です。
 
 アルバムは計6枚出していますが、今回再発されるのは前期の3枚。アルファ時代のポップなフィーリングに一段と磨きをかけ、ジャジーな要素も加味し、より高度なコーラスワークへの挑戦を図った内容となっています。 
 後期の3枚は休養を挟み、本格的なヴォーカリーズスタイルの完全なジャズコーラス路線へと舵を切ってしまったので、この初期3枚は東芝時代のポップスアルバムという形容がふさわしいのではないかと思います。
 
 まずは78年11月リリースの「 カミング・アップ」。心機一転、コーラスの魅力を前面に押し出したポップで小粋なアルバムで、大川さんや俊さん、ユーミンバンドでも知られるバックバンドの新川博さん、そして潤子さんのお姉さんらファミリーのオリジナルと、作家としても脚光を浴びていたレーベルメイト・尾崎亜美、浜田金吾や木戸やすひろといった気鋭のシンガー・ソングライターの提供作、さらにはパティ・オースティンのカバーなどで構成されています。
 
 続く「 閃光-FLASH-」は、ニューミュージック全盛の79年7月発売。ファン人気の高かったメンバー自作の先行シングル「よりそって二人」のほか、久々となったユーミンからの提供作「最後の春休み」、引き続いての尾崎亜美作品「レインワルツ アンド ラビング ユー 」、オフコースが先に歌いましたが潤子さんを「稀代のボーカリスト」と呼びリスペクトしてやまない盟友・小田和正さんの「歌を捧げて」とレーベルメイトのニューミュージック系アーティストの作品が目立ちます。
 
 最後は79年12月、1年間の休業を前に出された4分休符という意味の「 QUARTER REST 」。先ごろお亡くなりになった山川啓介さん作詞作品や、当時、竹内まりやや松原みきでシティポップスの先駆的存在だった林哲司さんら、ファッショナブルなナンバーが多数収録されていますが、白眉は同月発売となった松任谷由実のアルバム「 悲しいほどお天気 」からチョイスした「DESTINY」でしょう。今もユーミンのコンサートでは定番となっている名曲ですが、まったく違うアプローチで、潤子さんの究極のハイトーンとスリリングなコーラステクニックを満喫できるカバーに仕上がっています。ユーミンファンはもう1曲、大川さんのボーカルによる盛岡ソング「緑の町に舞い降りて」も必聴ですぞ。
 
 という3タイトル。ハイ・ファイ・セットの東芝時代のシングルは企画色が強いものばかりでアルバム未収録のものが多いのですが、今回はボートラとして入らない模様ですので、補完されたい方は MEG-CD をどうぞ。
 
 後は東芝時代残りの後期3タイトル、すなわちヴォーカリーズスタイルによる4ビートジャズ3部作「3 NOTES」「1 & 2」「I miss you」を残すのみとなりましたので、是が非でもパッケージ再発を待ちたいと思います。
 
 
 

(2017.8.10)

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