シティポップスの名盤がついにCD化！

　今年で歌手生活65周年を迎える伊東ゆかりさん。
　何せ進駐軍の時代からお歌いになっているワケですからそのキャリアに驚くばかりですけど、　先日オンエアされた「徹子の部屋コンサート」での３人娘の様子を思い返すまでもなく、見た目や歌声の印象はちっとも変わりませんよね。
 
　それは、お若い頃に「能面」「不感症」と揶揄されたというクールでエバーグリーンな魅力の賜物だと思いますが、このたびビクター・インビテーション時代の「 ミスティー・アワー (生産限定紙ジャケット仕様) 」が、ついにCD復刻されることになりました！
　名盤と呼ばれ出してからかなりの歳月が経っているように思いますから、ホントに待望、しかも紙ジャケット仕様での復刻になるとのことです。
 
　思えば、ポピュラーミュージック全盛のカバーポップスから和製ポップス、ドメスティックな歌謡曲、お洒落なニューミュージックと、どんな歌でも歌いこなしてきたゆかりさん。レコード会社もキング、コロムビア、ビクター、TDK、アルファ、ユニバーサル、BMGビクター、徳間ジャパンと多岐にわたっております。
 
　やはり少女歌手の時代から長年在籍し、渡辺プロでスターの地位に上り詰めたキング時代が圧倒的に長く、大ヒット曲も多いので、復刻というとこの時代のものが圧倒的。BOXやベストが数限りなく出ている印象です。
　その次が、トップ10ヒットのあるコロムビアで、筒美京平作品集の「ふたたび愛を～伊東ゆかり･筒美京平 LOVE SOUNDS」（ こちらで紹介）や再評価の高い70年代ニューサウンズ「LOVE」（ こちらで紹介）をはじめ、復刻レーベルからのリリースも含めかなりCD化が進んでいます。
 
　また、CD時代の在籍だったアルファ時代の音源は当時のオリジナル盤だけでなく、原盤独占使用契約を結んでいるソニーからのベスト盤でまとまって収録されたりていますが、ビクター時代に関しては、メリッサ・マンチェスターのカバー「あなたしか見えない」といったスマッシュヒットがあり、アルバムも5、6枚出ているのにほとんどスルー。
　結局は2004年にシングルＡ面曲がソニーからのベスト盤「 GOLDEN☆BEST 伊東ゆかり シングル・アンド・ポップス・コレクション 」に入ったり、2014年にソフトメロウなナンバーが金澤寿和さん監修の和モノのコンピ「 Light Mellow Avenve 」に収録され、初CD化となった程度だったんですよね。
 
　今回はそんなところに届けられた朗報だけに、大喜びの人は多そう。なんたって林哲司プロデュース。竹内まりや、EPO、かまやつひろしら錚々たるシンガー・ソングライターも楽曲を提供し、和製AOR、シティポップスの名盤と称えられてきたアルバムですから。
 
　個人的には、大学生のアイドルとして人気を博したコロムビア後期の流れをくむニューミュージックテイストが発展したイメージで、シティポップスというよりも、もっと滋味深いアダルトポップスではないかと思っております。TBSの「サウンド・イン”S”」の司会などで見せた洗練された魅力が全開で、まさにオトナのための上質でお洒落な世界。
 
　これを機にビクター時代にもスポットが当たり、「yukari あなたの隣りに」「あなたしか見えない」「素描(Sketch)」「愛する嘘を知ってますか。女に関する10章」といったアルバムも復刻が進んでいくのを祈っています。
　LPはセールス的にはそこまででも、レンタルレコードではいずれもかなりの人気だったように記憶していますから、好事家ばかりじゃなく、懐かしんで聴きたいという人も多いのではないかと思っています。