ソニー初ベストはライトメロウなオールタイム！

　ユーミンフリークには荒井時代に書いた「二人は片想い」（「昔の彼に会うのなら」原曲）や名曲「瞳を閉じて」を歌ったガールズデュオ・ポニーテールの初期メンバーとして、ナイアガラフリークには「 A LONG VACATION 」の「Velvet Motel」のデュエットシンガーとして。あるいはピンク・レディーフリークには「Last Pretender」の原曲を歌った歌手かつ競作相手として、はたまたアイドルポップスをはじめとするポップフリークにはコーラスのお姉さん・本田淳子として―。
　一般的には今ひとつの知名度でも、いろんな角度のマニアックな人たちからはシティ・ポップの歌姫としておなじみのアーティスト、ラジ。
 
　ムーンライダーズ系の出自を持ち、サディスティックスやYMOとのつながりもあったり、昔からオシャレ系の人やギョーカイ人たちに支持されてきましたし、レンタルレコードの隆盛で生のカセットテープ市場が拡大した81年には、マクセルのCMに大貫妙子、吉田美奈子と3人娘的に起用されたことを覚えている人も多いことでしょう。
 
　復刻の方にしても、ファーストアルバム「 Heart To Heart 」とセカンド「 Love Heart 」の2タイトルは91年にCD選書シリーズで初CD化された後、2005年にCITY POP名盤復刻シリーズとしてCD再発済み。
　さらに2014年には、その2作にサード以降の「キャトル」「真昼の舗道」「アコースティック・ムーン」を加えたCBS・ソニー時代の5タイトルすべてがタワーレコードとのコラボでBlu-spec CD2化（ こちらで紹介）。
　ちなみに、移籍後のEMI時代はCDこそ再発されていないものの、ベストが「 ニュー・ベスト・ナウ／RAJI 」としてデジタル配信されています。
 
　というワケで飢餓状態は終わり、現役時代の何倍もの再評価を受けているラジですが、デビュー40周年を迎えたこともあったのでしょう。初のベスト、それもソニー時代のみならずEMI時代も網羅した2枚組のオールタイムベスト「 GOLDEN☆BEST ラジ ALL TIME SELECTION 」のリリースが決定しました！
 
　2枚組35曲の内訳は、まず77年のファースト「HEART to HEART」から、スカイラインCMソングをB面にしたデビューシングル「HOLD ME TIGHT／愛はたぶん」や、同じ高久光雄プロデューサーが担当していた南佳孝とのデュエット「THE TOKYO TASTE」、競作となったズズ＆トノバンの「気分を出してもう一度」に加え、「IT’S ME...IT'S YOU」「素敵なフィーリング」「HEART TO HEART」という7曲。
　78年のセカンド「LOVE HEART」からはリカットシングル「冬の肖像」 、タイトル曲の自作品「ラヴ・ハート」、前作の「THE TOKYO TASTE」とのカップリングでシングルカットされた南佳孝とのデュエット「クール・ダウン」に、デビューからラジのサウンドプロデュースを担当した高橋ユキヒロ作詞作曲の「風によせて」「ラスト・チャンス」「ジャスト・イン・ザ・レイン」という6曲。
 
　ヨーロッパテイストが漂う79年のサードアルバム「キャトル」からは、ユキヒロが手がけたタイトル曲と矢野顕子＋坂本龍一作品をカップリングしてカットしたシングル「キャトル／わたしはすてき」に、大貫妙子のカバー「風の道」、伊集院静（伊達歩）＋南佳孝コンビの「ときどき魔法」という3曲。
　80年のフォース「 真昼の舗道」からはリカットシングル「ラジオと二人／ヨジレアン・ツイスト」と、ピンク・レディー「ラスト・プリテンダー」と歌詞違いの競作となる「偽りの瞳」というシングル曲に、「ラスト・シーン」を入れた3曲。ここまでが高橋ユキヒロのサウンドプロデュースです。
 
　ユキヒロの手を離れ、サウンドプロデュースを当時、寺尾聰でノリにノっていた井上鑑に委ねた81年のフィフス「 アコースティック・ムーン」からは、マクセルのCMソングに起用された「ブラック・ムーン」と、「Do you wanna dance／ROSY BLUE」というシングル曲に、後に南佳孝がセルフカバーする「薔薇のグラス」、「メモリー・スルー (追想)」を加えた5曲。南佳孝、杉真理、Nobodyらの作品が選ばれています。
 
　EMI移籍後のナンバーとしては、84年のアルバム「午後のレリーフ」から、NTV系テレビドラマ「瑠璃色ゼネレーション」挿入歌「瑠璃色の恋人達」をはじめ、後にシングルB面でリカットされる「MAMAMIY-宇宙からの贈物-」に、「セソワ」「グッド・バイ・トランスファー」「ダブルムーン」という5曲。
　85年の「エスプレッソ」からは、先行シングルにしてタイ国政府観光庁TV-CFイメージソングに起用された「夢色伝説」のほか、タイトル曲の「エスプレッソ」に「密室」「光と影」の全4曲。
　ちなみにEMI時代の未CD化アルバムは「エスプレッソ」だけですが、ベスト盤に3曲入っているので、今回初CD化となるのは「密室」だけのようです。
 
　というラジの初ベスト。音源は吉田保マスタリング音源を使用、解説はライトメロウでおなじみの金澤寿和さんとのことですので、ブックレットも楽しみですね。
 
　なお、同日発売で笠井紀美子さんのCBS・ソニー時代、76年から84年にリリースされた全シングルAB面を集めた「 GOLDEN☆BEST 笠井紀美子~Singles 1976-1984~ 」も出るそうです！