歌い継がれる名曲をさらに厳選38曲、シリーズ総集編!
前置きが長くなりますけど、前から新潮社の中瀬ゆかりさんを勝手に“心のオバはん”と呼んで勝手に慕っているワタクシ(むろん一ファンとしてです)。
昨年、その中瀬さんが聞いたというお話を聞いたところによると、若かりし頃に聴いていたナツメロに耳を傾ける行為には科学的に見てもリバースエイジング、すなわち若返りの効果があるそうな。
どういうことかというと、心身ともにパワーがあふれ、いつも胸がときめいていた青春時代のメロディーを聴けば、脳がその時代の状態になるべくいろんな物質を分泌して逆行状態になるんだとか(あくまでもまた聞きの受け売りなので責任は持てませんけど)。
マユツバっぽく思う人も多いでしょうが、コレってはるか昔からいわれている、気の若さこそ健康の秘訣ということと同源のような気がします。ただし、ワタシはその時、中瀬さんがタイムトラベラー・芳山和子にヘンシンし“時をかけるオバはん”状態になった姿を妄想してしまい、後の話や中瀬さん一流のオチをまともに聞いていないので、副作用とか使用上の注意があるかもしれませんけどね。
もちろん若く見えることが価値があるとは必ずしも限らないし、度を超すことは自然の摂理にも反することだし、諸手を挙げて賛成はいたしませんが、やっぱり何歳になっても若々しさや前向きな気持ちは大事ですよね。
しかも高級な美容液を塗りまくったり、注射やメスに頼ったりすることなく、無理せずに若返りがはかれるとあらば、とってもヘルシーでエコノミー。アラフォーやアラフィフなど、いわゆるオバはん&オッさん世代にとっても朗報ではないでしょうか。
もっと科学的な実証が進めば、そういう惹句のもと、さかのぼりたい年代別に選曲したナツメロコンピCDが内的エイジングケア商品として売れまくる、なんていうコトも起こりうるのではないかと思っています。もっとも普段からナツメロばかり聴いている我々の場合、効き目はないような気もしますけど…。
と、それ以来、ちょっと年上の妙齢の方へ何かプレゼントする場合には、リバースエイジングのまことしやかなウンチクを語りつつ、懐かしコンピを選ぶようにしていますが、とっても喜ばれるのが歌姫シリーズのコンピ盤。
その昔カワイコちゃんだったであろうオバはんの方も、ハンサムボーイだったに違いないオッさんの方も、皆さん相好を崩し曲目を見ながら何気に口ずさんだりなさいます。
70〜80年代から歌い継がれてきた女性ボーカルの名曲集として、もはやおなじみの歌姫シリーズ。これまでに4枚ほどリリースされていますが、トータルセールスはなんと5万枚を突破しているのだとか。ある程度プロモーションできる激売れコンピはともかく、初回ン百枚ほどがアベレージのカタログ史上では驚くほどの売り上げですよね。
とはいえ、一般受けいいのはもちろん、誰の目から見ても名曲ばかりが入っているのですから、なるほど納得。
で、今回、その歌姫シリーズの決定版と言える総集編、2枚組で38曲を収録したベストアルバム「 歌姫〜BEST女性ヴォーカリスト〜 」のリリースが決定しました。
これまでに発売されたシリーズの中から、近年多くのアーティストにカバーされたうた、心の傷にしみいる優しいうた、忘れがたき思い出のうたなどなど、時代や季節の流れにも決して色あせなかったうただけを厳選。
松田聖子の「SWEET MEMORIES」を筆頭に、小林明子「恋におちて」、石川ひとみ「まちぶせ」、山口百恵「いい日旅立ち」、薬師丸ひろ子「探偵物語」、太田裕美「木綿のハンカチーフ」、高田みづえ「私はピアノ」、杏里「オリビアを聴きながら」、ハイ・ファイ・セット「卒業写真」、岩崎宏美「聖母たちのララバイ」、ジュディ・オング「魅せられて」、久保田早紀「異邦人」、森高千里「渡良瀬橋」、永井真理子「ZUTTO」、アン・ルイス「WOMAN」、PRINCESS PRINCESS「M」、南沙織「色づく街」、渡辺真知子「迷い道」、八神純子「みずいろの雨」イルカ「なごり雪」、五輪真弓「恋人よ」…。ハズレなしの内容で3千円ポッキリというお値打ちな点もうれしいですね。
レア曲だけを追い求めるマニアの皆さんにはきっとスルーされてしまうでしょうが、単なる個人的な思い出の再生という領域で終わってしまいがちな小さな1曲(もちろんそれもとっても大事です)とは違い、多くの人々に愛され、その時代のエキスを吸収して大きくなった作品群には、とにかくパワーがあります。そしてそれは、この滞った世の中を活性化させていける可能性の存在を人々に思い出させ、あの頃のようにもう一度頑張ってみようという力を胸の内によみがえらせるかもしれない。なーんて、思うんですよね。
タイムカプセルの封印を解く作業は、1人よりみんなでやった方が断然いい。1人では絶対思い出せないことも、あの時同じ時代を生きてきた人たちと一緒ならあざやかに、いやより美しく思い出せると思うんです。ああ、この身近で簡単なうたの存在を、しかもとっても偉大な力の存在を、もしうっかりと忘れてしまっている人がいたら、どうか気がついてくださいますように。
なーんて、リーバースエイジングなどという煩悩にまみれたワタシに、うたの神様に仕える修道士みたいなコトは決して申せませんが、そんな気持ちをかすかに抱いているのは確かです。だから、自分で聴くのはもちろん、同じ市井でともに生きる大切な人や大好きな人にもこのCDを贈ろうと思っています。
(2010.2.4)