もう１度だけ届けられる、ユッコからの最後の贈りもの。
久々に拝見した田中久美さんや岡村有希子さんとか、アイドルマニア的にはいろんなお楽しみの要素が満載のようでしたが、胸を打たれたのは、やっぱり岡田有希子さんや本田美奈子さんら故人の思い出話でした。
田中久美がユッコの、ナンノが美奈子のというように、それぞれの仲良しが今だから言える気持ちを吐露したばかりでなく、それほど仲が良くなかったとしても多感な頃をともに過ごした者同士だけが分かる思いというような、そういった光景も垣間見られて、思わずつられて涙してしまったり。
ユッコとは生年月日が２日違いで、同じ時代を生きて来た私も、高校のクラスメイトだけでもう３人も亡くしていますので、自らの高校時代と重ね合わせてしまったりしたのでした。
でも、感傷的になるというより、年を重ねられたことの素晴らしさというか、そういった前向きな気持ちを持ったことも確かで、限りある命を生き続けていくことの尊さをあらためて実感したりして。そんな思いでいたところに、ユッコのあのBOXの限定再プレスのニュースが届いたのです。
思うところあって今回は紹介を遠慮するつもりでしたが、熱心なファンの方からリクエストをいただきましたので、やっぱりお知らせしましょう。
皆さんもご存じのように当時は発売前から大きな話題を呼びましたし、リリース後にはオリコン87位をマークしたこのBOX。この手の商品としてはかなりのセールスを記録した物ですから、てっきりほとんどの方が入手したに違いないと思っていましたが、意外にも後になって欲しがる方が多数いらしたようなのですね。中古市場ではビックリするような額にまで跳ね上がっていたといいます。
いくら入手困難だとはいえ、あのBOXがオークションなどで法外な価格で取引されたりするのは、きっとユッコの本意ではないでしょうし、いつまでもユッコのことを忘れずこのBOXでユッコのうたを聴く人に、慰めと明日を歩く希望を与えることこそ、きっとユッコが望んでいることだと思うから。
それが、このたび限定再発売となります、ユッコからの最後の贈り物「 贈りものIII
」です。名ベスト「贈りもの」シリーズの完結編という位置づけのこのボックスは、84-86 ぼくらのベストSPとして、2002年12月に限定販売されたもの。ポニキャン発、ファンの思いを見事にくみ取るオニピーのぼくらのベスト企画ならでは、きめ細かい配慮が特に際立ったリイシューでした。
6枚のCD＋DVDという構成で、まずは「シンデレラ」「FAIRLY」「十月の人魚」「ヴィーナス誕生」というオリジナルアルバム4枚。
アルバム未収録のシングルや、ベスト盤「贈りもの」シリーズのみに入っていたナンバーが分けて収録されていますが、アルバムはきっちりとしたコンセプトが貫かれていて、アイドルというよりれっきとしたボーカリストのアルバムみたい。レベルの高かった80年代アイドルのアルバムの中でも、群を抜く仕上がりではないかと思います。
初期のひたむきで可憐なたたずまいやつとめて明るい歌声も素敵ですが、今から聴き始めるのならばやっぱり後期をオススメします。
個人的には、竹内まりや、小室哲哉、財津和夫らに加え、かしぶち哲郎のエッセンスがはかない繊細さを引き立てた「十月の人魚」から、かしぶち哲郎渾身、サカモト教授のカバーが入ったり、加え大貫妙子やEPOらミディ系アーティストが集合というラストアルバム「ヴィーナス誕生」へと続く流れが素晴らしいと思っていますし、あらためて「十月の人魚」を聴くと、硬質で透き通るような声の存在感など、この世のものとは思えない雰囲気も漂っていますよね。
あれから24年、最近になって、ようやく冷静に聴けるようになった気がします。
シングルを振り返ってみても、デビュー曲「ファースト・デイト」から第２弾「リトル・プリンセス」、レコ大最優秀新人賞に輝いた「-Dreaming Girl-恋 はじめまして」までの竹内まりや三連発、尾崎亜美作品「二人だけのセレモニー」「Summer Beach」、またまりやの「哀しい予感」、そしてよくぞかしぶち哲郎を抜擢した「Love Fair」、聖子＋教授で初のオリコン１位を記録したCMソング「くちびるNetwork」、発売中止となってしまった幻のラストシングル「花のイマージュ」まで、ホントに粒より。
ブックレットに掲載された写真や、サンミュージックやポニーキャニオンの関係者の秘話もさらに涙を誘う内容ですし、ユッコファンでなくても心を動かされるのではないでしょうか。
残りのCD2枚は、お色直ししてシングルリリースもされた人気曲「Believe In You（2003 Strings Version）」や未商品化音源「Fly Up! Angel」、「二人だけのセレモニー（Single Version）」などが収録されたOTAKARAマキシシングルと、このBOXに先駆け先行発売されたリクエストベスト「ALL SONGS REQUEST」のオリジナルカラオケ集。
そしてDVDにはシングルのプロモーションビデオのほか、グリコ、学研などのCMも収録した、ユッコPV＆出演CM集。ぎこちなかった仕草が見る見るうちに自信に満ちて輝くようになる様も、正直で生真面目だったユッコの瞳の色がだんだん変わっていく様も、涙なしでは見られない永久保存版となっています。
あの時代を生きていた人ならばユッコのことはずっと忘れないでしょうけど、その記録としてこのアルバムをお手元に。当時を知らない人も、伝説を受け継ぐ意味でもぜひご入手を。
なんたって、ユッコの歌のすべてを詰め合わせた、あなたへの最後の「贈りもの」なのだから…。
前回手に入れられなかった方は今度こそ受け取り損ねないよう、どうぞお気を付けください。amazonではDVD付きならではのお求めやすい価格で予約できるようですし（注・執筆時）、もう二度とユッコのことで後悔なさる方がいらっしゃいませんように。
なお、同時にポニキャン・オニピー系の名ボックス、斉藤由貴のぼくらのベスト「 CD-BOX 1
」「
CD-BOX 2
」、おニャン子の全集セットのHQCD版「
おニャン子クラブ大全集CD-BOX(HQCD盤)
」も再プレスになるそうですので、こちらもお早めのご予約を。（2010.7.14）
