南沙織、大瀧詠一、ブレバタのカバーを含むセカンド!
1982年、CBS・ソニーの期待を一身に背負ってレコードデビューした三田寛子。暗い瞳や出自もさることながら、はんなりおっとりの京都弁が抜けきらぬ感じは、「2年B組仙八先生」の時から薄幸であり、亡羊でもあり。わかりやすい花の82年組のメンバーとは明らかに一線を画す、大器のような予感が漂っていたのは事実でした。
百恵ちゃんの引退で魂を抜かれたようだったという酒井政利さんが、その資質を百恵ちゃんに重ねて見てしまったのも無理からぬことだったように思います。
しかし、その分楽曲は超豪華。阿木燿子+井上陽水によるイメージ通りのデビュー曲「駈けてきた処女」から、アイドルポップスを突き放したような唯一無比の路線を進みます。
キョージュアレンジの第2弾シングル「夏の雫」では、意外にも哀愁系やミディアムではなく、アップテンポでこそ生きるグルーヴ感の持ち主を証明したのでした。って世間の評価は違いますけど…。
そのへんはオーダーメイドファクトリーで、最初は青息吐息でなんとか復刻が実現し(なんでもお1人ですごく頑張られた方がいらっしゃったらしい)、先ごろには余裕でアンコールプレスを達成したファーストアルバム「 16カラットの瞳 」(仙八先生の曲も入っていますが、解子先生作の「ジャパニーズ・ガール」が超名唱です)を聴いていただければ、お分かりいただけるんじゃないかと思います。
そんな彼女ですが、このたび82年11月発売のセカンドアルバム「 メランコリー・カラー +3 」が候補に挙がりました!
ホント名曲ぞろいで最初は輝いて見えた三田さんですが、シングルを出すたびに一歩引いて地味で目立たぬ存在になっていった頃。
百恵ちゃんの幻でたちいかぬなら、シンシアのドッペルゲンガーで、と方向転換したのかしないのか、第3弾シングルとしてあの名曲「色づく街」をリリース。当時流行のリバイバルソングで勝負に挑んだものの、並大抵の人ではシンシアのリズム感は出せないし、何よりその人にぴったりのお誂えを得意とする筒美先生作品のカバーは、丈が短くなったり、アームホールがブカブカになったり、他の人が歌うとしっくりこない借り着になってしまうんですよね。
とはいえ、B面のブレッド&バターのカバーにして補作詞問題が浮上した「ピンク・シャドゥ」は、素晴らしすぎる仕上がりでしたし、一時は心底応援していたものでした。
特に「色づく街」では急に露出が少なくなった感じもあり、尻すぼみ感いっぱいだったのは残念な事実です。せっかくシンシアの歌を取り上げてくれたのにそんな状況だったので、思わず励ましのはがきを出したら、ご丁寧なお返事を頂戴したこともありましたっけ。
という思い出がよみがえる三田さんですが、このメランコリックなアルバムは「夏の雫」と「色づく街/ピンク・シャドゥ」というシングル曲を含む全10曲。
3月に出る大瀧御大のカバー集にも収録の「恋はメレンゲ」を入れるなど、やっぱり迷いが出ている印象は否めませんけど、相変わらず阿木さんの表現がハッとさせ、川口真さんが作曲やアレンジでアダルトな魅力を引き出したA面がオススメです。
自己開放の末、結局はバラドルで開花し、梨園の令夫人におさまった三田さん。今や堂々と幸せそうな笑顔を振りまいていますが、初期のちょっと自信なさそげではにかみ恥じらう笑顔も素敵。
そんなセカンドアルバムがついに初CD化となるか?! サード以降の村下孝蔵路線やハマクラさんカバーなど、後期のアルバム復刻を望む皆さんも、投票のほどよろしくお願いいたします!
なお、オーダーメイドファクトリーでは、2つの映像商品をまとめてDVD化する「 三田寛子 アイドル・ミラクルビジョン 」へのリクエストも同時に受付開始。
さらに歌謡曲ファンには見逃せない、梓みちよのソニー期の洗練シャンソン風名作2 in 1「 夜会服で… + 耳飾り 」や、清らかな歌声の朝倉理恵のリベンジなるか 「 GOLDEN☆BEST limited 朝倉理恵 」も候補に挙がっていますよ。
(2010.2.25)
*ボーナストラックとして、「夏の雫」のB面「ふたりぽっち物語」と4枚目のシングル「ひとりぽっちの卒業式/カサノヴァ サンバ」というアルバム未収録の3曲の追加が決定しました!「カサノヴァ サンバ」は初CD化となります!