85年夏の胸キュン!キャロット色の“のりりん”ワールド!
とどくかな、笑顔。聖子の結婚休業によって、女性トップアイドル不在となった85年のCBS・ソニー。その穴を埋めるべく、大きな期待を背にデビューしたのが松本典子だったのであります。
ミス・セブンティーンコンテストで確か18万人を超える女の子の中から、渡辺みさっちゃんや工藤静香らを抑え、網浜直子とともにグランプリを獲得。そのご褒美にシブがき隊の映画に出演、鳴り物入りでデビューしたのりりん。
同い年という親近感はあったのですが、明星でデビュー紹介のグラビアを見た時には、正直まったく興味がありませんでした。
きっと撮影時期と写真うつりのせいだったんでしょうけど、木の芽どきのモヤっと感といいますか、なんとなくプックリ系で、キツそうにも見えるワリに眠たげで…サミーというニックネーム(本名・佐藤美和子さんなので)も含め、きらめくような感じは全く受けなかったのですね。
ちなみに、その時は応援する85年の新人は本田美奈子さんに決めてましたし、ちょっとイイなと思ったのは、わかりやすいカワユさ全開のミッチョンでした。
しかししかし、EPOが提供したデビューシングル「春色のエアメール」をラジオで聴いて、テレビで歌う姿を見て、いっぺんにトリコになってしまったのです。
基本的に語尾がソソられるウイスパーボイスなのに、媚びずに品があって、音もしっかりしていて、まったく浮ついたところのない、久々の歌える正統派アイドル。聖子の後継者とまではいかずとも、聖子なき今、聴かねばならぬアイドルポップスはコレだ!と思いましたね。
といっても、正直、松本隆のミッチョンには聖子の面影を重ねちゃったりしましたし、もっといえば85年は太田裕美が不在になった年でして、斉藤由貴にその幻影を重ねてよく聴きましたけど…。
そして第2弾の「青い風のビーチサイド」はジャケットが大柄なコの感じの写りでしたけど、楽曲はとってもナイスでした。当時でも古い王道系なんですけど、とにかく良質なポップスだったし、気がつけば大ファンになっていたのですね。イマイチ人気が爆発しなかったことも、応援欲を増幅させたのかもしれないけど。
という風に、個人的にミーハーな意味で大ファンになったアイドルは、彼女が最後だったのです。受験勉強と称して机に向かいながら、彼女のやってたラジオを聴いて、せっせとハガキを出したことさえありましたからね。
で、もちろんこのシングル2曲を含むファーストアルバムも予約して手に入れました。それが今回オーダーメイドファクトリーの廃盤再プレス対象商品となった「 Straw Hat +2 」です。
オープニングから、胸キュンバラード「いっぱいのかすみ草」の名曲ぶりに感動。ジューシィ・フルーツのトコ作曲ですが、彼女のキャラにぴったりの名曲です。シングルリリースが途切れた時もよくテレビで歌ってましたし、ファン人気No.1というのもうなずけます。
アルバムを通して聴いてしまうと、むろん聖子ほどのクオリティとまではいきませんし、実齢より幼めの楽曲が多いのですが、矢野顕子特有のフワフワ感がクセになる「ジンジャー」や、知らぬ間にサビを口ずさんでしまう「なるほどネ!!」など、終始微笑んでしまう上品なカワユさがいっぱい。
「春色のエアメール」は、イントロのコーラスが素敵なアルバムバージョンで入っています。
今回、再CD化が実現すれば、オリジナルリリース時以来ですから、なんと25年ぶり。一部の楽曲は2003年のアイドル・ミラクルバイブルシリーズの2枚組ベスト「ザ・ベスト〜Purity〜」にも収録されていますが、ぜひアルバムで聴いていただきたいです。
ワタシの場合は当時LPで聴いていたので、今回ぜひとも復刻され、CDで聴ける日が来るのを楽しみにしてます。
そして、未CD化のミニアルバム曲(特に「さよならと言われて」の別バージョン)とかも復刻へとつながればいいな。
銀色夏生+ユーミンの提供作にして最高傑作「さよならと言われて」とか、驚きボブのレコ大新人賞とか、最初はA面候補だった「感性のままに」とか、郷ひろみに次いでユーミンとみゆきの両方から提供を受けたアーティストだとか、という話はまたそのときにでもできたら、なんて思ってます。
(2010.2.25)
*ボーナストラックとして「春色のエアメール(シングル・バージョン)」「秘密の17才」の収録が決定!さらに、唯一の音楽映像商品のDVD化「
松本典子LIVE'86 MAIDEN VOYAGE
」もオーダーメイドファクトリーの候補に挙がりました!