ついに登場!スタ誕出身、再デビュートリオの全曲集!
ちょっと前までは、夢のまた夢だと思っていたタイトルや、あっと驚くようなアイテムまでが堂々と復刻されるこの頃。
CD不況と復刻ものの手堅さからか、メジャーメーカーでさえ、どんどん純正復刻盤を出し続けてくれていますよね。ホント、いちユーザーとして感謝の念が尽きない出来事なのですが、こういう状況が続くとそれが当たり前になって、いつの間にかありがたみを感じなくなってしまうこともあったりして。
むろんそれも人情というものなのでしょうが、ここは初心に返り感謝の気持ちを忘れずに、また襟を正してその思いを購買という行動で示すよう頑張らなくっちゃ!なとど思っております。
冷静に考えると、声高に復刻を叫ぶ人が多いタイトルだったとしても、そこはこのご時世。果たして実際に買う人は少なくなってるんじゃないのかとか、採算が合うのかどうかとか、いろいろ心配な盤ばかりのよーな気がしますけど…。
というように、昔はさほど積極的でなかったメジャーレーベルでさえコアな自社復刻に力を入れるようになり、超マニアックなアーティストもリリースされるなど、元祖となったインディーズ主導のモノも最近はちょっと影が薄く感じられてしまうこともありますが、リイシューものに先鞭をつけたといえば、やっぱり大手メーカーではなくてインディペンデント系。
今日の邦楽復刻が活発なのは、復刻の神様・高護さんをヘッドとするウルトラ・ヴァイヴの皆様のおかげといっても過言ではないでしょうし、筒美BOXをはじめ、メジャーメーカーから成功例を続出させたことは今日への大きな力となりましたし、本当に大感謝ですよね。
もちろん歌謡曲系に限りませんが、歌謡マニアの伝説的バイブル「リメンバー」を作っておられた高さんの会社ですから、企画や監修はどこを取っても懇切丁寧、まことにコアなファン思いのものばかりです。
近年はHotwax presents 歌謡曲番外地シリーズでもおなじみのウルトラ・ヴァイヴ/SOLID RECORDSですが、またまたやってくださいました!
「スター誕生!」出身ながらソロでは不発に終わってしまったアイドル3人で結成されたGAL(ギャル)のコンプリートベスト「 薔薇とピストル~コンプリート・コレクション 」!
ギャルと言えば、ピンク・レディー全盛でキャンディーズが解散宣言をした後の77年10月に「薔薇とピストル/グループ」でデビュー。小澤音楽事務所(アルト企画)系、ご存じ「目かくし」の石江理世、「好奇心」の黒木真由美、「わたしのシュガー・ボーイ」の目黒ひとみによる敗者復活グループです。
スタ誕きってのグルーブ感の持ち主・ミッチことミチヨは当然として、マミもヒーも古巣の日本テレビ音楽学院でレッスンにレッスンを重ねたことはよく知られた事実です。その甲斐あって、歌って踊れる実力派セクシーコーラスグループに生まれ変わって登場した時、その姿に多くの人がハッと注目したように思います。
阿久悠さんらしいテーマも素敵だったし、川口真さんのソウルフルな楽曲の迫力も圧倒的でしたし、何より3人のハーモニーや振り付けがスゴかった。和製スリー・ディグリーズというか、みんなソロで出た時とは全く違う気迫がにじみ出ていました。
それは今考えると、最後のチャンスに懸ける意気込みとか、プロとしての自覚とか、そういう単純なモノではなく、一度は大きな期待を受け胸を膨らませてデビューを果たすも、その後の挫折を経験した3人ならではの、芸能界への復讐だったのではないでしょうか。
ソロではポワンとした印象のあった目黒ひとみですら、かなりのカンロクでした。
売れようが売れまいが、出身者を家族のようにあたたかい愛情で包むスタ誕ですから、番組では強くプッシュされました。それに加えてメディア露出もかなりあって、明星ではレコードジャケットデザイン募集のデビュー記念企画が行われたり、黒木真由美ファンだったワタシもすぐさま応援態勢になったものです。
そして「薔薇とピストル」はオリコン53位をマークするスマッシュヒットを記録。これを受け出た第2弾「マグネット・ジョーに気をつけろ/珈琲をいれましょう」もデビュー曲をしのぐほどのインパクトがあったのですが…。
結局、日テレ系を中心にしたアニメソングなどのカバーも入ったファーストアルバム「ギャルのスペースオペラ」をリリース後、残念ながらミチヨがリタイア。
代わりに中世古明代が加わり、78年10月にはブレイクしたばかりの桑名正博による「誘惑されて/スーパー・スター」、企画盤の「黄金仮面/悪魔のように」を立て続けに発売。どんどんマニアック度は高くなるも、露出は皆無に等しくなり、気がつけばフェイドアウトしていました。
個人的にはピンク・レディーの「レディーX」みたいな、ああいう感じで押しまくってたら…とか思ったり、やっぱり都倉さんのギャル、も聴いてみたかったなんて思ったりしたことがあります。
そんなギャルですが、今でも楽曲や歌唱を高く評価する歌謡マニアや、結成のいきさつはもちろん、ビッチ的衣装のケバさや振り付けを愛する熱狂的な支持者が多いというウワサです。中には当時を知らなかったり、生まれてなかった人の中にも大ファンを名乗る御仁がかなりの数に上るようで、ホントすごいんですよね。
初期メンバーの3人は、昨年の石江理世のアルバム復刻「放課後」(こちらで紹介)と目黒ひとみの抱き合わせベスト「ゴールデン☆ベスト」(こちらで紹介)、そしてこの7月に出る黒木真由美の「パーフェクト・ベスト」(こちらで紹介)でそれぞれソロのコンプリートが完結。ギャルも、ミチヨ在籍時の2枚のシングル両面はミチヨ復刻で、その後のA面もマミのベストでCD化が実現しましたが、今回は悲願のコンプリート・コレクション。
コレはコアなGALファンの皆さんにとっても、それぞれのファンにとっても必携盤といえそうですね。
なお、ウルトラ・ヴァイヴからは、天馬ルミ子・中野知子・山川ユキによる「 歌謡曲番外地~ルミ子・知子・ユキ ミノルフォン三人娘シングル・コレクション 」も同時発売されるのだとか!
徳間音工・遠藤ミノルフォンというと、桜たまこや小川順子をつい思い浮かべてしまうし、その系統が主流だと思うので最初はターゲットが違った天馬さんは毛色が異なる気もしますが、こちらも狂喜乱舞するマニアは相当いそうな感じですね。特に「新宿ダダ」で知られる山川ユキは!
ボーナストラックとして、その山川ユキによる「カメラのさくらや」のCMソングも収録されるとのこと。
ですが、このサイト的にはやはりT&Cでピンク・レディーの妹分としてデビューした天馬ルミ子のCD化でしょう。
我々世代には歌手デビュー前から小学館の学習雑誌・小学○年生とかのモデル・天馬館ルミ子として有名だった彼女、レッツヤンのサンデーズのメンバーとしてもおなじみでした。
スマッシュヒットしたデビュー曲やソニー時代のシングルはCD化されていましたが、「ありがとう青春」「その時わたしはTAXIを停めた」や「アデュー」などを切望してた人は多そう。
こちらも全シングルAB面収録ということですから、コレクションにぜひどうぞ。
(2010.6.14)