梅雨どきも、雨うたコンピの備えあれば憂いなし!
初夏といってもいい頃なのに、真冬みたいに肌寒い日があったと思ったら、急に蒸し暑くなったり。この春以降は特にその傾向が顕著ですが、なんだか異常気象どころか、行く所まで行ってしまった環境問題を憂いたり、世界の終末へのカウントダウンにビビったりという気分にさえ慣れっこになってしまったようで、そちらの方が空恐ろしかったりする今日この頃。
そろそろ梅雨どき、ただでさえ体調管理に苦労する季節ですが、こうおかしな気候が続くと、身も心も参ってしまうという人が多そうです。
ワタシの場合、そんな時もいいうたを聴いて気分転換するぐらいしか術を知らないのですが、やっぱり気持ちの持ちようはとても大事なようで、かなりな免疫効果を発揮しているように思います。うたを聴いていたら、肌寒さをいとおしみ、蒸し暑ささえ楽しむというコトができちゃうから不思議ですよね。
そんな時に聴くのはシチュエーションに合わせた選曲のコンピ盤が多いのですが、それは梅雨どきでも同じ。やっぱり雨コンピでしょう。シトシトザーザー降り続く雨が刻むリズムに同化したり、よみがえった切ない思い出をサッパリと洗い流したり、いろんな気持ちを昇華してくれそうな気さえしてきます。
よく言われるように、自然現象の中でも雨が降る様は人を詩人に変える力が確かにあると思いますし、昔から雨をテーマにしたうたは数多く存在します。
そのせいか、雨にまつわるコンピ盤もビクターの「 Gentle Rain 」やソニーの「 レインソングス 」など、ここ数年も各社からいろいろ出ておりますね。
中でもお気に入りは歌謡曲度合いもほどよい「 雨と仲良くなる19の方法 」「 続・雨と仲良くなる19の方法 」なのですが、このシリーズは定番のフォーク&ニューミュージックに混じってアイドルが入るという絶妙の選曲がとっても好みだったりします。
こういったコンピは願わくば定番としてカタログに残ってほしいのですけど、昨今なかなかそうもいきません。追加発注などよっぽどの売れ線以外は難しくなったご時世、どれも2年も経たずして店頭では見かけなくなってしまうのが現実です。
そんなコトを思っていましたら、来週、新たなレイニーソングコンピ、その名もズバリ「 雨のうた 」が発売されるとのこと。梅雨直前、タイミングもバッチリですし、今年の梅雨対策のためにちょこっとご紹介させていただこうと思った次第です。
文字通り、雨を歌ったJ-POPの永遠の名曲を35曲、2枚組で収録したこのコンピ。
稲垣潤一「ドラマティック・レイン」から始まって、大滝御大の「Bachelor Girl」、ASKA「はじまりはいつも雨」、德永英明「レイニーブルー」、小林麻美「雨音はショパンの調べ」、そして太田裕美「九月の雨」まで、おなじみの有名曲はもちろん、最近もまたCMで歌われ脚光を浴びている松田聖子「瞳はダイアモンド」などタイムリーなヒット曲まで、70〜90年代を中心に雨のうたが揃い踏みしています。
我らが大江千里クンのどしゃ降りでもかまわない超名曲「Rain」や、その「Rain」が大好きでカバーまでした槇原敬之の「この傘をたためば」が入っていたり、分かる人にだけ分かる感じの隠しワザもアリ。この2人が入るならKANくんも入れてほしい!と思ったら、彼が書いた今井美樹「雨にキッスの花束を」が入っていてニンマリしたり。
個人的には、杏里「愛してるなんてとても言えない」で1本1万円もする傘をさしていたバブリーな想い出がよみがえったり、鈴木聖美おねーちゃんとラッツの「TAXI 」ではカラオケバーでデュエットさせられた光景がフラッシュバックしたり、こっぱずかしさがいっぱい。筒美先生が90年代に書いたNOKKOの名曲「人魚」などは、アカシアの雨にうたれて泣いてしまいたい衝動に駆られたりします。
純粋なアイドル系は入っていないのですが、堀ちえみの赤い傘とセーラー服を思い出す杉真理「バカンスはいつも雨」や、キョンキョンへの提供曲のセルフカバー鈴木祥子「優しい雨」 工藤静香「Ice Rain」など、そのエッセンスはちゃんと感じられますし、ディスク2の後半にまとめられた70年代メインのフォーク&ニューミュージック—オフコース「眠れぬ夜」、村下孝蔵「初恋」、ハイ・ファイ・セット「冷たい雨 」、太田裕美「九月の雨」、イルカ「雨の物語」、研ナオコ「夏をあきらめて」、よしだたくろう「たどり着いたらいつも雨降り」—という流れはホント圧巻です。
こういうのを聴いてたら、自分の思い入れのある歌も聴きたくなってくるから不思議。アグネスの「小さなアンブレラ」、真理ちゃんの「レイン・ステイション」、ユーミンの「雨に消えたジョガー」、キャンディーズの「雨の日に偶然」、谷口世津の「雨ゝ降れゝ」…。名曲アルバムのコーナーでも紹介したほど、大好きなうたがたくさんあります。
ほかにも雨女・太田さんの「青い傘」や「雨の音が聞こえる」はもちろん、ユッコの「明日草」とか、聖子の「RAINBOW—六月生まれ」、渡辺満里奈の「レイニー・カインド・オブ・ラブ」、そして雨上がりの渡辺まっちゃん「別れてそして」まで、イロイロ聴きたくなっちゃって、自分だけのコンピを作りたくなってきた。
ワタシにとっては、そういう広がりを見せてくれる点も名コンピ盤としてのポイントだったりしますが、皆さんはいかがでしょう? お好きな雨のうたがこのコンピに入っていれば堪能して、そうでなければ、ぜひ思い出してまたそのうたを聴いてほしいなあ。
(2010.5.16)