今度は3枚組!初のシングルA面集+ヒット歌謡カバー集!
1994年の8曲入りミニベスト「BEST OF BEST」から16年、2007年の21曲入りフルベスト「GOLDEN☆BEST〜忘れ得ぬ名唱・佐良直美〜」から3年。長い長い時の移ろいを考えますと、待ちきれずに旅立たれた方もいらっしゃるのではないかと無念の涙がこぼれそうな勢いでございますが、全国津々浦々の佐良ファンの皆さまに朗報です。ついにデラックスな3枚組ベスト「 ゴールデン☆ベスト デラックス 佐良直美~コンプリート・シングルス+ヒット・カバー・コレクション 」が出ることになったそうです!
佐良さんといえば、何と言っても権威があった時代の日本レコード大賞の大賞歌手ですし、国民的人気を誇っていた頃のNHK紅白歌合戦に歌手として連続13回出場したのはもちろん司会を5回も務めた方ですし、マルチな才能を発揮した真の実力派として昭和の歌謡史に燦然とその名を記すスター歌手の1人です。
ビクターの看板歌手だった華々しい実績から見ても、ディープな昭和歌謡ファンからの支持率を鑑みても、1枚モノではなくこのボリュームが出て当然のアーティストであることに間違いありません。興味本位のスキャンダルぐらいで実績が消えるわけはありませんし、それこそBOXが出たっておかしくはないですよね。
とはいえ、高まるファン心理のあまりか、前のベストを中途半端だとか酷評してしまう御仁も少なくなかったといいます。これをお読みいただいている皆さんはそんなことはないと思うのですが、せっかくですので、ちょっとひとこと。
前回の佐良さんのG☆Bはコアなファンのために少しでもミニベストとダブリが少ない配慮がなされていたようですし(「恋はオールデー・オールナイト」「愛の結晶」「ギターのような女の子」「塩・ローソク・シャボン」をカット)、ああいったパイロット版があったからこそ、今回の3枚組につながったという見方もできます。そういうとらえ方をした方が精神衛生的にもよいとは思うのですが…。ミニベストを買ってなかったのなら、それは自己責任というものでしょうし。
これは佐良さんに限ったことではありませんが、こちらにいただくメールの中にもチラホラそういうものもありまして、何とかならないものかと思ってるのは事実です。昨今の市場はまるで風前の灯火にもかかわらず復刻モノの発売が続く中 、ご自分の首を絞めかねないことですしね。
さて気を取り直して、今回は、直さんファン待望の3枚組。“コンプリート・シングルス+ヒット・カバー・コレクション”というやたら長いサブタイトルが示す通り、まず67年デビュー曲「世界は二人のために」から、83年の「YASUKOの場合」まで、全シングルA面を網羅しているとのことです。
石井ふく子プロデューサーによって女優としての才能も開花させた佐良さんですが、今回はそのきっかけとなった「肝っ玉かあさん」の同名主題歌も収録(紅白司会もそうですが、チータと交代して主演に上がったドラマ主題歌を含む両A面シングル「風/ありがとう」も!)。さらに、イレギュラーシングルの「二十一世紀音頭」も入っているという念の入れようです。
むろんほかにもレコ大受賞曲「いいじゃないの幸せならば」や、シンシアもカバーした筒美作品「ギターのような女の子」、カントリーの名作「ひとり旅」などなど、聴き応えある名曲がいっぱいです。
歌謡ボッサやソフトロックなどなど、初期のいずみたく作品のおしゃれな装いも素敵だし、後期の味わい深いフォーク歌謡もさすがです。
個人的には「国東半島ぶらり旅」がついにCDで聴けることがしあわせ。前にも書きましたが、これを新曲として歌っている頃、ナマで拝聴したことがあるのです。テレビ番組「ズバリ!当てましょう」の公開録画のゲストとして来ていたんですが、その時、うたの余韻というものを生まれて初めて体験したこともあって、この曲をCDでずっと聴きたかったんですよ。
ほかにもビクターテレホン歌謡曲(って分かります?)に電話をかけて聴いて以来となる歌とかもあって、ちょっと興奮しています。
そしてプラスされたヒット・カバー・コレクションとしては、「どうぞこのまま」「木綿のハンカチーフ」「夢の中へ」「粋な別れ」「メランコリー」「北の宿から」「勝手にしやがれ」「夢先案内人」「Hi−Hi−Hi」「めまい」「揺れるまなざし」「シクラメンのかほり」という12曲の予定。
佐良さんの真骨頂であり、紅白でも披露するなど大得意だったポピュラーやジャズの名録音ではなく、76〜77年あたりのヒット歌謡になっていますが、これは今の復刻を支える世代(佐良兄貴(♂)と讃える世代でしょーか)をターゲットにしたカバー曲がチョイスされたと見るべきでしょう。それにしても佐良さんが歌う太田さんとか百恵ちゃんとか、楽しみですね。
第一線から姿を消した後は栃木県で家庭犬のしつけ教室などを運営するアニマルファンスィアーズクラブの代表となり、女性初の官房長官や文部大臣などを歴任した森山眞弓元衆議院議員が会長を務める優良家庭犬普及協会(副会長はなんと石井ふく子P!)の専務理事としてもご活躍のご様子の直さん。
何年前だったか、久々にテレビで拝見した時「犬は裏切らないけど、人は裏切るから芸能界には戻らない」みたいな発言をなさってたいそう驚いたものですが、声は変わってないようでしたし、あれほどの実力を持った方なのだから、また機会があれば歌声を聴かせていただきたいですね。
前のベストのライナーでは、内輪のパーティーではお歌いになってると書いてありましたし。佐良さんの本物のうたを待ち望んでいる人は相変わらず多いことでしょうしね。
なおベスト以外のCDでは、ビクター流行歌 名盤・貴重盤コレクションとして、2005年に「素晴らしいフォークの世界」が、08年には「鈴懸の径 佐伯孝夫優しい詩集」が出ていますので、未聴の方は併せてどうぞ。
また、ビクターのG☆Bとしては、「 ゴールデン☆ベスト 浜田麻里 ~VICTOR YEARS~ 」「 ゴールデン☆ベスト SQUARE JUNGLE/FOREVER CRUSH GALS 」「 ゴールデン☆ベスト 草刈正雄 ~EARLY DAYS~ 」「 ゴールデン☆ベスト 真田広之 」も同時発売されるようです!リクエストしてたファンの方はお早めにご予約の上、ちゃんとお買い求めくださいね。
(2010.7.29)
*残念ながらカバー収録曲に変更があり、最終的に「ゴンドラの唄」「別れのブルース」「銀座カンカン娘」「君恋し」「粋な別れ」「恋の季節」「シクラメンのかほり」「どうぞこのまま」「夢先案内人」「Misty」となったようです。ご注意ください。
*ベスト盤とともに、なんと27年ぶりになるというシングル「
いのちの木陰
」(山川啓介作詩、渋谷毅作曲、VICL-36620、¥1,200)も同時発売! 佐良直美さんが芸能界に復帰する可能性があることも報道されました。