追悼盤!三木さんが描いたアイドルたちの本質
この5月にお亡くなりになった三木たかしさん。こちらでもチラッと書きましたが、ちょっと指を折っただけでも、大好きだった三木さんのうたは数えきれないほどあります。
プロの職業作家さんらしく、哀愁漂う繊細なメロディーから、洒脱でコミカルなポップス、そして流れるように美しい旋律まで、実にさまざまですし、名曲と呼ばれる作品もたくさんありますよね。
追悼盤としては、大ヒットを集めたテイチクの「 追悼盤 三木たかしベスト作品集 」を筆頭に、テレサ・テンやシリーズものなど、各社続々と発売を予定しているようです。
多岐にわたるご活躍をなさってた方らしくそれぞれに素晴らしいチョイスだと思いますが、オススメなのが「歌宝」。三木さんのことを思うと必ず「スター誕生!」の審査員席に座ってらしたお姿が浮かぶ身としては、やっぱりアイドル編の「 歌宝~三木たかし作品集~アイドル・ポップス編 」をクローズアップせざるを得ません(ユニバーサルミュージックから「 歌宝〜三木たかし作品集〜 歌謡曲・演歌編 」も同時発売)。
百恵ちゃんの「白い約束」「愛に走って」「赤い運命」に始まって、ヒロリンの傑作「思秋期」やコーラスが素敵な「あざやかな場面」、サッコのブレイクソング「木枯らしの二人」、なぎさのデビュー曲「純愛」、今や涙なしには聴けないユッコの「お元気ですか 」…。
スタ誕ファミリーは愛情を基本とした結束の固さが有名ですが、こういうヒット曲を並べてみるだけで、いかに三木さんが出身者への愛情にあふれていたか、それぞれの個性に合った作品を書いてきたかというのが分かりますね。
もちろん、それは阿久さんの手ほどきによるものだと思うし、審査員皆さんがそうでしたけど、三木さんの場合は特に歌手たちの本質的な魅力に迫った曲が多いような気がします。
また、阿久さんとのコンビではヒデキも秀逸ですね。曲構成に唸ってしまう「君よ抱かれて熱くなれ」にしても、スケールの大きさに鳥肌が立つ「若き獅子たち」にしても。最初はアクション先行という評価ばかり先行していたヒデキが、歌手として大成し認められるようになったのは、阿久+三木コンビの作品があったからこそだと実感します。
ほかにもキャンディーズの「哀愁のシンフォニー」などはうっとりする出来ですし、ミヨちゃんの「想い出のカフェテラス」や、ぐっと時代は下がるけどナンノの「ダブルゲーム」など、歌唱力はないと言われてたシンガーたちに自信を持たせ、元来持っていた歌心を見事に引き出したメロディアスなナンバーも見逃せませんね。
どうしてもヒット曲や代表曲が中心になってしまいますが、連続担当も多かった三木さんには、ここに収録のアイドルたちに書いた隠れた名曲がたくさんあります。
個人的にはそういう名曲たちを1曲1曲聴き直そうかと思っていますが、軌跡をつぶさに追うBOXなど全集ものの発売にも期待したいですね。
(2009.7.1)