太田裕美も参加! 女性ボーカルのロンバケトリビュート!
発売から28年、大滝詠一御大の世紀の名盤「A LONG VACATION」が、新たな形でよみがえります!それが、曲順そのままに女性ボーカルたちによるロンバケ・トリビュート「 A LONG VACATION from Ladies(初回盤) 」!
ナイアガラフリークではないワタシの場合、御大をしっかり認識したのは、80年晩秋の太田裕美FC会報でした。何でも今度の新曲は「さらばシベリア鉄道」というタイトルで、久々の松本隆作詞、作曲は大瀧詠一という人が担当したとか。それは大滝さんも太田さんと同じCBS・ソニーで、担当も同じ白川隆三ディレクターという縁から決まった云々、という内容でした。
それまで松本さんやホソノさんとはっぴいえんどにいた人、とか、ピンク・レディーをパロったりしてたヘンな人、という認識しかなかったので、果たしていかがなものか…などと訝しんでいたのは事実です。
実際に聴いてみて…「霧の中のジョニー」なんて知らない世代だったので、ちょっとビックリしました。太田さんの一連のナンバーからすると異質なのはもちろん、なんだか音がこもっているし、アレンジはロシア版西部劇みたいだし、ねえ。ボーカルはプールで泳いだ後だった後だったそうで、リハの方が声が出ていたようですけど。
特に太田さんにとって80年はキリンオレンジのCMソング「南風-SOUTH WIND-」のスマッシュヒットで久々の上昇気流に乗った年だったし、前作の「黄昏海岸」はイマイチ伸び悩んだので、次の新曲で巻き返しを!なんて、ファンとしては、そういう思いでいたのですね。
結局は、ラジオではよく流れていた感じがしますが、さほど話題にもチャートにも上らず…。なのに、次の新曲もまた松本隆+大瀧詠一コンビによる「恋のハーフムーン/ブルー・ベイビー・ブルー」だなんて。こちらの方は初めて聴いた時から大好きでした。長くてしつこい感じはするものの、キャッチーだし売れるかもしれない、なんて思ってましたけど…。
で、81年3月21日、その太田裕美「恋のハーフムーン」と同時発売されたのが、大滝詠一「ロング バケイション」。太田さんも参加している、ということだけで買いましたね。太田さんは御大のコンサートにもゲスト出演すると言っていましたし。そして超ロングヒットとなり、世紀の名盤と評されていくのはご存じの通りです。この時代に青春を過ごした人たちなら、ロンバケが彩った思い出があるはずだと思います。
余談ですが、太田さんはこの年の暮れに休業を発表し、ワタシは超ショックを受けてしまうのです。しかし、ワタシは太田さんがもう一年、いや半年遅く御大の曲をリリースしていたら、もっともっと売れたはずだ、そして運命は違っていたはずだと今でも思っています。むろん聖子の「風立ちぬ」ほどではないにしろ、「A面で恋をして」ぐらいには…なんて。
と、御大のことを思うと、いつも太田さんのたられば話になってしまうのですが、そんな個人的思い出のあるロンバケに新たな命が吹き込まれるのですから、コーフンしてしまうのも無理からぬコトなのでお許しください。
さて、気になるのは曲順通りに収録されているというアーティストと曲の組み合わせ。のっけからビックリしますが、「君は天然色」を大貫妙子、「Velvet Motel」は金子マリ、「カナリア諸島にて」が今井美樹、「Pap-Pi-Doo-Bi-Doo-Ba物語」はジュライムの行川さをり、そして「我が心のピンボール」がハミングキッチンのイシイモモコという布陣。
そしてアナログ盤でのB面はと言いますと、「雨のウェンズデイ」が尾崎亜美、「スピーチ・バルーン」がクラムボンの原田郁子、「恋するカレン」がつじあやの。
そして「FUN×4」はオリジナル盤でも“散歩しない?”で出演を果たした太田裕美が担当と言いますからウレシイじゃありませんか。なお「さらばシベリア鉄道」は太田さんではなく鈴木祥子となっています。
若いメンツが多いので全く異なる解釈に期待できそうな気もしますが、欲を言えば、太田さんだけでなく“いちご畑”の聖子や、“天然色”の薫ちゃんら当時の大滝系アーティストももっと参加してくれれば面白かったのになあなんて思ったりして…。
ともあれオリジナル(CDとしては邦楽第1号としても知られますが、現在は20周年記念盤「 A LONG VACATION 20th Anniversary Edition 」とCD選書盤「 A LONG VACATION 」が発売中!)との聴き比べも楽しそうです。
なお、サウンドプロデュースは大滝さんご指名による井上鑑さん。ボーナストラックには井上さんによるインスト「Epilogue Instrument〜Blue Niagara」も収録されるとのことです。
しかもジャケットは、オリジナルと同じく永井博さんの書き下ろしイラスト。あのプールサイドがピンク色に彩られていて、コレはやっぱりオリジナルと並べて飾りたいですね。
また、初回盤はレコーディング風景やインタビュー、イメージカットを入れた映像集の入ったDVD付きだとか。通常盤( A LONG VACATION from Ladies(通常盤) )も同時発売ですがコレはやっぱり初回盤を入手したいところです。
ナイアガラアトリビュートはこれまでにも「 ナイアガラで恋をして ~大瀧詠一トリビュートアルバム 」や、タワレコ系の「 Niagara Spring ~Niagara Cover Special~ 」「 Niagara SUMMER~Niagara Cover Special~ 」「 Niagara AUTUMN&WINTER~Niagara Cover Special~ 」、東MAXの「 冷麺で恋をして 」など数々出てきましたが、今回のはかなり素晴らしいトリビュートアルバムになるのではないでしょうか。
と喜んでいたら、なんと、11月23日の勤労感謝の日、渋谷のBunkamura オーチャードホールで「大滝詠一"A LONG VACATION"トリビュートコンサート」と題した記念ライブも行われるのだとか。ター坊や太田さん、今井さんら参加アーティストが勢ぞろいする模様です。競争率はかなり高そうですが、ぜひ行きたいなあと思っているワタシです。
(2009.9.3)