ソニーの主人公(ヒロイン)、初のシングルコンプ!
80年代に突入し、百恵ちゃんが引退を発表したあの春。新時代の到来に重なったアイドル世代交代はにわかに色めき立って、新人は寄ると触わると“ポスト百恵”と騒がれたものでした。
その中にあって、デビュー当初はNo.1の存在だった浜田朱里。CBS・ソニー直系、さらにTBS赤いシリーズ後継者(「赤い魂」)と、触れ込みに偽りなく、どこをどうとってもポスト百恵No.1の存在だったんですよね。
確かに朱里ちゃん自身も、ムードといいますか、シリアスで哀愁が漂う表情から爽やかな笑顔に変わる時のイメージとか、ドキっとするほどでした。百恵ちゃんファン以外からは「あの娘なら納得」みたいな感じで、巷の反応もかなりよくって、絶対売れると思う人が多かったのは確かなんですけど…。
実際は明朗快活、運動神経も抜群。確か三姉妹で、お姉さんもみんなナウくてスゴイ美人だったこととかを思い出しますけど、あまりにもポスト百恵としてクローズアップされちゃったことと、どんな場面でも基本的に一歩引いてるように見えるキャラクターがマイナスだったのでしょうか。美貌が勝ちすぎたのも大きかったのかもしれません。
歌手としての露出は、まずレッツヤンのサンデーズのメンバーとして準備を整えていましたね。そして6月には満を持して「さよなら好き」でレコードデビューを果たしたのですが、結果は不発。
個人的には、テーマ性に加えレッツヤン絡みで80年代なのに平尾先生を起用してしまったことなど、肝心の楽曲がダメだったせいだと思っていますけど、もうこの時には新人女性アイドルNo.1はかの岩崎良美「涼風」と、同じサンデーズのメンバーだった松田聖子「裸足の季節」で決まり!という図式ができあがっていたのが大きかった…。
もしもアイドルが世襲制なら間違いなくトップアイドルとして君臨したであろう浜田朱里。思うに付け残念な気持ちが募りますが、そんな彼女のコンプリートシングル集が、ご存じソニーのオーダーメイドファクトリーのスペシャル企画商品として候補に挙がりました!
それが、11枚のシングル両面を完全収録した「 GOLDEN☆BEST limited 浜田朱里シングルコレクション 」。なんとオーダーメイド商品でありながら、G☆Bにラインアップというスゴいコトになってます。
朱里ちゃんの場合、10年ほど前に出た初ベスト「 GOLDEN J-POP/THE BEST 浜田朱里 」がA面すらコンプされていませんでしたし、あとは廉価盤の「DREAM PRICE 1000」だけだったので、今回のような企画を待ちに待っていた人も多いでしょう。
オーダーメイド商品としてはファーストアルバム「 よろしく、朱里。 」に次ぐものとなっています。
シングル曲を振り返ると、デビュー年の「さよなら好き/愛はクロス坂」と「あなたに熱中/恋のレッスン2」、青いシリーズ「青い花火/失われた季節」と「青い嫉妬/ジェラシーの章」、瞳つながり「黒い瞳/愛の湖」と「18カラットの涙/春に逢えるでしょうか」、リバイバルブームに乗ってスマッシュヒットを記録した「想い出のセレナーデ/椅子」「悲しみは駈け足でやってくる/哀・私小説」までの8枚は、2枚が1対になっているイメージがあって、それはそのまんまアルバムに投影されています。
この中では、2年目の「青い嫉妬」に脱帽。篠山紀信さん撮影とかのグラビアが話題沸騰し、そっち方面での人気が高まっていった頃、この時代に洒落たボッサ調のシングルを切っているのもスゴイですが、歌詞とともにゾクッとする名曲名唱ぶりです。
余談ですが、収録アルバム「青い夢」は、フォトジェニックなジャケットと相まって、ファーストとは比較になんないほどマジで名盤と呼べるほどハイクオリティ。
81年の夏は聖子の「シルエット」より聴いていましたし、完成度は比べ物にならないと思っております。彼女のアルバムでは最高セールスを記録していますし、ぜひ次のオーダーメイド候補に挙がることを切望します。
そして石川ひとみの「まちぶせ」や柏原よしえの「ハロー・グッバイ」が牽引したリバイバルブームを受け、82年に出した天地真理のカバー「想い出のセレナーデ」。がけっぷちトリオとして鶴光にイジられておりましたけど、このカバーは大正解だったと思います。アレンジもオリジナルより素敵で、ラジオでも大プッシュされた甲斐があって、シングルでは最高セールスを記録したのではなかったかな。
カバーアルバムでは同じく真理ちゃんの名曲「夏を忘れた海」とか、麻丘めぐみの「芽ばえ」なども取り上げていますが、次のシングルはアン真理子じゃなくこっちでもよかったんじゃないかな、なんて思っています。
あとの3枚、83年の「夏の指定席/恋せよ乙女」、84年の「本気半分エキストラ/ふたつのラブ・ストーリー」「春は四島(しま)から/カンゲキ・ドウトウ・サンバ」は、企画色ゆたかな単発盤。
ドラマ「意地悪ばあさん」などで見せたコミカルなイメージ(三波豊和クンとの絡みがよかったですね)も思い出されますが、最後の2枚はA面からして初CD化となっています。
という朱里ちゃんのシングルコンプ。ファーストの復刻実現はえらく時間がかかったような記憶がありますが、今回はスピード復刻となりますよう、皆さま、ご協力のほどよろしくお願いいたします!
(2009.12.26)