マンタ&ユーミン渾身! “松任谷麗美”3部作が紙ジャケに!
松任谷正隆・由実夫妻が完全バックアップし、1984年に鳴り物入りのデビューを飾った麗美。ユーミン以外を手がけるのが初めてだという雲母社所属のうえ、ユーミン書き下ろしのナンバーがズラリ。まさに“松任谷麗美”とでも言うべき展開は、数多くのユーミンファンの目を釘付けにしたものです。
特にコロムビアから出た、松任谷ブランドの3枚はどれも見事に名盤。であるからして、これまでに度々CD化されたほか、あ〜る盤にエントリーされたり、現在もコロムビアのオンデマンドCDで音源入手はらくらくOKの状態です。しかし、やっぱりCD-Rより紙ジャケの正規盤がいいのは当たり前。というワケかどうかは存じませんが、ここに来て紙ジャケット仕様の完全生産限定盤が登場することになりました。
ユーミンファンにはおなじみのアルバムだと思いますし、ユーミン作品集コンプリートベスト「 麗美ゴールデン☆ベスト-REIMY BRAND COMPLETE- 」をお持ちの方も多いでしょうが、せっかくの機会ですから紹介させてください。
まずは、84年1月のファースト「 REIMIY(紙ジャケット仕様) 」。ユーミンの大ファンではあったものの、そのちょっと前に出たアルバム「VOYAGER」が全然好みではなくて(LPのオマケでもらったポスターも怖かった…)、なんだか欲求不満に陥ったワタシ。ならば、レイミーへの提供曲で穴埋めをと、まずレンタルでお試しした次第です。
そしたらば、ユーミンも後年のアルバムでセルフカバーする「ノーサイド」や「霧雨で見えない」(同時期のハイ・ファイ・セット版はカバーです)をはじめ、後になぜか西村知美がカバーする「愛にDESPERATE」、ロリータっぽくてご本人はセルフカバーできないであろう「何もいらないから」など、あまりにも名曲ぞろいなことにビックリ。
呉田軽穂ではなく松任谷由実名義だし、ユーミンってば、レイミーにイイ曲をあげたせいで、自分のアルバムがイマイチになったのかと思うほどでした。
お姉さんは、同じく松任谷家のご寵愛を受けた堀川まゆみ(MAYUMI)でしたし、マンタさんとしては妹でリベンジを!という思いもあったのでしょうか。
みんなが抵抗を持つレイミーのあの独特の声も、春川ますみのよーなルックスも全然気になりませんでしたし、気がつけばレコード屋でLPを買っていたのです。ユーミンが作曲のみの作品で詞を書いた田口俊も、イイ感じでしたし。何より当時は沖縄出身でフィリピン人とのハーフという出自もポイントが高かったりして…。
なお、このファーストはCD化された際にジャケットが変わってたようですが、今回はLPのオリジナルジャケットでの復刻になりそうです。
完全にレイミーファンになったワタシですが、84年5月のセカンドシングル「青春のリグレット」でさらなる衝撃を受けます。歌もアレンジも、ラストのセリフも含め、後のユーミンのセルフカバーよりも格段の出来だと今でも思っていますが、もっと衝撃だったのがそれを含む同年9月のセカンド「 R(紙ジャケット仕様) 」なのです。
同発のシングル「残暑」(ナンシー・ウィルソンの英語版と競作!)や、「恋の一時間は孤独の千年」といったユーミンソングも秀逸なのですが、レイミーのソングライターとしての才能に脱帽。
まさに松任谷麗美と言える「空が一面海に見えた日」もいいですが、ユーミンが詞を書いた「星のクライマー」の奇跡的な素晴らしさよ。近年、由実さんもカバーしましたが、ちょっと比べものにならない出来です。なお、ユーミン版は2003年のセルフカバーアルバム「 Yuming Compositions : FACES 」に「星のクライマー」に収録されていますが、ホントは02年の脳内リゾートアルバム「 Wings of Winter, Shades of Summer 」に入れたいと考えていたとか。
ともかく、このセカンドでは歌唱も含め、才能の翼を広げユーミンがこしらえた滑走路から見事に飛び立つレイミーの処女フライト、みたいな趣もありますね。なお、お姉さんのMAYUMIも「鏡の迷路(STRANGLED IN LOVE)」などのハードな名曲を書いています。
そして三部作ラスト、コロムビア時代最後のアルバムとなった85年5月の「 PANSY(紙ジャケット仕様) 」。これもユーミンが4曲に携わっています。シングルになった「Time Travelers」は当時のユーミンのテーマの延長ですし、ファーストのロリータっぽい側面を進ませた「パンジーとトパーズのネックレス」も素敵。ですが前作が良すぎたせいか、フツーに名作なんですけどいま一歩の印象がいまだ拭えずにいたりして…。
なお、今回はボーナストラックとして、12インチシングルから「メビウス ストーリー/誰かが君を待っている」も追加収録されるとか。今回この3枚を買うとコロムビア時代のレイミー音源が揃うことになりますね。
というレイミーの紙ジャケ復刻。きっといい音になるでしょうし、数々の名曲があざやかによみがえりそう。もし未聴のユーミンファンの方がいらっしゃいましたら、この機会にぜひ聴いていただきたいと思っています。
(2009.9.9)