ナツメロ喫茶店/オススメ復刻盤389

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  ビバ!旧譜の新譜。紙ジャケからBOXまで、ナツメロ復刻盤&再発盤、コンピ盤などのレビューコーナーです。

#389

日本レコード大賞 50th Anniversary Vol.I 1959-1984

(2009.12.23発売、NQCL-4007〜8、¥5,000)

レコ大50周年記念、大賞曲網羅の第1弾!

 昨年末に記念すべき第50回を迎えた日本レコード大賞。大衆から個へ、うたの聴き方の変化やジャンルの細分化など、流行歌の有り様がすっかり変わってしまってからは、なんだか縁遠くなったという人は多そうだし、歌手の皆さんにとっても、前みたく誰もが欲しがるようには見受けられず…。

 かつては部門賞発表から注目され、冬休み前の教室やお茶の間で当然のように話題に上ったり、あれこれ予想してみたり。もちろん大晦日の当日はみんな固唾を飲んで見守り、ヒイキの歌手の合否に一喜一憂したり…。
 普段とは違う緊張感いっぱいのスターの表情を見るのも大きな醍醐味でしたね。今もってあのテーマ曲が流れるとドキッとしてピンと背筋が伸びてしまったりして。

 そんな黄金時代を知っている人なら、昨今のレコ大をなんとも残念に思っているでしょうが、このアルバムで往時をしのび、また老男女の口の端に同じうたがのぼる日が来るのを信じて、今後に期待しようではありませんか。

 それが、今回リリースが決定した日本レコード大賞50周年記念の2枚組アルバム。
 第1弾「 日本レコード大賞 50周年記念アルバム 日本レコード大賞 50th Anniversary 」は、昭和34(1959)年の第1回から、59(1984)年の第26回まで、すなわち水原弘の「黒い花びら」から、五木ひろし「長良川艶歌」までの大賞受賞曲がすべて入っております。

 今回はTBS系、日音のレーベル・HARBOR RECORDSからの発売で、待望のオフィシャルコンピという趣き。記念盤にふさわしく三方背ケース、デジパックという仕様の上、50回分の大賞受賞曲一覧などが記載されたブックレットも付くようです。
 98年だったか、ナベプロ系のリイシューシリーズでレコ大&歌謡大賞受賞曲のコレクションが出たこともありましたが、やっぱり大賞全部を網羅した公式CDには及びませんよね。

 昔ほどの関心はなくなったにせよ、大晦日はレコ大と紅白というのが習わしであったワタシ。数年前からレコ大の日程が変わってしまい、なんだか胸にポッカリ穴が空いたような気がしていましたが、初期のレコ大は大晦日じゃなかったのだとか。
 もちろん生まれていませんので分かりませんけど、最初は全盛期ほどのステイタスがなかったのかもしれませんね。

 とはいえ、大賞受賞曲はそうそうたる顔ぶれ。昭和歌謡の名曲がズラリと並んでいます。
 松尾和子、和田弘とマヒナスターズ「誰よりも君を愛す」、フランク永井「君恋し」、橋幸夫と吉永小百合「いつでも夢を」、梓みちよ「こんにちは赤ちゃん」、青山和子「愛と死をみつめて」、美空ひばり「柔」、橋幸夫「霧氷」、ブルー・コメッツ「ブルー・シャトウ」、黛ジュン「天使の誘惑」、佐良直美「いいじゃないの幸せならば」、菅原洋一「今日でお別れ」と、少なくともサビは全部知っているぐらいですから。
 尾崎紀世彦「また逢う日まで」、ちあきなおみ「喝采」あたりになると、すっかりおなじみになります。

 ただ、レコ大って物心ついた時にはいくら売れても大賞は演歌系や大人の歌手でないと獲れないみたいな感じでした。というか、70年代初頭までは流行歌は大人のものでしたしね。そういう意味では、個人的にヤングアイドル系百花繚乱、新人賞の思い出ばかりが募ります。

 中でもハッキリと記憶しているのは73年。新人賞に入ったメンツは安西マリアを除きみんなファンでしたから。ミヨちゃんとアグネスかな、と予想していたのですが、淳子が最優秀新人賞を獲ってビックリ。それを、おせちの準備やらで台所に立つ母に急いで報告しに行ったことが思い出されます。
 何年か前BSで再放送があった時、ノミネート順というか、歌う順番まで覚えていたので、自分でもビックリ。一緒に見ていた人にドン引きされたりしたこともありました…。

 新人賞で言えば印象的なのが、77年の部門賞での郁恵ちゃんとユッコとか、78年本選での渡辺真知子とさとう宗幸とか、小川哲也さんのちょっと意地悪な実況による決選投票のシーン。はたまた85年の倍賞美津子さんのヒイキ発言など、いずれも鮮明に覚えています。
 あとは、紅白出場組が入場行進に間に合うのかハラハラしてみたり、そんな思い出は尽きませんね。

 と話がそれましたが、収録の大賞受賞曲をひもとけば、歌謡界の流行までがよく分かるのもレコ大ならでは。
 例えば74年と75年は歌謡曲とフォークの融合が盛んになった頃。森進一「襟裳岬」、布施明「シクラメンのかほり」という2曲が如実に証明していますよね。
 また、カラオケブームが始まった76年には都はるみ「北の宿から」だし、最高視聴率を叩き出した77年沢田研二「勝手にしやがれ」からは、いかにもテレビ的なヒット曲というイメージで、以降は同じTBSの「ザ・ベストテン」の影響が色濃くなっていくような気がします。79年のジュディ・オング「魅せられて」にしても。

 あと78年は最も大賞に関心がありました。前人未踏の連続メガヒットで実績的には文句なしのピンク・レディー「UFO」を応援していましたし、結果的には受賞できましたが、下馬評ではジュリーのV2か、百恵ちゃんか、なんていう三つ巴のあおりも多く、かなりヤキモキしました。紅白を辞退したことで、非難する声もありましたしね。
 高橋圭三さんがPLの名を読み上げるまで、審査員に絶対ウケがいい感じの百恵ちゃんに軍配が上がるのではないかと思っていたものです。

 そんなことを考えていたら、百恵ちゃんや聖子という無冠の女王のことだけでなく、大賞最有力ともいえる大ヒットを飛ばしていながら、外国曲(外国人作)ゆえ別の曲でのエントリーになってしまったヒデキ(「YOUNG MAN(Y.M.C.A)」)や、ヒロリン(「聖母たちのララバイ」)などにも思いを馳せてしまいます。

 と、こう改めて受賞順に聴いていけば、貴重な資料として歌謡史のお勉強ができそうだし、その時々のいろんな思い出も数珠つなぎによみがえりそう。
 90年からは大賞が部門制になったりしたこともありましたが、第27回の中森明菜「ミ・アモーレ」からスタートする第2弾にも期待です。

 深刻な不況が続くCD市場ですが、今回のが成功して、大賞のみならず主要賞を網羅したシリーズへと続けばいいな。欲をいえばその他の賞についてもデータが入った公式ブックみたいなオマケ付きで。そのためにはやっぱりCDを買わなきゃ、ですね。

(2009.12.3)


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