CBS・ソニーのスターにしきの、初の2枚組ベスト!
今はもう名前が変わりましたが、CBS・ソニーというレコード会社をこよなく愛している人って、かなりの数に上るのではないでしょうか。もちろんワタシもその1人。
あのCBSとソニーがミックスされたロゴも、シングルレコードのオレンジのレーベルやオリーブグリーンからブルー、ホワイトへと変わっていった袋も、それぞれのジャケットデザインも、ずっと身につけていて今も捨てられない宝物をいとおしむような愛着を感じます。
フォーリーブスも好きでしたが、CBS・ソニー所属アーティストの中できちんと意識して最初にファンになったのは南沙織さん。そして当時、一躍人気者になった彼女と並ぶ看板スターの彼のことも印象に残っています。
そう、シンシアファンには有名なカップリングLP「あきらと沙織」や、シングル「マミー・ブルー/オー・シャンゼリゼ」という企画盤でも知られるスター、ソニー演歌の騎士(ナイト)・にしきのあきらさん。
70年にデビューし、その年の日本レコード大賞最優秀新人賞を獲得したスターにしきのは、新進のレコード会社だったCBS・ソニーの顔でありました。紅白にも6回連続で出場した実績を見ても分かるように、CBS・ソニー国内制作によるゴールデン・ヒット・ポップスの歴史を形作ったと言えるアーティストだったのですよね。
これまでに出たCBS・ソニー時代のあきらのCDと言えば、94年にCD選書で復刻されたオリジナルアルバム「’71の太陽」、98年に出た初の「GOLDEN J-POP/THE BEST」、2001年の6曲入り廉価盤「DREAM PRICE 1000 にしきのあきら」、07年の「エッセンシャル・ベスト」という確か4枚。大ヒットが少ないし、需要も見込めないとは言え、かなりなシングルやアルバムをリリースしてきただけに、ちょっと残念な気がしていました。
そこにようやく登場するのが、初の2枚組でシングルA面コンプリートとなる「 GOLDEN☆BEST にしきのあきら 」!
デビューシングル「もう恋なのか」、今も歌われ続ける大ヒット「空に太陽がある限り」など、初期は浜口庫之助さんによる名曲が多いにしきの御大。ハマクラさんはワタシの故郷にゆかりがある先生だったこともあり、親近感を勝手に持っているのですが、今回の目玉は後期の初CD化ナンバー。中でも、イロイロあった後の80年代に放ったムード歌謡「想い出のブルー・レイン」や、和製フリオ・イグレシアスを狙った「ビギン・ザ・ビギン」は超レア音源ではないでしょうか。
個人的にオススメなのが、千家和也+井上忠夫コンビによる74年の「花の唄」。はかなくも美しい物語を読むようなブルース歌謡で、高田弘さんのお家芸のストリングスアレンジも相まって、いつ聴いても泣けてくる名曲です。
他にもシンシアとのカップリングでリリースされた「マミー・ブルー」もしっかり入れてくれていますし、中心のファン層より年下の我々世代でも、ムッシュかまやつが書いたちびっ子向けドラマ「走れ!ケー100」の主題歌「ピポピポ旅行」や、CBS・ソニーの後輩、郷ひろみ主演で小山ゆうの同名漫画をラジオドラマ化した時のテーマソング「がんばれ元気」なんかは懐かしく思えるはずです。
CBS・ソニーを離れた後、スターにしきのとして復活、改名(錦野旦)してからのシングルも追加収録され、ファン悲願のコンプリート・シングルコレクションになるようですが、惜しむらくはオマケの収録予定曲で、CD化済みのカバー曲になる模様。待ち続けたファンのためには隠れたアルバム曲をと言いたいところですが、一般的な購買層を考えると致し方ないところかなあと思います。
ともあれ、初の2枚組ベストですから、ぜひこの機会に。
なお、CBS・ソニーの1年先輩にあたり、同じくレコ大最優秀新人賞に輝いた“アポロが月から連れてきた少年”ピーターの2枚組「 GOLDEN☆BEST ピーター 」も同時発売。
こちらも98年の「アーリーシリーズⅡ ベスト・オブ・ピーター」や2001年の6曲入り廉価盤「DREAM PRICE 1000 ピーター」以来のベスト、しかもシングルA面集+シャンソン中心のカバー集という構成です。
あ、今気がつきましたが、2年連続で最優秀新人賞を獲得するなんて、CBS・ソニーって最初は男性陣が優勢だったのですね。
形態模写を超えて霊媒師みたくなった越路吹雪も壮絶で素晴らしかったピー様ですが、今年はデビュー40周年ということで、ユニバーサルから記念アルバム「 私が愛した女たち 」を同日発売。
こちらの方はタイトル通り、ピー様がこよなく愛する女性歌手の名曲カバーアルバムになるとか。ちあきなおみ「かもめの街」や石川セリ「八月の濡れた砂」などもチョイスしているそうですよ。
(2009.8.5)