筒美系アルバムやカセット版を含むタワレコ復刻！

　かつては新御三家の中で最も復刻が遅れていたのに、今や最も進んだ感のあるゴローの復刻。
　今春には本家ユニバーサルから57枚組のシングル復刻BOX「野口五郎 SINGLE COLLECTION～ユニバーサルミュージック イヤーズ～」（ こちらで紹介）がリリースされ、佳境に入っておりますが、コンスタントに続いているタワレコ良盤発掘隊・Tower To The People（ こちらや こちらなどで紹介）の方でも、待望の筒美アルバムを含む7タイトルが一挙リリースされることになりました！
 
　オリジナルのリリース順にスタジオ録音盤から紹介させていただきますと、まずは72年10月発売のサードアルバム「 青春の旅路 -新らしい汽車-＜タワーレコード限定＞」。全国40,000人のファンが参加して完成した“雑誌「セブンティーン」歌詞募集オリジナル・アルバム”です。
　デビュー同期の小柳ルミ子や南沙織が牽引したヤングアイドルブームに、男性陣のトップを切って躍り出たゴロー。ヒデキやひろみの人気もゴローが道を切り開かなければなかったといっても過言ではありませんが、そんなゴローの面目躍如という感じで、ティーンガールズの愛読誌「セブンティーン」で公募された歌詞の入選作で構成。
 
　ファンとの同世代感を大切にメイン作詞家となったばかりの大日方俊子さんが補作し、作曲にはゴローをブレイクさせた筒美京平と馬飼野俊一という両先生にお兄さんらが参加。シングル曲は一切含まず、セリフも聴けるニクイ構成で、青い時代のゴローの魅力がたっぷり詰まったコンセプトアルバムとなっております。
　注目すべきはやっぱり「小さな君に」「白い小鳩」「夏の終り」「沈んだ時計」「ある日のひとり旅」という筒美作品５曲。ゴローは、先生が目の中に入れても痛くないほど可愛がった最重要シンガーの１人。フリーク必携ですよね。なお、当時の特典ポスターも復刻し封入されるそうです。
 
　続いて76年5月リリース、特別限定盤・デビュー5周年記念アルバムとしてリリースされた３枚組LP-BOXを今回2枚にまとめた「 野口五郎 5年の歩み＜タワーレコード限定＞」。
　演歌デビュー曲「博多みれん」から当時の最新曲「女友達」までのシングル（「甘い生活」「私鉄沿線」「美しい愛のかけら」の3曲はここでしか聴けない再録音バージョンだそうです）に加え、ファン投票により選ばれたという人気のアルバム曲が満載。
　リサイタルでおなじみだった「アドロ」「ゴー・ナウ」「マイ・ウェイ」「ア・ソング・フォー・ユー」などのスタジオ録音版（もちろん東海林修先生が編曲）も入っていますが、その中でのオススメは、やっぱり「カックラキン大放送！」のエンディングでもおなじみとなる「哀しみのソレアード」でしょう。布施明の訳詞なのであの替え歌ではありませんが…。
　また、主演映画「再会」の挿入歌「何処へ」や、特典シングルに収録されていた「箱舟の帰還／新しい夜明け（ 第2回広島平和音楽祭参加曲）」といったレア音源も含め全34曲テンコ盛りとなっています。
　ゴローはこの次の新曲「きらめき」で日本テレビ音楽祭受賞するわけで、この時期こそゴローの絶頂期。そういう意味でも、今回フツーに１作を選ぶなら、最も充実しているコレで決まりですね。
 
　そして時代はぐんと下がりますが、筒美フリーク必携、83年6月発表の「 過ぎ去れば夢は優しい＜タワーレコード限定＞」。
　筒美作品にして久々のヒットとなった「19:00の街」で再浮上を果たした時の筒美系アルバムです。
　LPではＡ面に収録された前半5曲を筒美先生が担当。すなわち先行シングル「過ぎ去れば夢は優しい」のアルバムバージョンと「19:00の街」、「フライトボード」「言い訳もしたくない季節」「再びの夢」という書き下ろし３曲が収録されていますが、秋元康さんや売野雅勇さんといった当時は新進気鋭だった作詞家が手がけていて、初期の橋本淳さんや山上路夫さんとは毛色の異なるゴロー像が新鮮です。
 
　残りの４タイトルはライブ盤で、いずれもカセットのみで発売されていたタイトルや、同じコンサートでもLPとは収録日や収録曲が異なるカセット版の完全復刻となっています。
 
　まずは76年4月29日、故郷の岐阜県・美濃市体育館における実況録音「 GORO ON STAGE 故郷に帰るII '76.4.29 美濃市体育館＜タワーレコード限定＞」。LP版は出ていないそうなので、純粋な初CD化となっております。
　ゴローのライブには欠かせない東海林修先生が総合指揮を担当。ヒット曲は「女友達」「私鉄沿線」のみですが、お兄さん作曲の故郷ソング「長良川」に加え、リサイタルのオープニングテーマとしても人気だった「箱舟の帰還」やエリック・カルメンの「オール・バイ・マイ・セルフ」など聴きどころ満載。
　ラストの「マイ・ウェイ」では、早くもショービズの大物歌手といった風情が感じられることでしょう。
 
　そして77年4月、16日間にわたって開催された「 GORO IN NISSEI THEATRE 野口五郎 日生劇場特別リサイタル＜タワーレコード限定＞」。
　昨年タワレコで復刻（ こちらで紹介）されたのは、公演4日目の4月16日を収めたLP盤でしたが、今回は4月28日の最終日を完全収録したものだそうです。
　ジャケットおよびブックレットもカセット版の復刻ですので、LP復刻を持っている人でも欲しい感じですよね。
 
　続く「 GORO IN NISSEI THEATRE '78 野口五郎 日生劇場特別リサイタル＜タワーレコード限定＞」も、LP盤復刻（ こちらで紹介）とは異なるリサイタル最終日の模様を完全収録したカセット版。
 
　最後の「 10周年記念リサイタル U.S.A. STUDIO CONNECTION 完全収録盤＜タワーレコード限定＞」は、収録日は2013年のLPを復刻したもの（ こちらで紹介）と同じですが、今回は収録曲の異なるカセット版を完全収録。
　リック･マロッタ（ドラムス）、トニー･レヴィン（ベース）、デヴィッド･スピノザ（ギター）、ワディ･ワクテル（ギター）、ドン･グロルニック(キーボード）、デヴィッド・サンボーン（アルトサックス）という錚々たるミュージシャンたちを日本に招いて行ったライブですので、未聴の方はこの機会にどうぞ。
 
　という今回のゴロー復刻。長年望んでまいりました筒美系アルバムがめでたく復刻されたもので、こんなにうれしいことはありません。
 
　ただ、現役のアーティストだけに過去の作品より新作を大事にして、リイシューものには一家言あるらしいゴロー。アルバム復刻はともかく、新編集やシングルBOXなど、蚊帳の外で否定的らしいという話を聞いてちょっとショックを受けておりますが、長年のファンであればあるほど過去の作品がいろんな形でよみがえるのは願ってもないことだと思うし、旧譜のリリースが再評価にもつながり新しいファンの開拓にもつながっていくはずなので、メーカーさんはご本人に一報を入れていただき、ご本人も前向きにご協力いただければ…などと思っています。