ナツメロ喫茶店

 ビバ!旧譜の新譜。紙ジャケからBOXまで、ナツメロ復刻盤&再発盤、コンピ盤などのレビューコーナーです。

#832
コロムビア・ガールズ伝説
Early Years 1965-1972(COCP-39963、¥2,500+税)/1st Generation 1973-1979(COCP-39964~5、¥3,500+税)/2nd Generation 1980-1987 (COCP-39966~7、¥3,500+税)
*2017.5.24発売

コロムビアの女性アイドルポップスの系譜がここに!

 日本コロムビアといえば日本最古のレコード会社という老舗中の老舗であり、多岐にわたるカタログの宝庫として知られていますが、それゆえ他社の旧譜復刻が二巡三巡し落ち着いた今でも、演歌・歌謡曲を含めコンスタントにリリースを続けています。
 
 毎月新タイトルを加えている受注生産のCD-R「オンデマンドCD」シリーズをはじめ、歌謡曲黄金時代の未CD化の音源を中心に発掘している「THE DEEP歌謡コレクション」シリーズなど、最近は特に好事家たちを大いに喜ばせている感じがありますが、久々にレアなアイドルポップスのコンピが登場するそうです!
 
 その名も「コロムビア・ガールズ伝説」シリーズ。
 65年から72年までの「 コロムビア・ガールズ伝説 Early Years(1965-1972) 」、73年から78年までの「 コロムビア・ガールズ伝説 1st Generation(1973-1979) 」、80年から87年までの「 コロムビア・ガールズ伝説 2nd Generation(1980-1987) 」 と、3つの時代に分けた3タイトル全5枚で、1960~80年代にコロムビアに所属したポップス系女性歌手をマイナーな人も含めて網羅。65年から87年までにリリースされたナンバーを、ヒットのいかんにかかわらず1歌手1曲ずつチョイスした内容になる模様です。
 
 おなじみのビッグネームから、花開かなかったマイナーアイドル、人気抜群なのに歌ではヒットを出せなかった女優・タレントまで、改名前の大物シンガーまで、初CD化多数というその筋の方々にとっては垂涎ダラダラ、夢のような企画となっていますが、注目すべきは初CD化となるレア音源のセレクトに力点が置かれていて、未CD化音源を持つ歌手はシングルB面に至るまでこぞって収録されていること。
 
 特にアイドル前夜といいますか、ミドルティーンアイドルの全盛期となる前の「 コロムビア・ガールズ伝説 Early Years(1965-1972) 」は、蒐集家が多いようなので最も注目されそうです。
 内藤洋子の「白馬のルンナ」、松原智恵子の「夕陽の中のチコ」など女優組をはじめ、レポーター・みといせい子として有名になる水戸井清子の「おねがい」、アニソン歌手・かおりくみことして大成した小野木久美「恋はマジッククラッカー」、「ミカンが実る頃」の藍美代子になる純エリ子の「恋のチュチュチュ」といった改名組、青山ミチや安西マリア、田中美奈子に日本語で歌い継がれたエミー・ジャクソン「涙の太陽」や、小林麻美や浅田美代子もカバーしたいしだあゆみの「恋はそよ風」、ケロンパやヒロリンがリメイクする島崎恵子の「思い出さないで」というカバーの原曲組など聴きどころ満載。
 
 自社からリリースした「60's キューティ・ポップ・コレクション」をはじめ「昭和ガールズ歌謡」や「歌謡曲番外地」といったインディーズ企画などでCD化済みのものもあるのでしょうが、川奈ミキの筒美京平作品「花は泣いている」、ミス・セブンティーン、宮野涼子「ボーイフレンド募集中」をはじめ、初CD化がナンバーも多数入っているそうです。
 
 一方、個人的にそそられるのはやっぱりお次の2枚組「 コロムビア・ガールズ伝説 1st Generation(1973-1979) 」です。
 かつてアイドル・ミラクルバイブルシリーズの一環として、2005年には70~80年代のB級コロムビア・ガールズをザックリ集めた「コロムビア・アイドル・アーカイブス~女の子編 Vol.1 」(Vol.2は発売されませんでした…)、2008年には80年代コロムビア・ガールズの2枚のシングルを集めた「アイドル・ミラクルバイブル増刊号 最初の2枚~デビュー&セカンド・シングルコレクション」が出ましたが、その後続くことはなかったので残念に思っておりましたが、今回はその補完をするようなリリースといえるでしょう。
 
 新進のレコード会社が躍進したせいか、60年代までの成功体験を生かした古い方法論のせいか、70年代のコロムビア・ガールズは苦戦を強いられたというか、キワモノぞろいになってゆく感すらありましたが、この時期のコロムビアを代表するトップアイドルといえば、第1回ホリプロタレントスカウトキャラバン優勝者・榊原郁恵。
 であるからして最大ヒットの「夏のお嬢さん」が収録されておりますが、続くスカウトキャラバン組では第2回入賞のあいあい「おもかげ列車」、高田橋久子「想い出の指輪」。第4回優勝者の比企理恵「恋のローラー・ブーツ」が入っております。また、ホリプロではありませんが、郁恵ちゃんフォロワーのイメージが強かった高見知佳「シルエット」も収録されてます。
 
 そしてこの時代で忘れてはならないのが、ミドルティーンのビッグアイドルを輩出した一方でトンデモアイドルも濫造することになった「スター誕生!」。スタ誕出身者としては、おがた愛のデビュー曲「別れのブラックコーヒー」、谷ちえ子の第3弾「あなたを愛したい」、エルこと大橋恵里子の大滝ソング「夢で逢えたら」に、梶たか子が夏山美樹に改名して出した「ゲーム・オーバー」と、他社と比較するまでもなくやっぱりキワモノです。
 
 ほかに平凡パンチの鮮烈なヌードで話題を呼んだ麻田奈美「カトレアの花」(「おそい夏」B面曲)、久世さんが詞を書いた沖縄出身の志吹麻湖「レモンにさよなら」、「寺内貫太郎一家」ではヒデキ演じる周平のガールフレンド・マユミちゃん役だったいけだももこが池田桃子時代に放った「愛の悩み」、ジャズシンガー・阿川泰子となる麻里ともえ「さよならをしたけれど」など、注目曲も目白押し。
 
 ちびっこ演歌のホープとして期待された米田晴美のイメチェン曲にして谷山浩子作品「うわさの中で」や、るっせえ!と強烈なインパクトを残したたかだみゆきのツッパリ演歌「恋愛未遂常習犯」も見逃せませんが、最も注目したいのは松木美和子「エピローグ」。
 そう、後にユーミンツアーのコーラスを経て大江千里のステージパートナーとなったpecoのデビュー曲であります。ぜひとも千里キッズに手にとっていただきたいものです。
 
 そして、聖子や明菜を筆頭に、ニューミュージックさえ飲み込んだアイドルポップスが完成する80年代の2枚組「 コロムビア・ガールズ伝説 2nd Generation(1980-1987) 」。
 
 前半のコロムビア・ガールズNo.1はもちろん河合奈保子で、竹内まりや作品「けんかをやめて」。後半は'84コロムビア新人歌手オーディション優勝の若林加奈(今回は「セプテンバー・クイーン」)でも、国民的美少女・後藤久美子(「初恋に気づいて」)でもなく、やっぱりトップ10ヒットを連発した島田奈美でしょう。ここではEPO作品「内気なキューピッド」がチョイスされています。
 
 時代を象徴するように、オーディション組あり、女優組あり、グラビア組ありと、幅広いのが特徴でしょうか。
 83年で番組終了したスタ誕組ではポスト百恵になるはずだった未完の大器・河上幸恵「心の中のルビー」、花の82年組で事務所の言う通りの売り出し方にしていたらもっと売れたであろう水谷絵津子「パープルな出来事」(「芽ばえ」B面)。
 
「刑事犬カール2」で好演した坂上味和「明日に向かって走れ」、いじめ役になる前の伊藤かずえ「風と光のスニーカー」、子役時代の仙道敦子が高橋英樹と歌った 「ありがとうパパ」、中村久美「 帰っておいでよ」、、角川三人娘の渡辺典子「 花の色」、「アイコ16歳」でさわやかに登場した富田靖子「だんだんの悲しみ」、大映ドラマ「乳姉妹」の妹・耐子役で知名度を上げてアイドルデビューした森恵「もう一度ラブ・ストーリー」。
 
 お色気系では夭折した堀江しのぶ「唇に涙」、弓月光の漫画を原作にした同名映画に主演した浅野なつみ「みんなあげちゃう」、田中美奈子を輩出した'87イエイエガールズの「'87レナウン・ワンサカ娘」などなど。
 
 さらには、原真祐美「決心」や志村香「曇り、のち晴れ」などA級になる可能性も持っていたメンツも含め、おは朝のアシスタントをしていた辰巳理香「心はメロー・イエロー」、50年代のコロムビア・ガールズの1人・五月みどりの娘の水沢絵里「ママはライバル」とバラエティー色豊か。
 名前自体がまがい物みたいな北原和歌子「エンドレス・シーズン」もありますが、アイドルフリーク切望の1曲としては、偶然と言えども悲運な芸名となってしまった岡村有希子から改名した岡村佳枝「私のパーフェクト・ボーイ」でしょうか。
 
 いずれにしても、アイドル系レアもの復刻としては、最近さほど目立ったニュースがなかっただけに脚光を浴びそう。コロムビアの社風といいますか、嗜好といいますか、そこいらへんも合わせて楽しめそうですネ。
 
 
 

(2017.3.17)
 
 

*シリーズの続編として、90年代以降のアイドルを集めた「コロムビア・ガールズ伝説 End Of The Century」と、フォーク系の女性シンガーを集めた「コロムビア・ガールズ伝説 Folky&Elegance」の2タイトルが2017年10月25日に発売されます。(2017.8.16)

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