初期のシングル5枚と1stアルバムを網羅！

　今や定番ベストとして、すっかりおなじみになった「ゴールデン☆ベスト」シリーズ。
　最近はソニーを中心に高音質CDとしてリリースされるケースも増えておりますが、今夏は日本コロムビアも7月と8月の２カ月に分け、UHQCD仕様の計20タイトルをリリースするのだとか。
　思えば「ゴールデン☆ベスト」後発参加組として2005年から発売を開始したコロムビア。それでも今回ではや第21弾になるそうなんです。
 
　今回の２カ月連続リリースは、7月が歌謡曲系10タイトル、8月がJ-POP＆アイドル系10タイトルということですが、シリーズ自体が基本的に定番ベストゆえ、歴代看板アーティストの「 いしだあゆみ ゴールデン☆ベスト 」「 堺正章 ゴールデン☆ベスト 」「 ヒデとロザンナ ゴールデン☆ベスト 」「 島田奈美 ゴールデン☆ベスト 」「 河合奈保子 ゴールデン☆ベスト 」など過去に出たゴールデン☆ベストのUHQCD化が中心と思いきや、なんと「 ジャッキー吉川とブルー・コメッツ ゴールデン☆ベスト シングル・コレクション(1966~1972) 」「 伊東ゆかり ゴールデン☆ベスト コロムビア・イヤーズ 」「 しばたはつみ ゴールデン☆ベスト シングル・コレクション 」「 やまがたすみこ ゴールデン☆ベスト シングル・コレクション 」「 伊藤かずえ ゴールデン☆ベスト 」などを筆頭に新編集のものやシリーズ初登場となるアーティストのものも一気に発売される模様で、コレクター諸氏も見逃せないラインアップになる模様。
 
　そんな中でピックアップしたいのが、レア盤ではありませんが、昨年、闘病生活を乗り越えて10年ぶりのカムバックを果たした内藤やす子さんの「 内藤やす子 ゴールデン☆ベスト コロムビア・イヤーズ アーリー・ヒッツ・アンド・モア 」。
 
　彼女の場合、デビューはコロムビアからでしたが、ゴールデン☆ベストは、移籍後のユニバーサル（フィリップス）時代の「 ゴールデン☆ベスト 内藤やす子 」やテイチク時代の「 内藤やす子 ゴールデン☆ベスト 」「 内藤やす子 ゴールデン☆ベスト~The Cover Songs~ 」しか出ていなかったんですよね。
　ベスト盤というくくりでもコロムビアから出るのは2007年の「 エッセンシャル・ベスト内藤やす子 」以来10年ぶりだそうですし、初期のヒット曲は歌い直しよりやっぱりオリジナルがいいと思いますので、この機会にご紹介させていただく次第です。
 
　さて、圧倒的な歌唱力を引っさげ、75年11月に「弟よ」で衝撃のデビューを飾った内藤さん。新人離れした歌の上手さと存在感は、演歌ともソウルともブルースともつかないクロスオーバーな雰囲気の楽曲とマッチして、オリコン8位の大ヒットを記録。この曲と、阿木燿子＋宇崎竜童コンビによる勝負曲の第3弾「想い出ぼろぼろ」で、76年度の新人賞を総ナメにしました。
　最も権威のあった日本レコード大賞でも部門賞の時からぶっちぎり。まだ本格的ブレイクを果たしていなかったピンク・レディーはもとより、吉田真梨との決選投票ですべり込んだ新沼謙治らをものともせず、最優秀新人賞を受賞。パンチパーマに白スーツのルックスも相まって、早くもスターの座を手にした感がありました。
 
　しかし翌年9月、芸能界を震撼させた事件をきっかけに活動休止。芋づる式に捕まったメンバーには半年程度で復帰した人もいる中、内藤さんは1年半ほどのブランクを余儀なくされ、コロムビアからも離れてしまうワケですが、それまでがコロムビアでのアーリーイヤーズ。
 
　今回のベストでは、アーリー・ヒッツとして「弟よ／はずみで別れて」「淋しい天使／よこはま流れ者」「想い出ぼろぼろ／ひとりぼっち」「私のいい人／ふるさと心中」「ターゲット／やぶれかぶれ」という全5枚のシングルAB面に加え、オンデマンドCDにはなったものの2014年の「昭和アーカイブス・紙ジャケこれくしょん」では唯一見送られたファーストアルバム「すきま風」のナンバーを収録。
　すなわち、加藤登紀子の「ひとり寝の子守唄」、北原ミレイの「ざんげの値打ちもない」、中島みゆきの「アザミ嬢のララバイ」、江利チエミの「酒場にて」というカバーヒットとオリジナルが網羅され、シングルカット曲と併せると全曲収録となっていますが、ゲス的な視点では研ナオコの「愚図」となんとも皮肉なナンバーが入っていることにも注目したいと思います。
 
　さらにアンド・モアとして、98年のコロムビア復帰作「新宿はぐれ鳥」と2000年の「恋通り」という、後期の音源も追加収録しているのが今回のベストの特徴といえそう。これは今回同発のタイトルにも言えることですが、コレクターの方への配慮も行き届いた企画といえそうですね。
 
　当時からの人気曲「手のひらの中の地図」などアルバムにも名曲の多い内藤さんですが、前述の昭和アーカイブス・紙ジャケこれくしょんにラインアップされた「 ないないづくし 」「 サタデー・クイーン 」を加えると、アーリーイヤーズはコンプリートしますので、今回のG☆Bを入り口に、どんどん中へ入ってみてはいかがでしょうか。