角川レコード・東芝時代の音源がSHM-CD化！

　1982年、薬師丸ひろ子さんに続く角川のアイドルとしてレコードデビュー。やがてお洒落な渋谷系へと華麗な転身を遂げた後もオーガニックな音楽活動を続け、今なお現役のシンガーとして第一線で活躍する原田知世さん。
 
　昨年には、山口百恵やキャンディーズ、太田裕美、松田聖子ら70年代～80年代の歌謡曲を取り上げたカバーアルバム「恋愛小説2~若葉のころ」がオリコン4位をマークする大ヒットを記録。大きな話題を呼びましたが、今年は35周年ということで、さまざまな記念企画が目白押しです。
 
　来月には、ひと頃は封印されていた「天国にいちばん近い島」や「ときめきのアクシデント」までもをチョイスしたセルフカバーアルバム「音楽と私」をリリース。
　往年の知世ファンを喜ばせていますが、このタイミングで伊藤ゴロープロデュースによるこの10年間の歩みベスト「私の音楽 2007-2016」の発売に加え、83年のファースト・ミニアルバムが装いも新たなSHM-CD「バースデイ・アルバム+」としてリイシューされることが決定しました。
 
　思えば82年、薬師丸さんの主演映画をなぞるような形でテレビドラマ版の「セーラー服と機関銃」「ねらわれた学園」に主演し、それぞれの主題歌を担当。翌年には満を持しての主演第1作映画「時をかける少女」でブレイクを果たした知世ちゃん。
 
　デビューはキャニオンレコードからでしたが、角川レコードが立ち上がった後は、薬師丸さんと同じ東芝EMIのイーストワールドレーベルへ移籍。その後はCBS・ソニーへと移り、歌手活動にも力を入れてアイドル期を過ごしたワケですが、今回は「バースデイ・アルバム」の復刻というよりも角川レコード・東芝EMI時代が網羅されたリイシューになる模様です。
 
　ちなみに83年11月28日、知世ちゃん16歳のバースデイにリリースされたオリジナルの「バースデイ・アルバム」は、大貫妙子書き下ろしの新曲「地下鉄のザジ Zazie dans le metro」をメイントラックに、初主演ミュージカル「あしながおじさん」のテーマ曲であり、パンフとセットで販売された角川レコード第1弾の最新シングル「ダンデライオン／守ってあげたい」をアルバム初収録。そしてポニーキャニオン時代のブレイクシングル「時をかける少女／ずっとそばに」のニューアレンジ新録音バージョンを加えた全5曲。
 
　新録音といってもアレンジは当時のユーミンツアーのバンドマスターだった新川博さんですから、準オフィシャルという仕上がり。基本的にマンタさんのオリジナルアレンジをベースに、コーラスを加えたりシャイニーなサウンドにブラッシュアップした感じとなっております。
　特筆すべきは知世ちゃんのボーカルで、ヒットによって芽ばえた自信や歌い込んできたためか硬さが取れ、ぐんとポップになった印象。むろん生硬な少女のイメージのオリジナルも素晴らしいのですが、シンガーとして成長を見せたこのバージョンもグッド、今となっては東芝音源の方が貴重ですね。
 
　今回は、これに主演映画第2作の主題歌にして東芝最後となったシングル「愛情物語／CURTAIN CALL」をプラスし、ソニー移籍後に出た東芝音源のミニベスト「ポシェット」と同じになったかと思いきや、カセットやユーミン作品集のミニアルバム「イマージュ」に収録されていたユーミン作品4曲のオリジナルカラオケを追加収録。オリカラは今回初CD化だし、全曲リマスタリングとなるそうですので、コアなファンは要チェックでしょう。
 
　なお、「バースデイ・アルバム」は、2011年に通販限定でリリースされたメーカー超え紙ジャケボックス「TOMOYO 80's Complete Box」（こちらで紹介）の中で「愛情物語／CURTAIN CALL」のボーナストラック付きで復刻されておりますので、今回はやっぱりオリカラがキモ。ということで、提供曲もコレクションしているユーミンフリークの皆さんにもオススメしておきましょう。
 
　余談ですが、ユーミン本人との競作となった「ダンデライオン」は角川レコードゆえ自主制作扱いで、チャートに上ることはありませんでしたが、先に出た知世バージョンには当初副題は付いておらず、アルバム収録にあたり追加されたような記憶があります。当時まだ20代だったユーミンは自虐気味に「時をかけるババア」などとおっしゃっていましたが、あの当時のイノセントというか、昭和の少女だった知世ちゃんの前では確かにそう言うしかないという感じでした。
 
　あれから34年。今の知世ちゃんが映画のラストでハイミスになった芳山和子より若い気がするのは、気のせいでしょうか。