ハイレゾ配信とともに、UHQCDも発売！

　昨年、デビュー30周年を迎えた斉藤由貴さん。春には記念のアルバム「 ETERNITY 」をリリースするとともに、コンサートを東京で開催。夏には松本隆さんの「風街レジェンド2015」に出演し、秋には大阪でもライブを行うなど、いつものアニバーサリーイヤーよりも歌手としての活動が精力的でした。
 
　幸運にも東西どちらのライブも拝見することができ、「斉藤さんはいつまでたっても斉藤さん」だったことを確認し、とても幸せなひとときを過ごしましたが、残念だったのがCD物販。
　当然ながらヤマハのニューアルバム推しという感じで、ポニーキャニオンの旧譜は皆無に等しく（皆無だったかもしれない…）、往年のヒット曲や名曲をたくさん演ったライブの物販としては、持ってる身からしても非常に物足りない感じでした。
 
　とはいえCD-BOXが出たのは2003年、紙ジャケ復刻アルバムが出たのが2009年で、当然入手困難になっていましたし、2010年のアンコールプレスBOXさえも完売状態で、売ろうにもベスト盤しか流通してないのだから、どうしようもないことでしたけどね。
　そう思っておりましたら、ちょっとタイミングは遅くなりましたけど、ここに来て斉藤さんのハイレゾ配信+UHQCDが決定した模様です！
 
　対象となったのはアナログレコード時代のオリジナル・フルアルバム、すなわち「AXIA[UHQCD]」「ガラスの鼓動[UHQCD]」「チャイム[UHQCD] 」「風夢[UHQCD] 」「PANT[UHQCD] 」という5枚に、アルバム未収録曲を集めた「オリジナルアルバム未収録曲集~アナログ盤リリース分~[UHQCD] 」の6タイトル！
　6年ぶりのCD復刻となりますが、高音質のUHQCDですから、コアなファンほど必携という感じです。
 
　昨年のポニキャン・ハイレゾ配信+UHQCDは、ユッコこと岡田有希子のアルバム（こちらで紹介）がゴールデン☆アイドル仕様で大好評を博しましたが、斉藤さんのパッケージは価格重視のレギュラー仕様になるみたいですね。
 
　個人的には、やっぱりファーストの「AXIA」とセカンドの「ガラスの鼓動」を聴き込みましたし、30年経ってもセカンドは本当に名盤だと思います。
　松本隆＋筒美京平コンビの提供は基本シングルでしたけど太田裕美路線といえる傑作ぞろいですし、斉藤さんの詩人としての力量には脱帽するばかり。
 
　内省的で漫研的な自意識過剰ぶりや、一流の表現者ならではの狂気を孕んだ才能の片鱗など、斉藤さんの茫洋とした何かに吸い寄せられるように、これまた一筋縄ではいかない銀色夏生や谷山浩子らが取り囲んで、あの聖なる魔性の魅力が花開いたのではないかと思います。
　甘すぎる砂糖菓子でカムフラージュした麻薬のような声も、音符と音符の間で間（ま）をとるような歌い方にしても、螺旋する戒律の棘で自らを縛りつけ、にじむ血潮で書いたような詩も…。
 
　ハイレゾや高音質CDで聴いたら、感動と苦悩と後悔のため息が出るのではないかと思いますので、買い換えや買い増しの人はもとより、まだ斉藤さんの世界に触れたことがない方も、お求めやすいこのチャンスにぜひどうぞ。
 
　ともあれ、これらのアルバムは少女期の斉藤由貴だったからこそなし得たことだと思っていましたが、昨年の印象では30年経とうがその根っこは全然変わっていなくて、オバさんになった分、何食わぬ顔で物凄い歌をさらりと歌えているような感じで したので、今の斉藤さんの歌もぜひお聴きください。