ナツメロ喫茶店

 ビバ!旧譜の新譜。紙ジャケからBOXまで、ナツメロ復刻盤&再発盤、コンピ盤などのレビューコーナーです。

#825
ザ・リリーズ/花のささやき
2017.3.29発売、UPCY-7263、¥2,315+税)

ザ・ピーナッツの正統後継者、77年の3rdが初CD化!

 昨年はザ・ピーナッツの生誕75周年にあたるアニバーサリー・イヤーということで、記念企画が目白押しでした。
 2012年には双子の姉・エミさんが亡くなり、妹・ユミさんも昨年に急逝されてしまいましたが、太田裕美や岩崎宏美、石川ひとみらが参加したトリビュートアルバム「ザ・ピーナッツ トリビュート・ソングス 」やベストアルバム「ザ・ピーナッツ オリジナル・ソングス 」をはじめ、カバー編集盤「ザ・ピーナッツ・カヴァー・ソンングス「愛しのピーナッツ」 青盤 」「ザ・ピーナッツ カヴァー・ソングス 愛しのピーナッツ 赤盤 」などが相次いで発売。
 トリビュートアルバムは日本レコード大賞の企画賞を受賞(伊藤ユミさんは特別功労賞)するなど、再評価の機運も高まりました。
 
 ザ・ピーナッツがいかに偉大なデュオであったかをあらためて思い知らされたものでしたが、ピーナッツが引退した75年、渡辺プロダクションが推す正統な後継者としてデビューした双子のザ・リリーズにも思いを馳せたのは確かです。
 
  ご存じ奈緒美&真由美のリリーズですが、2000年代からの昭和歌謡ブームに乗って復活。2005年に正式に再結成して以来、活発な活動を続け、昨年末には自主制作によるニューアルバム「風の贈り物」もリリースしていますが、ここに来て77年に発表されたサードアルバム「花のささやき 」の初復刻も決定しました!
 
 リリーズのオリジナルアルバムというと、ファーストアルバム「小さな恋のメロディー~ザ・リリーズの世界」が2003年に"必聴名盤"シリーズの1枚として、セカンドアルバム「恋に木枯し」が2008年に“Remember昭和のアイドル紙ジャケ復刻”シリーズの1枚として、それぞれ紙ジャケCD化されておりましたが、東芝の撤退、EMIの吸収合併の影響などもあってか、ストップしたままだったんですよね。
 
 そこに今回の朗報。オリアルといっても、リリーズのコアなファン以外も楽しめる内容となっていますので、ぜひともプッシュさせていただきたいと思います。
 
 といいますのも、オリジナルで構成した2枚とは変わって、サードアルバムは、アルバムの半分が洋楽カバーに挑戦した意欲作となっているからなのです。
 
 しかも、当時のアイドルの定番であった安直なオリジナル&カバーという意図ではないことにも注目したいと思います。
 まずはタイトル曲「花のささやき」。ナベプロ伝統のカバーポップスといいますか、伊東ゆかり、ザ・ピーナッツらナベプロの諸先輩が歌ってきた60年代サンレモ・カンツォーネの名曲ですが、この77年、ナベプロはリバイバルを目指してかなり推していた模様。何らかのプロジェクトやイベントなんかが絡んでいたのかもしれませんが、なんたって、カナダ留学中のアグネス・チャンもシングルA面としてリリースするほどでしたから。
 
 なお、「花のささやき」はLPではB面1曲目に収録されており、この曲以外のカバー、すなわちLPのA面全5曲は、奇才・森雪之丞さんの訳詞によるというトータル的な展開となっております。
 雪之丞さんといえば、昨年アンソロジーBOX(こちらで紹介)が出ましたけど、作詞家デビューはナベプロのザ・ドリフターズ「ドリフのバイのバイのバイ」だったそうで、まさに渡辺音楽出版リードの印象がしますね。
 
 さらにナベプロ色は濃いものがありまして、当時電撃的な解散宣言を行ったばかりのキャンディーズもカバーした2曲も入っており、それがマック・アンド・ケイティの「シュガー キャンディー」(キャンディーズはオリジナルの邦題と同じ「シュガー・キャンディ・キッス」)と、オリビア・ニュートン=ジョンの「レット・イット・シャイン」(キャンディーズは原語で歌唱)。
 
 ほかにも、ナベプロのアン・ルイスがなかにし礼の別歌詞でカバーしたアラン・シャンフォー「青春の一ページ」のほか、大所帯のファミリーグループ・シルヴァーズ「二人のホットライン」といった欧米の洋楽ヒットが収められています。
 
 オリジナルはシングル「パパ キケン!/帰り道のマーチ」を含む4曲で、伊藤アキラさんにピーナッツを育てた宮川泰&森岡賢一郎というナベプロの両先生、そして萩田光雄さんというメンツではありますが、欧米の名曲の前には色褪せて聞こえるかも。
 
 という意味では、リリーズのオリジナルをメインに聴きたい方は、廉価版で何度も再発されているベスト盤「ゴールデン☆ベスト」を。このG☆B、岡崎友紀や伊藤咲子のと同じく93年の「なんてったってアイドル・ポップ」と併せて初めて成立するベストで、単独ではレア曲なので中途半端なのですけど、とにかくお手軽ですのでね。
 ちなみに、東芝時代の70年代のシングルは太田裕美のカバー「太陽がいっぱい」以外はMEG-CD化されています。
 
 太田裕美とリリーズといえば、78年の太田さんの初提供作「春風の中でつかまえて」が有名ですが、リリーズ4枚目のオリアル「思春記」には、太田さんの自作曲のカバーや書き下ろしが収録されていますので、ぜひCD化してほしいものです。そのためにも今回の動きは非常に重要ですので、太田さんファンの皆さんもぜひご予約ください。
 
 
 

(2017.1.10)

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