UHQCD化、11年ぶりの単品リイシュー！

　最近では黒柳徹子保存会を立ち上げ会長に就任したり、先月には自身の楽曲のルーツであると語る永六輔作品を集めたアルバム「 永縁~さだまさし 永六輔を歌う~ 」をリリースしたり、話題に事欠かないさだのまっさん。
 
　岩崎ヒロリンが「生き神様」と崇めていることでもおなじみですけれど、70年代の乙女たちにとってはアイドル的存在だったことも忘れてはなりません。
　まさしんぐわーるどの類い希な文学性やユーモアは、ヒロリンのみならず、天地真理、南沙織、山口百恵、高田みづえ、清水由貴子ら、錚々たる女性アイドルを心酔させたものですし、少女漫画では詩世界のみならず、まっさんをモデルにしたものが目立ちましたし、まっさん的ルックスのキャラクターを憧れの彼に設定した作品までが多数存在したほど。
 
　男性陣の中には銀ブチメガネや歯ぐき全開の笑顔など、ルックスを揶揄する輩もいましたけど、アレはやっかみから出たものでしょう。マネしたのかどうかは知りませんが、あの頃、まっさんヘアと銀ブチメガネの人も結構いたように思います。
 
　かくいうワタシも幼少時にグレープをたっぷり聴かされて育った身の上です。ソロになってからの「帰去来」「風見鶏」「私花集（アンソロジィ）」、そして「夢供養」あたりまでは、まっさんが紡ぐ短編小説のようなうたのストーリーや描写あざやかな一場面はもとより、ハッとする文学的な表現に涙したことも数え切れないほどですし、お得意のユーモア作品でも「雨やどり」みたいな世界はとっても好みであります。
 
　まっさんの丸文字的に整った筆跡も大好きで、百恵ちゃんの「秋桜」のシングルに載ってた自筆の歌詞をお手本に練習を重ねたこともありました。それが「関白宣言」以降は、どうも苦手な世界になってしまったのですけれど…。
 
　というカミングアウトも何度も行ってまいりましたが、今回、74～78年のワーナー時代（といってもさださんが立ち上げたフリーフライトもワーナーから供給されていたようだし、あんまり違う印象はありませんでしたよね）すなわちフリーフライトを立ち上げる前の初期アルバムがUHQCD化されることになりました。
 
　それが今週発売となります全7タイトル。　グレープは、出世作となった大ヒット「精霊流し」や真理ちゃんの絶唱カバーでアイドルファンには有名な「告悔」を含む「 わすれもの(2016リマスター/UHQCD) 」、百恵ちゃんもレパートリーにしていた「追伸」や森山親子がカバーした「掌」の入った「 せせらぎ(2016リマスター/UHQCD) 」、音楽史に残るであろう傑作「フレディもしくは三教街－ロシア租界にて－」が入った「 コミュニケーション(2016リマスター/UHQCD) 」というオリジナルアルバムに、集大成的ライブ盤の完全版 「グレープ・ライブ 三年坂 完全盤(2016リマスター/UHQCD) 」を加えた４枚。
 
　ソロは　真理ちゃんや由紀さおりがレコード化した「童話作家」や胸を打つカントリーポップ「絵はがき坂」が光る「 帰去来(2016リマスター/UHQCD) 」、グラミー賞アレンジャーのジミー・ハスケルがストリングスアレンジを担当した「 風見鶏(2016リマスター/UHQCD) 」、百恵ちゃんにプレゼントした「秋桜／最后の頁」のセルフカバー収録の「 私花集<アンソロジィ> (2016リマスター/UHQCD) 」という３枚です。
 
　いずれもオリジナル・アナログマスターからの2016年最新デジタル・リマスタリングであり、ハイレゾ配信も同時にスタートするそうです。
 
　2010年にはグレープ、ソロのBOX（ こちらで紹介）としてSHM-CD化されておりますが、単品としては2005年以来、11年ぶりのリイシュー。
 
　ということで、各アルバム解説は2005年発売時のものを流用し、ボートラ追加収録曲も同様だそうですが、LP時代のオリジナル・ライナーノーツを復活（さだまさし、吉田正美の解説・楽譜）させているそうなので、買い換え、買い増しの好機かもしれませんね。