４枚目のアルバムが、OMFで９年ぶりの再候補に！ 

　フレッシュで可愛くて、ちょっぴりいたずらなソニー・エンジェルといえば…そう、浅田美代子さん。デビューから43年。あどけなかった“ひーふー美代ちゃん”も今や名女優の一人です。 
 
　デビュー作「時間ですよ」（第3シリーズ）で久世光彦さんや悠木千帆（樹木希林）さんにシゴかれただけあって、昔から演技には定評のあったミヨちゃんですけれど、数々のドラマや映画ではご本人のキャラクターを感じさせない存在感で脇を固め、バラエティーでの天然ボケイメージもかすむほどの活躍ぶり。 
 
　近年は動物愛護活動にも積極的な愛犬家としての一面もクローズアップされたりして、一昨年のドラマ「家族狩り」で尾崎豊の「I LOVE YOU」を口ずさんだとしても、れっきとした歌手だったことは忘却の彼方という感じでとても残念に思っていましたが、なんとここに来て、「浅田美代子　オリジナル・ファースト・アルバム 」がソニーミュージックのオーダーメイドファクトリーで９年ぶりの候補に挙がりました！ 
 
　今年は久世さんの没後10年で「寺内貫太郎一家DVD-BOX」が廉価再発（ こちらで紹介）されましたし、ちょうど今、日本橋三越で開催中の「昭和のスターとアイドル展～テレビからヒット曲が生まれた時代～」でも 特別展示「昭和のテレビドラマと歌謡曲～久世光彦の世界」が設置されていますので、今回のミヨちゃんのOMF候補復活も天国の久世さんの采配のような気もいたします。 
 
　思えばカラーテレビをステージに、アグネスや淳子、百恵ちゃんらビッグな女性アイドルがこぞってデビューした1973年度。ヒットという点では文句なしのトップで、日本レコード大賞新人賞にも輝いたミヨちゃん。 
　ただ、歌がヘタというレッテルのせいか、その後のイメージのせいか、数多の女性アイドルが完全復刻される中にあって、ただ一人置き去りにされた感があったのですね。 
　それは「GOLDEN☆BEST/浅田美代子 」など既発のベスト盤の実績がまったくもって振るっていない上、OMFでは惨敗続きという前歴もあり、仕方がないことでしたが…。 
 
　とりあえずOMFでのミヨちゃんを振り返ってみますと、初めて候補に挙がったのは2004年。ご存じ最も売れたファーストアルバム「赤い風船」が記念すべきオーダーメイドファクトリーの第1弾ラインアップに加わったのでした。
　結局未達成に終わったのですが、コレは、既に91年にCD選書シリーズでCD化されていたタイトルであり、同時に候補に挙がった南沙織、相本久美子、水沢アキのタイトルも全滅でしたので、無理からぬ感じだったのですね。 
 
　それから３年が経った2007年７月、満を持してこの「オリジナル・ファースト・アルバム わたしの宵待草」が候補に挙がったワケですけど、数多の期間延長もむなしく成立ならず。未CD化アルバムという試金石ですら失敗に終わったため「浅田美代子は無理」というレッテルを貼られてしまっていたのでした…。 
 
　であるからして、今回の復活はまさに夢のリベンジ。 
　久世さんからのプレゼントとでも言えそうなこのチャンスをものにして、まずはこのアルバムの初CD化、復刻達成を。そして最終的にはファン悲願の「浅田美代子プレミアム・ボックス」の実現へとこぎ着けようではありませんか。 
　ご本人にも、今もミヨちゃんの歌を愛するファンがたくさんいることを知っていただくとともに、CD復刻をイヤがらず、むしろ積極的になっていただくためにも。 
 
　なお、アルバムの中身をご存じない方のために、カンタンにご紹介しておきましょう。 
　73年12月21日発売のこのアルバムは、カバーを含む企画色の濃いファースト「赤い風船」（CD選書で復刻済み）、童謡メドレーをはじめとしたカバー集「美代子のおくりもの～ひとりっ子甘えっ子／赤い風船」、デビューの年なのに出たベスト盤「ギフト・パック」に次ぐ4枚目のLP。 
 
　“ファン待望!! 美代子自身の作詩を含む、オリジナル全12曲で綴る浅田美代子の世界!!”というセールスコピーが示すように、４枚目ではありますが初めての全曲オリジナルなのです。 
　レコードデビューから8カ月で4枚目ということにビックリしますが、まさに人気絶頂を迎えていたミヨちゃん。新人では異例の冠番組「ひーふー美代ちゃん」もスタートし、年末の新人賞レースでも大活躍するなど、“第二の天地真理”の出自通り、スター街道まっしぐらだった頃のアルバムです。 
　CBS・ソニーも全力を挙げてプッシュしていた様子が手に取るように分かりますし、リリース時のLPには“’73レコード大賞新人賞受賞”という金色のステッカーが貼られていました。 
　フツーなら、そういう上り調子の破竹の勢いみたいなオーラが、歌にも出るはずなのですが、そこはあのミヨちゃんですから。なんら変わることなく、ほのぼの、おっとりした癒しのボーカルを聴かせてくれています。 
 
　サブタイトルにもありますように、サードシングル「わたしの宵待草」を中心にした構成で、メイン作曲家が筒美先生から都倉先生へとシフト。さらに三木たかしさん、井上忠夫さんとヒットメーカーをそろえて、従来路線の童謡唱歌風ナンバーに加え、フレンチポップスやおセンチな和の雰囲気も漂うバラエティあふれる内容となっています。 
　詩の方は、女優・浅田美代子の育ての親である久世（小谷夏）さんを筆頭に、デビュー曲からのズズこと安井かずみさんに加え、チェリッシュでヒットを飛ばしてた林春生さんらを起用。等身大のミヨちゃんといいますか、昭和のカワユイ少女の世界観が映し出されています。 
 
　いかにもアイドルという感じのポップでキュートなオープニングナンバー「北風の日曜日」がやっぱりオススメですが、ファンにとっての目玉は、本人作詩による「恋は不思議」「ひとりぼっちの恋」の2曲でしょうか。 
　ミヨちゃんにデビュー前からレッスンをつけていた河野通雄さんが曲を付け、ミヨちゃんの愛らしい自筆ポエムやイラストとともに楽しめるという仕掛け付きでした。 
 
　また、篠山紀信さん撮影のジャケットも、都会の良家のお嬢さんというミヨちゃんならではの雰囲気が出ていてとってもフォトジェニック。ポートレイトとしてもずっと眺めていたい感じがあります。 
 
　全国津津浦浦の美代子ファンの皆さん、このアルバムの復刻はもとより、BOXの実現に向けてもこれが最後のチャンスだと思いますから、ぜひご協力のほどよろしくお願いいたします！