ナツメロ喫茶店

 ビバ!旧譜の新譜。紙ジャケからBOXまで、ナツメロ復刻盤&再発盤、コンピ盤などのレビューコーナーです。

#831
南野陽子/ナンノ・ボックス <アンコールプレス>
(2017.3.13再プレス、MHCL-561、¥21,905+税) *13枚組(11CD+CDS+DVD)BOX 

20周年の全音源BOXが、3度目の再プレス!

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 2015年にデビュー30周年を迎え、シリーズの1枚なのにイレギュラーでスペシャルな「ゴールデン☆アイドル」(こちらで紹介)をリリース。それをきっかけに、アイドルとしての総決算というか、覚悟を決めたような記念コンサートを敢行したナンノこと南野陽子さん。
 
 相変わらず見目麗しいルックスに加え、昔から完璧主義と関西のオバちゃん的な血がたぎるナンノのことですから、微に入り細に入りパーフェクトなアイドルに徹する姿に、往年のファンは完膚なきまでに打ちのめされたといいます。
 本人が「アイドルとしてのコンサートは、これが最後」と覚悟を決めるほど練りに練ってこだわり抜いたライブの模様は、Blu-ray「NANNO 30th&31st Anniversary [Blu-ray] 」&DVD「NANNO 30th&31st Anniversary [DVD] 」になって先日リリースされたばかり。
 
 さすがデビュー時からの吉田格プロデューサーをはじめ、今もスタッフに恵まれているナンノお嬢様。演出、選曲、観客…どこをどう見ても同時期の80年代アイドルとは一線を画すクオリティだと思いますが、この熱さがさめないうちにとでもいうかのように、かつてのCD-BOX「南野陽子 ナンノ・ボックス icon」が6年ぶりにアンコールプレスされることになりました!
 
 歴史をひもときますと、このボックスが出たのはデビュー20周年時の2005年。記念企画の第1弾としてのリリースでした。完全生産限定盤のため、発売即完売したのですが、入手できなかった人の声がスゴくて、すぐさまアンコールプレスが決定。
 
 しかし、それが徒となってか、結局は売れ残ってしまいAmazonなどで廉価販売されたこともありましたが、その後は再びオークションなどで高騰してしまっておりました。
 それが25周年のお色直しアルバムの市販発売(こちらで紹介)などで盛り上がった2011年、オーダーメイドファクトリーの条件をクリアしアンコールプレスされたというワケです。それから6年、今回が3度目のアンコールプレスになります。
 
 前回の時も結構長く販売されていたのに、3度目が実現するとは、やっぱりあのコンサートでナンノ熱が復活したファンや新規ファンのリクエストがハンパなかったのではないかと思っております。
 とにもかくにも、それもナンノらしいというか、ブームが何度も押し寄せる、永遠のアイドルの証しですよね。
 
 格さんプロデュースによる良質な作品群には定評のあるナンノですが、CD時代のメガヒットアイドルですので、中古屋で100円ワゴンに山積みされようが全然見向きもされなかったことなんかを思い出すと、感慨深いものがあります…。
 
 ではここで、コピペ的にナンノ・ボックスについて簡単に紹介しておきましょうか。
 三方背クリアケース入り豪華デジパック仕様13枚組のこのボックス。内訳は、全ての音源を完璧網羅したCDアルバム11枚に、新曲のCDシングル1枚、そして映像集のDVDというセットとなっております。
 
 もっと細かくいうと、CDアルバムは、まず「ジェラート」「ヴァージナル」「ブルーム」「ガーランド」「グローバル」「ゴーシュ」「ギャザー」「夏のおバカさん」というオリジナルアルバムが8枚(一部ボーナストラック付き)。
 これにクリスマスアルバム「スノーフレイク」「ディアー・クリスマス」から既発曲を除いた2in1、アルバム未収録のシングルA面とサントラなどに入っていた作品をプラスした「Single+Other tracks」、同じくアルバム未収録のB面曲を集めた「Coupling side」という構成。
 
 一方、CDシングルは本人作詞、萩田光雄さん作・編曲による新曲「最終(ラスト)オーダー 」で、DVDにはグリコやJR西日本のCMをはじめ、プロモーション用などの未発売映像が収録されております。
 
 また、ボックスならでは、写真集や本人によるライナー付きのデータブック、おまけとしてナンノちゃんカルタが付くというすごいパッケージですが、特筆すべきは、ナンノを育てた格さんが手がけた愛情いっぱいのボックスだということに尽きるでしょう。
 
 振り返れば、タガが外れたようにやりたい放題になっていった80年代後半という時代にあって、王道、正統という言葉がふさわしい南野陽子のうた。とにかく上質さが抜きん出ているナンノの楽曲ですが、時代のトップを走っていたユーミンを意識した楽曲制作がなされていたことは、実際にその名が歌詞にも出てくることからも分かるように有名なお話です。
 その頃も、もののあはれや純愛など、ご本人的にはほとんど失われかけた少女性を追求していたようなユーミンですが、本家がピュアでエゴイスティックな少女の魂を入れたトルソーだとしたら、ナンノサイドはマネキンではなく本物の美少女。
 
 であるからして、康珍化、小倉めぐみ、戸沢暢美、そしてユーミンファミリーである田口俊ら作詞家の先生方が本歌取りというか、軒先借りて母屋を取ったような世界観も必然的に成立しております。そう思うと、ユーミンからの提供作やカバーがあっても面白かったような気がしますね(当然オファーもしたようですし、ここに書くのもはばかられる大物からの提供曲もあったらしいのですが、ナンノ自身がイヤなものはお蔵入りかよそに流れていったのだとか…)。
 
 むろんユーミンだけでなく、ビートルズはもとよりカーペンターズ、ギルバート・オサリバン、モンキーズ、ミッシェル・ポルナレフら、格さんの嗜好によるエバーグリーンポップスのフレーバーがたっぷり。
 お仕着せのプロデュースではなく、アーティストの意向を最大限にくんだ楽曲作りがなされていたことは周知の事実ですが、今聴き直しても80年代後半では屈指のクオリティだと思います。
 
 それと、忘れてはならないのがメインでサウンドプロデュースを担当した萩田光雄さんの力量でしょう。
 CBS・ソニーのお家芸であり、70年代からソニーの女性アーティストたちが歌ってきた作品群は、ある意味うたの文学ともいうべき確かなテーマと品格が備わっていますが、その根幹をなすサウンドは山口百恵や太田裕美らの主要アレンジャーであった萩田さんが中心になって創り上げてきたといっても過言でない気がします。
 
 ということは、80年代半ばからCBS・ソニーを支えた南野陽子は、いわば由緒正しきその継承者。であるからして、CBS・ソニーが発信し続けてきたアイドルポップスがお好きな人ならば、きっとトリコになってしまう出来映えではないかと思いますので、これまでナンノは聴かず嫌いだったという人も、この機会に再確認してみてはいかがでしょうか。
 
 なお今回はOMFではなく、市販品として扱われるようですので、DVD付きならではのオフが期待できるHMV icon楽天市場など、各ネットショップのチェックもお忘れなく。
 
 
 

(2017.3.7)
Sony Music Shop

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