メジャー復帰のタイミングでUHQCD化！

　高音質CD・HQCDが進化したUHQCD（Ultimate High Quality CD）仕様で好評を博している、ポニーキャニオンの「プラチナムベスト」シリーズ。今夏、バラエティー豊かな23タイトルが一挙ラインナップに加わるとか。
 
　毎度おなじみの斉藤由貴「 プラチナムベスト 斉藤由貴(UHQCD) 」のほか、新編で初CD化曲も収録予定だという松原みき「 プラチナムベスト 松原みき(UHQCD) 」や、全員で歌っている楽曲を集めたというおニャン子クラブ「 プラチナムベスト おニャン子クラブ(UHQCD) 」など、新編集盤や２for1のタイトルも多い中、単にUHQCDとしての再発という感じなのがトシちゃんの「 プラチナムベスト 田原俊彦~Myこれ!クション(UHQCD) 」。
 
　ご存じオニピー発、Myこれ!シリーズの口火を切った名ベストですが、今回はその2004年リリースのMyこれ!クションのUHQCD化となるそうです。
 
　コレって、ユー的な事情もあるような気もいたしますが、なんたってトシちゃんは11年ぶりにメジャーレーベルへと復帰。聖子や明菜と同じユニバーサル所属となり、来月にはニューシングル「 フェミニスト(初回盤)(DVD付) 」を出すほか、8月下旬からは全国ツアーも予定しているそうですからね。
 
　今後、ジャニーズ時代の旧譜の封印が解かれていくのも期待して、ピックアップさせていただきましょう。
 
　さて、今でこそ帝国などと称され、栄華をほしいままにしているジャニーズ事務所ですけれど、75年に郷ひろみが移籍した後は、その予感すらもなかったんですよね。
　井上純一や川崎麻世らそこそこの人気者はいても、レコードが売れトップアイドルと認められたタレントは一切出ていなかったんですから。
 
　むろんそれは、新御三家が強力で息が長かったせいなのですが、そこに風穴を開けたのがご存じたのきん。それも3人の先陣を切ってレコードデビューしたトシちゃんが大ヒットを収めてたのきん人気を牽引したからにほかありません。
　まさに今日のジャニーズがあるのは、トシちゃんのおかげと言っても過言ではありますまい。
 
　ということで、今回UHQCD化されるMyこれ!ベストは、トシちゃんのベストヒット16曲が厳選された内容。
　レイフ・ギャレットのカバーにして紅白歌合戦初出場曲となったデビュー曲「哀愁でいと(NEW YORK CITY NIGHTS) 」から始まって、グリコのCMで聖子とゴールデンコンビを組んだ初のオリコン1位獲得曲「ハッとして!Good」、トシちゃん笑いが炸裂するサクラカラーのCMソング「ブギ浮ぎI LOVE YOU」、キンコンカンコンが印象的な「キミに決定! 」という宮下智三部作、哀愁味満載の網倉一也作品「悲しみTOOヤング」などなど、大ヒットの嵐。
 
　本人のキャラクターもありますけど、「NINJIN娘」に代表されるように宮下智カラーのノベルティっぽいイメージが強かったトシちゃんですが、「君に薔薇薔薇…という感じ」「原宿キッス」など、デビュー3年目からの筒美京平作品でぐっとダンサブルに変身。
 
　後の久保田利伸作品「It's BAD」などの和製MJ化計画につながっていったワケですが、その集大成といえるのが一皮むけた88年に筒美先生が提供した「抱きしめてTONIGHT」でしょう。
　MJではなくTJになっていましたが、当時息切れした感のあったマッチに比べ、驚くほどのアーティストパワーといいますか、エンターティナーとしての輝きと自信がほとばしっていたように思います。結局はそれが命取りになったのかもしれませんが…。
 
　このベストでは中期の作品がゴソッと抜けている分、その時期の「”さようなら"からはじめよう」「どうする?」「かっこつかないね」といった一連のアダルトな筒美作品が網羅されているので、トシちゃんを追ってこなかった筒美フリークにもオススメです。
 
　とはいえ、あれだけのヒット曲を持っているトシちゃんですから、歌の世界でも表舞台へと本格的に復帰する今回のタイミングで新たなリイシューが実現することを願っております。
　35周年時の「 35th Anniversary All Singles Best 1980-2014 」は歌い直しでしたし、ちゃんとしたオリジナル音源のシングルコレクションなんて、もう30年近く出ていないんですからね。Myこれ以外で唯一生きている「 田原俊彦A面コレクション 」なんて30年以上前のCDですから。
　この際、マッチや少年隊も含め、なんでもいいから夢でもいいから一度お願いしたいですネ。