初登場１位のデビューアルバムをブルスペ2で！

　昨年、往年のポプコンファンを歓喜の渦に包み込んだライブイベント「僕らのポプコンエイジ ～Forever Friends, Forever Cocky Pop～」。
 
　石川優子さんの26年ぶりのステージ復帰をはじめ、豪華な出身メンバーの共演で大きな話題を振りまきましたが、今年も第2弾「僕らのポプコンエイジ2017 」として、５月に東京・府中の森芸術劇場、大阪・オリックス劇場、神奈川・よこすか芸術劇場、千葉・市川市文化会館の４カ所で開催されることになっております。
 
　今回は、元ツイストの世良公則＆神本宗幸（この２人が結成当初からのオリジナルメンバーです）の初出場が目玉のようで、このタイミングで世良公則＆ツイストのデビューアルバムがBlu-spec CD2による「Twist【Blu-spec CD2】」として廉価リリースされることになりました。
 
　これは、昨年７月にNSP「N.S.P FIRST【Blu-spec CD2】」、高木麻早「高木麻早【Blu-spec CD2】」、八神純子「思い出は美しすぎて【Blu-spec CD2】」、門あさ美「Fascination(ファッシネイション)【Blu-spec CD2】」、相曽晴日「トワイライトの風【Blu-spec CD2】」（「コーヒーハウスにて」は名曲ですよね）の５タイトルが発売された、高音質で甦る「ポプコン・アーティスト1stアルバムシリーズ」の後編にあたる５タイトルのうちの１枚。
　といっても、元々は2001年に企画されたシリーズのBlu-spec CD2化で、今回はほかに
佐々木幸男「ほーぼー【Blu-spec CD2】」、伊藤敏博「サヨナラ模様【Blu-spec CD2】」、クリスタルキング「 CRYSTAL KING【Blu-spec CD2】 」、石川優子「 優子ときめくころ【Blu-spec CD2】 」も同時発売となっております。
 
　ちなみに今回は、ライブでの物販も意識したのでしょう。2004年に出たバラードコンピのBlu-spec CD2版「ポプコンバラードコレクション【Blu-spec CD2】」と、2009年に24bitデジタル・ハイサンプリング・リマスタリング&SHM-CDで出たタイトルのBlu-spec CD2版「POPCON Remastered BEST【Blu-spec CD2】」も同時発売されるようです。
 
　さて、ツイストに話を戻しますと、このファーストは78年７月リリース、初登場オリコン１位を記録した大ヒットアルバム（原題は「世良公則＆ツイスト」）。
　前年11月、第14回ポプコンと第8回世界歌謡祭のグランプリ受賞曲「あんたのバラード」で鮮烈なレコードデビューを飾ったツイストですが、日を追うごとに人気が爆発。5月に出た第2弾「宿無し」はオリコン3位をマークし、ザ・ベストテンでは絶大なリクエストを得て首位に輝くなど、一躍トップの座に着いた頃。満を持して発表したのがこのアルバムでした。
 
　デビューシングルのカップリング「知らんぷり」、ファン人気の高かった「マギー」とB面曲は入っているものの、「あんたのバラード」は世界歌謡祭バージョンで、ヒット中だった「宿無し」も収録なしと、いわばシングルヒットに頼らない構成で、相当な意気込みが感じられますが、リーダーのふとがね金太さんが手がけたナンバーも数曲ありますが、ほとんどは世良さん作。ロッド・スチュワートにドメスティックな演歌のテイストを加えたような独特のムードが貫かれています。
 
　世良さんの場合、オーバーアクションのステージパフォーマンスと相まって、当時の中高年層にも理解されやすい感じだったのは確か。そう思うと、ツイストこそロックというものを全国津津浦浦、お茶の間にまで浸透させたバンドだと言えるでしょう。
 
　もっとも時代的にフォーク・ロックがお茶の間にも定着し、ニューミュージックの若手アーティストがアイドルとして持てはやされ始めた頃。世良さんの人気は同時期にブレイクしたChar、原田真二とともに“ロック御三家”と呼ばれ、「明星」や「平凡」の表紙を飾るほど加熱していました。
　渡辺真知子やサザンオールスターズらも含め、１世代前までのニューミュージック系のアーティストが拒否していたテレビにもガンガン出始めた頃ですから無理もないのですが、世良さんは難色を示し、ことあるごとにロックバンドであることを強調していましたっけ。
 
　結局、２年目から「世良公則＆」を外すワケですが、そういうこだわりが楽曲にまで主張できたのは、やっぱりヤマハのアーティストだったからでしょうね。その証拠に、原田真二は早々に反旗を翻して路線変更、元々お仕着せの楽曲を歌わされていたCharは歌謡界を去って行ったワケですから。
　そういう意味も含め、ポプコンのアーティストでは群を抜く、ひときわ偉大な存在の偉大なアルバムと言えそう。40年経った今だからこそ、聴き直したいアルバムではないかと思っています。
 
　ちなみに、94年にオリジナルと同じキャニオン（厳密にはポニーキャニオンですが）のアードバークレーベルからCD選書として初CD化されたこのアルバム。
　2001年にはヤマハ、2008年にビクターから紙ジャケとしてそれぞれ再発リリースされていますが、今回は初の高品質CDですから、旧盤をコレクションしているファンの方も必携ですぞ。