ゴローのシングル57枚を忠実に復刻したBOX！

　昨年デビュー45周年と還暦を迎え、45年祭と銘打った記念企画などますます精力的な活動を続けるゴロー。
 
　今月には小林幸子、研ナオコ、早見優、沢田知可子らを招き、ギターはもちろんドラムやベースまで自身で演奏したという豪華なデュエットカバーアルバム「風輪」（なんとあの「今だから」もカバーするんだとか！）をリリース。新御三家の中でも現役バリバリという感じですが、近年はタワレコ限定の旧譜復刻（こちらやこちらなどで紹介）も盛ん。
 
　活動を支える頼もしいファンがバックにいるおかげで復刻も進んでいるようにお見受けしますが、ついに本家も重い腰を上げる模様。
　なんと、57枚組のシングル復刻BOX「野口五郎 SINGLE COLLECTION~ユニバーサルミュージック イヤーズ~(初回限定盤)」の発売が決定したというのです！
 
　1971年5月1日発売、演歌デビューの「博多みれん／ひとり雨」から、1996年4月の「さよならは、誰のため／また君に逢えそうで」まで、ポリドールおよびトーラス（TDKコア時代も含む）のシングル盤なんと57枚を、当時のジャケットをできる限り忠実に再現させるという、壮大なスケールのボックス。
 
　ちょっと振り返ってみるだけでも、ポップスに転向して初ヒットとなった「青いリンゴ／君のため僕のため」、新御三家のトップを切って出た紅白歌合戦初出場曲「めぐり逢う青春／約束」（ちなみに対戦相手は南沙織「純潔」）、明星募集歌「オレンジの雨／君を求めて」、ロンドン録音の「君が美しすぎて／ぬれた瞳」、お兄さんが初めてシングルＡ面を手がけたロッカバラードの名作「愛ふたたび／愛のきらめき」、 ゴロー初のオリコンナンバー1シングルにして筒美京平作品「甘い生活／さよならは云わない」、オリコン1位の代表曲であり日本有線大賞グランプリ受賞曲「私鉄沿線／帰郷」、日本テレビ音楽祭グランプリ受賞曲「きらめき／熱い砂」、初の松本隆作品「むさし野詩人／さよなら綴り」、有馬三恵子＋筒美京平というシンシアコンビによる映画主題歌の名曲名唱「季節風／感情曲線」、ザ・ベストテン初回放送の初ランクイン曲となった「風の駅／冬木立」、和モノグルーヴの傑作として圧倒的な支持を受ける「グッド・ラック／消えたハリケーン」、コロッケのモノマネの衝撃を忘れない「真夏の夜の夢／ローリングサマー」、カッコよすぎるフュージョンナンバー「女になって出直せよ／シスコドリーム」、久々にわかりやすいゴローのニューミュージック「青春の一冊／HIMIKO」、温かいライブを切り取った「コーラス・ライン／CHARGE & GET IN」、ゴロー復活の狼煙を上げた筒美作品「19:00の街／誰かが私を愛してる」などなど、ドーナツ盤のジャケットとともに印象に残るゴローのシングルはホントにいっぱい。
　ファンの皆さんにとっては1枚1枚が思い出の証しでしょうし、まさに悲願達成の企画といえるでしょう。
 
　というのも同じ新御三家では、ひろみは97年の「ALL THE SINGLES 1972-1997」で、ヒデキは2007年の「35th Anniversary Memorial Box HIDEKI Complete Singles 1972-1999」でそれぞれシングルAB面が全CD化されていましたし、ひろみ至っては2005年の「Single Collection of Early Days」シリーズでアナログ時代のシングル55枚が忠実復刻されるなど、とっくの昔に終わっていたのに対し、ゴローの場合は、ポリドール＆トーラスのA面は4枚組の「FACE～GORO A SIDE STORY」が2011年に再発（こちらで紹介）されてはいたものの、B面については90年の「B Side collection」が唯一出た程度で、「筒美京平ウルトラ・ベスト・トラックス」やBOX、近年のタワレコ復刻のボートラなどで補完したとしても、かなりの未CD化曲があったようですので。
 
　先日オンエアされた「徹子の部屋」では、黄色い声援が響く「雨に消えた恋」の歌唱映像が流れたり、米山正夫門下時代のお話や幻のデビュー曲「友情の花束」（よい歌！）が聞けたりして、あらためて初期のゴローの魅力を実感したものですが、ちょうどいいタイミングでリリースされるこのコレクション。筒美フリークにとっても垂涎ものという感じですし、生産数は少ない上今回を逃したら二度と手に入らないでしょうから、迷っているなら入手した方が賢明ですぞ。
 
　正直に言えば、AB面通して聴ける簡単便利なCDの方がウレシイのですが、ファンの皆さんにとっては１枚１枚復刻したこのシングルBOXこそ、長年待っていた待った甲斐があると実感できるアイテムではないかと思いますのでね。しかも１枚あたりでいえば税抜き526円というお得なプライスですし、ゴローの45周年のトリがこういう形で締めくくられることを素直に喜びたいと思っております。