ナツメロ喫茶店

 ビバ!旧譜の新譜。紙ジャケからBOXまで、ナツメロ復刻盤&再発盤、コンピ盤などのレビューコーナーです。

#841
マリーン with シーウィンド/サマー・ナイト
(2017.8.23発売、SICP-5529、¥1,000+税) *AOR CITY1000シリーズ・2018.12.31までの期間生産限定盤

82年の2ndがAOR CITYシリーズにラインアップ!

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 Light Mellowでおなじみ、金澤寿和さんの監修で昨夏に大好評を博したAOR CITY1000。
 これは元祖AORといわれるボズ・スキャッグス「 シルク・ディグリーズ 」の発売から40周年を記念してスタートしたもので、70~80年代のAOR作品100タイトルを期間生産限定のスペシャル・プライスで発売するという企画でした。
 税抜き千円ポッキリのビックリ廉価盤ということで、まとめ買いする人が続出しましたが、今年も100タイトルが登場。その中にCBS・ソニーの国内制作、82年に発表されたマリーンのセカンドアルバム「 サマー・ナイト 」も入りました!
 
 マリーンといえば、フィリピンの天才少女で、79年7月にマリリンという名で東芝EMI・エキスプレスレーベルから日本デビュー。
 筒美京平作品の「Love Me」(「 筒美京平ウルトラ・ベスト・トラックス~東芝EMI編 VOL.2 GIRLIE 70's 」でCD化済み)をはじめ、ドラマ版「がんばれ!ベアーズ」のテーマ曲「青春カーニバル」、セイコー腕時計のCMソングにしてNHKレッツゴーヤングでも歌われた「スリム・センセーション」、ニュートン・ファミリーのカバー「サンタ・マリア」(「 長い髪の少女~橋本淳 作品集 」などでCD化済み)というシングルを日本語でリリースしましたが、アイドルともアダルトとも言えないスタンスで話題にのぼることはありませんでした。
 
 そして、2年後の81年。マリリンはマリーンと名を変え、CBS・ソニーからアルバム「ファースト・ラヴのように」(紙ジャケは こちらで紹介)で再デビュー。
 国内制作といえどもザ・スクェアで知られる伊藤八十八プロデュースで、ジャズ・フュージョン系のナンバーを英語で歌うシンガーとして新しいスタートを切ったのです。
 
 83年にブレイクを果たし、ジャズフェスの歌姫としても引っ張りだこ。CMでも人気を博したほか、90年代には「THE夜もヒッパレ」などでお茶の間でもおなじみとなりました。
 「夜もヒッパレ」や玉置浩二とのデュエットのヒットで、日本語で歌うイメージを持っている人も多いようですが、基本、英語ネイティブによる英語ソングですので、こちらで取り上げるのはどうかと思いましたが、アルバムはれっきとした国内制作の和モノだし、何よりこのワタクシ、個人的にジャスフェスの追っかけをしていたほど大ファンですので、ご紹介させていただきましょう。
 
 82年7月リリースにされたこのアルバムは、ハワイ出身のフュージョンバンド、シーウィンドとLAでレコーディング。であるからして本場のウエストコースト・AORフュージョンという感じなのですが、サイコーなのがバッキングに負けるどころかバックをあおるような若きマリーンのグルーブ感。
 すわ同録かと思うほどで、ポップ・アウトドア・ミュージックという触れ込み通り、開放感たっぷり。聴くたびに日本で東名阪ツアーを行ったというジョイントライブを見たかった気分にさせてくれます。
 
 スタンダードなどもカバーしたファーストアルバムに比べると、耳なじみのあるナンバーはありませんが、マリーンのよきアドバイザーでもあった野口久光さんが書かれたオリジナルのライナーによると100曲ほどの候補から選び抜いたそうで、ポップフュージョンなタイトル曲や、メロウなサウンドにマリーンのボーカルがキュートな「アイ・グッド・ダンス・トゥナイト」、エアプレイのトミー・ファンダーバークとのデュエット「ラヴ・トゥー・ストロング」などなど、粒よりのナンバーぞろい。ちなみにラストのバラード「マイ・ソング」は日本のオリジナルです。
 
 このアルバム、最初にCD化されたのはLP(マスター・サウンド盤もあり)の発売から遅れること4カ月後。といっても世界初のCDが発売された翌月ですので、いかに期待値が高かったかが分かるでしょう。その後87年に再発、1990年にはCD選書化されておりましたが、かなり前に廃盤となり、現在では入手困難になっていましたから、探し回っていた人には朗報でしょう。
 今回は価格が破格だし、新規の書き下ろしライナーも付くそうですので、買い増しもオススメです。
 
 なお、マリーンはCBS・ソニーで89年までコンスタントにアルバムを発表し続け、90年には古巣の東芝へと移籍。そこで2枚のアルバムを出した後、インディーズで活動。「 What’s New? 」を出したりはしたものの、結婚、子育て(従兄弟の子どもを養子に迎えたとか)などで半分引退したような時期もありました。
 
 しかし2007年、元T-SQUAREの本田雅人9年ぶりのアルバム「 Jazz'n Out 」で本格復帰。その後も、2009年4月に熱帯JAZZ楽団とのコラボアルバム「 マリーン sings 熱帯JAZZ 」、2011年にはT-SQUAREのリーダー・安藤正容プロデュースによるのリメイクアルバム「 initial 」(「サマーナイト」も取り上げています)、2013年にはマリリンとしてのデビュー時から好きなアーティストに挙げていたドナ・サマーへのトリビュート「 マリーン・シングス・ドナ・サマー 」をリリース。2016年には吉田次郎、クリヤ・マコトと組んだ新ユニット、スリーサムで「 CUBIC MAGIC 」を発表と、コンスタントな活動を続けています。
 
 そのせいもあってか旧譜の方の復刻は滞っていて、ベスト盤でさえ12インチを含めシングル曲をセレクトした「 GOLDEN☆BEST マリーン 」しか生きていないので、コレが評判を呼んで、名盤の復刻が進むことを祈っています。
 
 
 

(2017.5.26)
Sony Music Shop

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